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ステファニーの心
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ステファニーが侯爵夫人となり初めての王宮主催の夜会が執り行われる。もちろんランドルト侯爵家にもその招待状は届けられた。
会場に入場する貴族らが長い列を成している。
ステファニーらが入場する頃には多くの貴族らが階段を降りる2人を拍手で待ち構えている。その後に続く公爵家が霞むほどに2人への拍手が鳴りやむことは無かった。
流石の王族らが入場する際には音楽までも代りファンファーレが響き渡る。ステファニーはいつもこのファンファーレと共に入場していたのでその前を経験した事を密かやに喜んでいた。
他国からの王族や貴族らで賑わう夜会の為に2人は各々社交に繰り出していた。
ラインハルトは迫りくる令嬢らから逃げるように控室に向かうと途中の控え室から大声で怒鳴りつける声が聞こえてきた。
ラインハルトは怪訝そうに立ち止まると中から
『離れろ!それ以上近寄る事を許さない!』
男の声が苦しそうにもがくように発せられる。
『あら、苦しいのでしょう?遠慮なさらなくとも大丈夫ですから。さぁ。』
『よるな!』
バタンガタンと何やらが投げつけられる音まで合わさるのが聞こえてくる部屋の中。流石のラインハルトも男女間のイザコザまで関与しないししたくは無いがどうも穏やかではない。面倒くさそうに頭を巡らせているといきなり扉が開かれると男が苦しそうに飛び出してきたのである。とっさに倒れそうな男に手を差し伸べると隣りの部屋へ連れ込んだ。
…。
もがき苦しむ男にラインハルトは
『どうしたのだ?』
男の顔を確認すると、何と義理弟であるアラン・ランドルトであった。
『おい!アラン。どうした?大丈夫なのか?』
アランは苦しそうに顔を真っ赤にして息は荒い。ラインハルトはハッとしすぐさま隣りの部屋へ向かうも部屋には誰も居ない。
『くっそっ』
ラインハルトは苦しむアランに水を差し出すと
『媚薬か…。何に盛られたかわかるか?』
ラインハルトの問に苦しそうに首を振る。
ラインハルトは先ず側近を呼びステファニーに心配させぬよう命じた。ラインハルトの思惑外れ、ステファニーはすぐさま飛んできた。
『お兄様!』
ステファニーを見て驚いたラインハルトは側近を睨みつけながら
『お前が心配することではない。大丈夫だから。すぐに元に戻る。明日には侯爵邸へ帰れるから今日の所はお前は1人で帰れ。』
すぐに部屋から出そうとするもステファニーは
『では私もここで泊まりますわ!』
『はぁ?状況が把握できぬか?』
『いいえ、出来てますわ!王宮で飲食した旦那様が媚薬を盛られたのですね?どうゆう管理をなさっていたのかしら?この責任はどなたに?』
王族相手にここまで言及できるのはステファニーしか居ない。
『そんな事は後でよろしいわ。お兄様はいつまでも取り囲まむ令嬢から逃げ回っていてもはじまりませんわよ?それに王族がいつまでも会場から姿を消しているのもあまりよろしくないですわ!』
ステファニーはラインハルトの側近を顎で使うとさっさとラインハルトを会場へ戻せと促した。
ラインハルトは側近を制して一人で部屋を出た。
ステファニーの目の前には息遣いを激しく真っ赤にしたアランが苦しそうにステファニーに声を絞り出した。
『君も外へ。頼む…』
ステファニーはオロオロするも素直に部屋を出て扉の前を陣取った。
すぐさま王宮の頃にステファニーに仕えていた侍従を呼び扉の前に椅子を並べて対策本部を設営した。
『これいつまで続くの?』
侍従は首を傾げ
『どの媚薬を飲まれたのかが分かりませんので何とも?』
『媚薬ってそんな種類があるの?』
『薬が切れるのを待つしかないの?』
『旦那さまは大丈夫よね?』
『旦那様はどうなるの?』
矢継ぎ早に飛び出す疑問に侍従らは素直に答えていく。しかし目の前の王女から飛び出す疑問は侍従らの知る限り王女のものとは思えぬ内容にむしろそちらに気を取られていた。
…王女?
