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アリス王女
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ラインハルトがいつもよりも早くに執務を終えたある日、例の如く側近らに促され、既に王宮に入っているアリス王女との時間を取る為に王女の部屋に向かうと王女は部屋には居なかった。
ラインハルトはガゼボに向かうとアリス王女は侍従らをゾロゾロと連れてお茶を飲んでいた。
『王女、よろしいのですか?あんなので。』
あんなのというのは間違いなくラインハルトの事であろう。ラインハルトは思わず身を隠した。
『何が?』
アリスは首を傾げてその侍従を見た。ピンクブロンドの髪色が首を傾げる。これは脳内花畑のテッパンである。
…。
『ですから、王女を娶ろうとする王太子ともあろうお方が王女には興味も示さず、たとえ政略結婚としてもあれはないですわ!』
『そもそもアレクセイ殿下からの縁談でも別にアリス王女でなくても良かったのでは?』
『サエラ王国の王太子程の美男子もアリス王女を娶ろうと動いてたのですよ?あちらにしておけば良かったものの』
次々と放たれるラインハルトにとっては耳が痛い愚痴にアリスは笑いながら答えた。
『分かった分かった。分かったから声を抑えてちょうだい。貴女たちもこれからここに身を置く身。話しておかないとね。
うんと?何だっけ?先ず私はジュリラン王国が好きなの。知っての通り私はジュリラン史を専攻してたでしょ?より知る為に各国から見たジュリラン王国を知りたくて方方に留学してた時に一度だけアレクセイ殿下とお会いした事があるの。って言っても個人的にお話しした事はないのよ?だから殿下は私がジュリラン王国に好意を持っている事もご存知なはず。この縁談はどこかの国の駒としてではなく、アレクセイ殿下が何かの恩義で動いているのだと私は勝手に捉えてる。実際はわからないけど。』
大きな瞳をくるくる回しながら語る内容とは思えぬ程的を射る回答である。ラインハルトも思わず息を飲んだ。
『で?王太子殿下のお人柄だっけ?さっきの話しとも被るんだけど、私はジュリラン王国を崇拝してるの。だって考えてみて。ジュリラン王国の王太子と王女のお二人。すべて母親が異なりながら子どもは3人。オリヴィア王女は今は帝国皇后陛下として大陸に名を馳せる。ステファニー王女は一時危うさが露呈するも今や完成復活され、それこそ一国の公爵夫人として異例な程、大陸で知らぬ者は居ないわ。
そのお二人を無事嫁がせ今があるのは、全てラインハルト王太子殿下のお力だと思ってるの。だってお一人ならまだしも、あれだけ個性の強い全く異なる王女が大成されるには大きなご苦労があったはず。
その上ご自身はこれまで浮いた噂1つないわ。ご自身を後回しにしてまでも取り組む姿勢なんて統率者の鏡だわ。』
『単に女に興味が無いだけでは?』
突っ込んだ侍従に
『それならそれでいいわ。嫁ぐ私がそう解釈して嫁ぐだけのこと。』
ピシャリと返す姿は、やはり王女である。
『そしてサエラ王太子だっけ?あのお話しはお断りするつもりでいたから。王命が出れば仕方がないけど、お父様はそんな事は私に要求しないわ。』
『サエラ王太子の何がご不満で?』
『別に不満はないわ。ただ何の興味もないの。』
ケラケラと笑う妖精は頭が空っぽではないらしい。
側で身を潜めるラインハルトは放心していた。何故だか分からないが胸が熱くなるのを覚えたのは確かである。何故ならラインハルトはどうやって執務室に戻ってきたのかを覚えていなかった程であるのだ。
ラインハルトは1人執務室で静かに瞳を閉じた。
ラインハルトはガゼボに向かうとアリス王女は侍従らをゾロゾロと連れてお茶を飲んでいた。
『王女、よろしいのですか?あんなので。』
あんなのというのは間違いなくラインハルトの事であろう。ラインハルトは思わず身を隠した。
『何が?』
アリスは首を傾げてその侍従を見た。ピンクブロンドの髪色が首を傾げる。これは脳内花畑のテッパンである。
…。
『ですから、王女を娶ろうとする王太子ともあろうお方が王女には興味も示さず、たとえ政略結婚としてもあれはないですわ!』
『そもそもアレクセイ殿下からの縁談でも別にアリス王女でなくても良かったのでは?』
『サエラ王国の王太子程の美男子もアリス王女を娶ろうと動いてたのですよ?あちらにしておけば良かったものの』
次々と放たれるラインハルトにとっては耳が痛い愚痴にアリスは笑いながら答えた。
『分かった分かった。分かったから声を抑えてちょうだい。貴女たちもこれからここに身を置く身。話しておかないとね。
うんと?何だっけ?先ず私はジュリラン王国が好きなの。知っての通り私はジュリラン史を専攻してたでしょ?より知る為に各国から見たジュリラン王国を知りたくて方方に留学してた時に一度だけアレクセイ殿下とお会いした事があるの。って言っても個人的にお話しした事はないのよ?だから殿下は私がジュリラン王国に好意を持っている事もご存知なはず。この縁談はどこかの国の駒としてではなく、アレクセイ殿下が何かの恩義で動いているのだと私は勝手に捉えてる。実際はわからないけど。』
大きな瞳をくるくる回しながら語る内容とは思えぬ程的を射る回答である。ラインハルトも思わず息を飲んだ。
『で?王太子殿下のお人柄だっけ?さっきの話しとも被るんだけど、私はジュリラン王国を崇拝してるの。だって考えてみて。ジュリラン王国の王太子と王女のお二人。すべて母親が異なりながら子どもは3人。オリヴィア王女は今は帝国皇后陛下として大陸に名を馳せる。ステファニー王女は一時危うさが露呈するも今や完成復活され、それこそ一国の公爵夫人として異例な程、大陸で知らぬ者は居ないわ。
そのお二人を無事嫁がせ今があるのは、全てラインハルト王太子殿下のお力だと思ってるの。だってお一人ならまだしも、あれだけ個性の強い全く異なる王女が大成されるには大きなご苦労があったはず。
その上ご自身はこれまで浮いた噂1つないわ。ご自身を後回しにしてまでも取り組む姿勢なんて統率者の鏡だわ。』
『単に女に興味が無いだけでは?』
突っ込んだ侍従に
『それならそれでいいわ。嫁ぐ私がそう解釈して嫁ぐだけのこと。』
ピシャリと返す姿は、やはり王女である。
『そしてサエラ王太子だっけ?あのお話しはお断りするつもりでいたから。王命が出れば仕方がないけど、お父様はそんな事は私に要求しないわ。』
『サエラ王太子の何がご不満で?』
『別に不満はないわ。ただ何の興味もないの。』
ケラケラと笑う妖精は頭が空っぽではないらしい。
側で身を潜めるラインハルトは放心していた。何故だか分からないが胸が熱くなるのを覚えたのは確かである。何故ならラインハルトはどうやって執務室に戻ってきたのかを覚えていなかった程であるのだ。
ラインハルトは1人執務室で静かに瞳を閉じた。
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