たまたま王太子妃になっただけ【完】

mako

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夫婦の時間

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アレクセイはいつもよりも早く寝室に入りオリヴィアを待っていた。定刻通りにオリヴィアが寝室に入ってくるとオリヴィアは驚いたように首を傾げた。


『殿下、今夜はお早いのですね』


にっこりと笑うと静かにソファに腰を下ろした。アレクセイはオリヴィアに手招きをすると自分の座るベッドをポンポンと叩いた。

『オリヴィア、こちらへ』


オリヴィアをゆっくりと待ってアレクセイは静かに口を開いた。


『オリヴィア、私は今や帝国の皇帝となりこの国を治めている。それ故世継ぎは必須となる。』



オリヴィアはアレクセイから語られる事には既に覚悟をしていた為に静かに目を閉じ聞いていた。


…。


『オリヴィア、君は皇后として覚悟を持ってくれているね?』


オリヴィアは小さく頷くと、溢れる涙を堪えた。


『オリヴィアにも頑張って貰わないとね。』

微笑むアレクセイにオリヴィアは3度瞬きをし不思議そうにアレクセイを見た。


『私ですか?』


今度はアレクセイが不思議そうに首を傾げると


『オリヴィアは無理をしているのかな?』


またも瞬きを繰り返すオリヴィアは



『…無理とかではなく致し方ないかと…』


『…それって無理しているって事だよね?』



『…。』



『…。』




お互いに顔を見合わせているとオリヴィアは


『その、側妃の件は私も存じています。このままでは殿下のお立場もございますので致し方ないと。私ではお役に立つ事が出来ないのは情けなく存じます…。』



しばらくの沈黙の後アレクセイは



『側妃って?』


オリヴィアは堪らず俯くと


『ですから、殿下との子を宿す為に置かれる令嬢ですわ!』


…そんな事は知ってけどね?


『いやいやそうではない。え?どうして側妃が出てくるの?私との子を宿すのはオリヴィア、君しかいないだろ?』


…。…?


オリヴィアは少し頭を巡らせると


『私でよろしいのですか?』

大きな瞳を見開きながらアレクセイを見るとそのまま視線を自分の体をに向けた。


アレクセイは呆れたようにオリヴィアを見て


『オリヴィア、何を勘違いしてるかはだいたい想像は付くが全く検討違いも甚だしいよ。ってかさ不安や分からない事があったら直接私に聞いてくれないかな?オリヴィアの解釈はどうもあまり精度がよろしくないようだ。』



まだ追いつかないオリヴィアはアレクセイを不思議そうに眺めている。


『あっそうだ、オリヴィアはイザベラをたいそう案じてくれてたんだね?私も嬉しいよ。彼女の立場わは今後ますます危うくなるだろうからね。オリヴィアの考えている事は全うだよ。レオナルドは分かって居ないようだけどね?』



オリヴィアは驚いたように


『レオナルドが話したのですか?』


『…?うん。どうして?』



真っ赤になり俯くオリヴィアにアレクセイは

『何?何なの?分かる様に話してくれる?』



『な、何でもないですわ!』



『…。まあいいよ。オリヴィアがいやなら私がレオナルドに吐かせるだけだからね。』


ニヤリと笑うアレクセイにオリヴィアは顔を顰めながら



『違うんです。その、イザベラ様とフィリップ様がそのラブラブだといいなぁって思って、そのフィリップ様ほどの美男子の妃でいらして、そのキュンキュンとかしなかったのかな?とか。その…色々?』


訳の分からない事になっているオリヴィアの言葉からアレクセイは間違いなく捉えた言葉に反応する。


『フィリップにキュンキュン?オリヴィアはするの?』



オリヴィアは真っ赤になり言葉が発せなかった。


怪訝そうなアレクセイにオリヴィアは



『キュンキュンしてます…』


アレクセイは目を見開くと


『キュンキュンしてますって現在進行系なの?』


思わず立ち上がると驚いたオリヴィアは


『だって殿下とこうしていたら…』


…。

アレクセイは一度落ち着きベッドに腰を下ろすと


『整理してもよいかな?オリヴィアはフィリップにキュンキュンしてるんだよね?』


『何故ですか?』



『いやさっき言ったよね?』



オリヴィアは考え込むと


『イザベラ様のとなりはフィリップ様ですもの。私のとなりはその、殿下ですから。私がいつもキュンキュンしてるのできっとイザベラ様も同じようにキュンキュンして胸が苦しいのではないかと案じてました…』


思いの丈を吐き出しすっきりしたオリヴィアを眺めながらアレクセイは


…オリヴィア、それはレオナルドでなくても混乱するよ。

心の中で突っ込んだ。
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