『何をしておる!』
対策本部の後方から声を掛けるはラインハルト。
『こんな所で陣取っていては誰も控え室を使えぬではないか?』
ステファニーは面倒くさそうにラインハルトを見ると
『あら、管理の者が助かりましてよ?』
簡単に答えるとまたも侍従らに向き直る。
…おいおい仲間にいれてくれよ。
『殿下!』
ラインハルトの側近が報告に来るとステファニーはラインハルトの横に控えた。
…相変わらず勝手な。
ラインハルトはステファニーを横目に次々やってくる報告を聞きながら最後に1つ頷いた。
『お前たちは退散しろ。』
対策本部を撤収させると側近らにアランが女と消えたというデマを流すよう命じた。驚いたステファニーはラインハルトを睨みつけるがラインハルトは一言。
『王太子命令だ。心得よ。』
側近らは一目散に散っていったのである。
ラインハルトは控え室からアランを王族専用エリアまで移動させるとその部屋を施錠しステファニーに言った。
『いいか?明日にはくすりは抜ける。それまでだ。だからお前も侯爵邸に戻らぬならば客間を使って良いからそちらで休め。間違ってもアランには近づくな。よいな?』
睨みつけるステファニーをもろともせずラインハルトは会場へと戻って行った。
ステファニーとてラインハルトの思惑は分かる。デマを流して首謀者をあぶり出すのだ。だがステファニーはその為に一時的にだとしても傷つけられる夫の名誉のほうが今は大事なのだ。
…侯爵夫人もなかなか辛いわね。
ステファニーは扉の向こうのアランを案じながら扉の前を陣取った。
会場に入場する貴族らが長い列を成している。
ステファニーらが入場する頃には多くの貴族らが階段を降りる2人を拍手で待ち構えている。その後に続く公爵家が霞むほどに2人への拍手が鳴りやむことは無かった。
流石の王族らが入場する際には音楽までも代りファンファーレが響き渡る。ステファニーはいつもこのファンファーレと共に入場していたのでその前を経験した事を密かやに喜んでいた。
他国からの王族や貴族らで賑わう夜会の為に2人は各々社交に繰り出していた。
ラインハルトは迫りくる令嬢らから逃げるように控室に向かうと途中の控え室から大声で怒鳴りつける声が聞こえてきた。
ラインハルトは怪訝そうに立ち止まると中から
『離れろ!それ以上近寄る事を許さない!』
男の声が苦しそうにもがくように発せられる。
『あら、苦しいのでしょう?遠慮なさらなくとも大丈夫ですから。さぁ。』
『よるな!』
バタンガタンと何やらが投げつけられる音まで合わさるのが聞こえてくる部屋の中。流石のラインハルトも男女間のイザコザまで関与しないししたくは無いがどうも穏やかではない。面倒くさそうに頭を巡らせているといきなり扉が開かれると男が苦しそうに飛び出してきたのである。とっさに倒れそうな男に手を差し伸べると隣りの部屋へ連れ込んだ。
…。
もがき苦しむ男にラインハルトは
『どうしたのだ?』
男の顔を確認すると、何と義理弟であるアラン・ランドルトであった。
『おい!アラン。どうした?大丈夫なのか?』
アランは苦しそうに顔を真っ赤にして息は荒い。ラインハルトはハッとしすぐさま隣りの部屋へ向かうも部屋には誰も居ない。
『くっそっ』
ラインハルトは苦しむアランに水を差し出すと
『媚薬か…。何に盛られたかわかるか?』
ラインハルトの問に苦しそうに首を振る。
ラインハルトは先ず側近を呼びステファニーに心配させぬよう命じた。ラインハルトの思惑外れ、ステファニーはすぐさま飛んできた。
『お兄様!』
ステファニーを見て驚いたラインハルトは側近を睨みつけながら
『お前が心配することではない。大丈夫だから。すぐに元に戻る。明日には侯爵邸へ帰れるから今日の所はお前は1人で帰れ。』
すぐに部屋から出そうとするもステファニーは
『では私もここで泊まりますわ!』
『はぁ?状況が把握できぬか?』
『いいえ、出来てますわ!王宮で飲食した旦那様が媚薬を盛られたのですね?どうゆう管理をなさっていたのかしら?この責任はどなたに?』
王族相手にここまで言及できるのはステファニーしか居ない。
『そんな事は後でよろしいわ。お兄様はいつまでも取り囲まむ令嬢から逃げ回っていてもはじまりませんわよ?それに王族がいつまでも会場から姿を消しているのもあまりよろしくないですわ!』
ステファニーはラインハルトの側近を顎で使うとさっさとラインハルトを会場へ戻せと促した。
ラインハルトは側近を制して一人で部屋を出た。
ステファニーの目の前には息遣いを激しく真っ赤にしたアランが苦しそうにステファニーに声を絞り出した。
『君も外へ。頼む…』
ステファニーはオロオロするも素直に部屋を出て扉の前を陣取った。
すぐさま王宮の頃にステファニーに仕えていた侍従を呼び扉の前に椅子を並べて対策本部を設営した。
『これいつまで続くの?』
侍従は首を傾げ
『どの媚薬を飲まれたのかが分かりませんので何とも?』
『媚薬ってそんな種類があるの?』
『薬が切れるのを待つしかないの?』
『旦那さまは大丈夫よね?』
『旦那様はどうなるの?』
矢継ぎ早に飛び出す疑問に侍従らは素直に答えていく。しかし目の前の王女から飛び出す疑問は侍従らの知る限り王女のものとは思えぬ内容にむしろそちらに気を取られていた。
…王女?
『何をしておる!』
対策本部の後方から声を掛けるはラインハルト。
『こんな所で陣取っていては誰も控え室を使えぬではないか?』
ステファニーは面倒くさそうにラインハルトを見ると
『あら、管理の者が助かりましてよ?』
簡単に答えるとまたも侍従らに向き直る。
…おいおい仲間にいれてくれよ。
『殿下!』
ラインハルトの側近が報告に来るとステファニーはラインハルトの横に控えた。
…相変わらず勝手な。
ラインハルトはステファニーを横目に次々やってくる報告を聞きながら最後に1つ頷いた。
『お前たちは退散しろ。』
対策本部を撤収させると側近らにアランが女と消えたというデマを流すよう命じた。驚いたステファニーはラインハルトを睨みつけるがラインハルトは一言。
『王太子命令だ。心得よ。』
側近らは一目散に散っていったのである。
ラインハルトは控え室からアランを王族専用エリアまで移動させるとその部屋を施錠しステファニーに言った。
『いいか?明日にはくすりは抜ける。それまでだ。だからお前も侯爵邸に戻らぬならば客間を使って良いからそちらで休め。間違ってもアランには近づくな。よいな?』
睨みつけるステファニーをもろともせずラインハルトは会場へと戻って行った。
ステファニーとてラインハルトの思惑は分かる。デマを流して首謀者をあぶり出すのだ。だがステファニーはその為に一時的にだとしても傷つけられる夫の名誉のほうが今は大事なのだ。
…侯爵夫人もなかなか辛いわね。
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