たまたま王太子妃になっただけ【完】

mako

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事の顛末

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ラインハルトは夜会を終え側近らを連れて王族専用エリアに戻るとアランの部屋の前で眠るステファニーを見て驚いたように側近を見る。

ステファニーの前まで来るとステファニーは扉の前を陣取りまるで砦のように座り込んだまま眠りについていた。


ラインハルトの知るステファニーは最高の淑女である。男顔負けの野心も持ち時に空回りもするがたゆまぬ努力を重ね続ける王女であった。

あった、が?目の前で地べたに座り込んで幸せそうに眠っている。


…。


『変わられましたね…』


嬉しそうに呟く側近がステファニーを抱えようとした時ラインハルトは


『良い。このままにしておけ。悪いがブランケットか何かを掛けてやってはくれぬか?』


側近は嬉しそうに頷くと急いでブランケットを取りに走った。ラインハルトは身を屈めるとステファニーの頭を軽く撫でると妹たちには見せた事の無い笑顔で微笑んだ。




夜も深くなった頃にはラインハルトは王宮の地下にある地下牢へ側近らと共に足を運んでいた。


目の前には美しく着飾る令嬢。ラインハルトは優しく微笑むと令嬢は真っ赤になって俯いた。



…怖っ


側近は心の中で呟いた。




『名は?』


ラインハルトの短い問に令嬢は


『ライズ・オブライエンと申します。』


令嬢は上目遣いでラインハルトを見る。ラインハルトは令嬢の声とドレスを確認すると軽く頷いた。


ラインハルトは令嬢の顔を見てはいない。ただあの欲にまみれた声色とドレスだけはチラリと見えたのを覚えていた。


ラインハルトは直球ではなく敢えて変化球で勝負に出た。



『こんな素晴らしい令嬢が我が国に居たなんて知らなかったよ。どうして教えてくれないかな?』


側近に軽く問うと側近も笑顔で頷いた。気を良くした令嬢は嬉しそうに2人を見上げている。


『なに?アラン・ランドルトが好みなの?彼は相当に美男子だもんね?でもさ既婚者を好きにならなくてもさ、他に君ならいくらでも居るでしょ?私も君を知っていたら放おってはおかないもんね。』 

悔しそうに語るラインハルトにもはや側近は寒気を感じていた。



令嬢は慌てて


『違うんです!』


ラインハルトは優しく微笑むと


『だって君とアランはその、アレだろ?』


確信をつかないラインハルトに令嬢は


『私は別にそうゆうのではなくて、頼まれただけで。そのだから私はアラン様を好きとかでは無いのです!』


『じゃあ、アランが君を?何だか残念だな。一応形だけとは言え彼は義理の弟だ。1人の女性を取り合うのは好ましくないよね?やっぱり。』

ラインハルトは残念そうに側近に語ると側近も


『それはマズいですね』


笑顔で答える。

令嬢はまたも大きく首を振ると


『いえ、アラン様は私とは初対面でしたから』


『は?』


思わず本音で反応する側近を軽く睨みつけ


『えっと初対面の者同士が2人で個室に消えたの?ってか君の貞操観念はどうなってるのかな?』


驚いたように語るラインハルトに令嬢はまたも首を大きく振りながら


『違うのです!そうゆう事ではなくて私はただ頼まれただけです。』


『何を?』


間髪入れずに問うラインハルトに


『ある方がアラン様を部屋に連れて来るようにと』


俯いた令嬢に側近は


『殿下、この令嬢はアラン殿をお慕いしてるのでは?だからアラン殿を庇っているのですよ。殿下の出る幕はなさそうですって!』


『違います!』



『ですが貴女の言うある人が誰だか存じませんがそんな事を頼んでも何にもならなくないですか?意味あります?』


…。


黙りこくる令嬢に


『ごめんね、アランが好きなんだね。恋敵の兄なんて会いたくも無かったろうに…』


寂しそうに話すラインハルトに令嬢は


『そんな、そんな事ありません!殿下とお会い出来て嬉しいです!別にアラン様の事を庇ってなんておりません。そもそも初対面ですから。何故かは知りませんがアンソニー様が個室へ連れて来てって。』


『アンソニー?アンソニーロイズ公爵令息か?』


素に戻るラインハルトに驚きを見せる令嬢。ラインハルトはすぐさま後ろに控える側近らを顎で指示を出すと側近らは急いで公爵邸へと向かった。 



『で?媚薬はどこで?』


ラインハルトの問に令嬢はまだ驚いたままである。


『君ね、オブライエン子爵家だよね?媚薬なんてね子爵家で手に入る物ではないからね。それに薬を盛るなんて我が国ではその罪は重いからね。知らないと思うけど。』


淡々と語るラインハルトに令嬢は顔色を無くしていく。


『公爵令息に上手いこと使われたんだろうけどさ、代償は大きいと思うよ?だって王族へ薬を盛れば極刑なのは知ってる?』


黙って頷く令嬢に


『でもさ今やアラン・ランドルトは侯爵とは言っても夫人は私の妹。元王女だよ?ってことは彼は私の義理の弟。そう、準王族だ。君の使い手の公爵令息よりも力はあるんだ。その面ではね?』


分かりやすくガタガタと震える令嬢。


『個室に連れ込んで、そうゆうつもりじゃ無かった。ただ連れて来るように頼まれたって言ってたけどさ、苦しいでしょう、さあ。なんて言って迫ってたじゃん?聞いてて鳥肌が立ったよ?アランが気の毒だよ。全く。で?アンソニーの狙いは?』



…。


黙りこくる令嬢を横目に側近は



『殿下、時間も時間ですからもうこの者の単独犯でよろしいのでは?』


『そうだね?でも極刑だよ?可哀想じゃない?』


『いやいやどうせロイズ公爵令息の狙いなんて分からないのですから、この辺で着地させましょうよ。』



何とも大根役者な2人の掛け合いにも令嬢は



『途中で投げ出すなんてどうかしてるわ!きちんと調べなさいよ!仕事でしょ!』


側近へ罵声を浴びせると令嬢は置かれた立場を理解したかのように項垂れた。



『ダメ元で聞くけどアンソニー・ロイズの狙いなんて君は知らないよね?』

腰を屈めて問うラインハルトに

『まさか、狙いも知らずに動いてたの?』

側近が加勢する。




『…ステファニーさま。』



『…?』



『彼はステファニーさまを娶ろうとしてたの。』

『…。』



固まる2人。先に現実に戻されたのは側近。


『ステファニー様は既に侯爵夫人ですが…』


少し後に意識を現実に向けたラインハルトは黙って頷く。



『何でも真実の愛らしいですわ…』



『『は?』』



やけくそに何でもペラペラと話す令嬢に思わず2人は素のままの声をもらした。



こうして一連の顛末を把握した頃には既に夜は明けていた。


…やれやれだよ。



2人はトボトボと地下から地上に戻って行った。







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