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最悪な出会い
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馬車に揺られて3日程、隣国からこの国ムヌク王国へ嫁ぐ私はヘリンズ王国第3王女であるキャサリン・ヘリンズ。
王女としてこの世に生を受け、いつかはどこかの国へと嫁ぐは使命。上から順にあてがわれる王国。たまたま私に廻ってきたのがこの、ムヌク王国。
馬車から眺める光景は、隣国というのに全く異なる。ヘリンズ王国は自然豊かな国であり、穏やかに時が過ぎるいわゆる田舎である。
農産物が豊富であり、かつては他国との国交も盛んではなく自国のみで成り立つ国であったらしい。いわゆる娯楽も少なく他にやる事が無いのか出生率だけは高い。王族をみても私には8人の兄弟がいる。しかも国王に側妃は居ない。全て王妃の子どもなのだ。
しかし我が国には金山がある為財政困難に陥る事はない。しかし時の流れの中で他国との交流も増え、貴族たちも様々な国からもたらされる品々や技術を求め国が繁栄している今日このごろ。
ムヌク王国の王都が近くなってきたのであろう。活気溢れる町並みの中を馬車が通り過ぎる。
あぁ、この町並み。お姉様たちであれば目を輝かせたであろうに‥。私はちっとも心が弾まないわ。
そんな事を考えているうちに馬車は静かに止まる。
しばらくすると馬車の扉が開かれ、目の前に広がる壮大な敷地にそびえ立つ王宮が目に入る。
‥確実に迷子になるわね。
想像を超える出迎えの人数に先ず驚くキャサリン。
ゾロゾロと両端に並ぶ者の中をエスコートに従い歩みを進める。
重厚感溢れる扉の前まで来ると、エスコートが離れ、重鎮らしき男と交代する。その男は扉の向こうでのこれから行われる謁見を1から10まで説明を始める。
‥挨拶なしかい?
キャサリンの思いなど関係なしに、扉が両脇に控える衛兵によって開かれた。
謁見の間に入ると先程までの空気とは異なり、重く冷たい空気が漂っている。
中央には国王と王妃。
その後ろにゾロゾロと一列に並ぶ王族が控えている。
恐らく格好を見る限り後ろの中央の3人が王子であろう。
キャサリンは先程教えて貰った通り、定位置まで来ると深く膝を折った。
『キャサリン・ヘリンズでございます。』
‥。
‥いつまでこうさせておくつもり?カーテシーは得意じゃないんだけど?
『楽にしてよい。』
キャサリンが顔を上げると一斉に視線が集まる。
‥見せ物か?私は。
『遠度はるばるご苦労であった。後は第一王子と頼む』
そう言い残しゾロゾロと部屋を出て行った。
‥まぢで?おかしくないか?ってかこのためにゾロゾロ集合してたのかい?
キャサリンが固まっていると、先程の重鎮らしき男が第一王子と思われる男に耳打ちし第一王子は軽く舌打ちを壇上から降りこちらに向かってきた。
‥今舌打ちしたよね?
『こちらへ』
第一王子は部屋のサイドにあるソファまでエスコートする為か手を差し出した。
‥挨拶は?
キャサリンは黙って、手を重ねるとすぐそこにあるソファがえらく遠くに感じてならなかった。
『カールトン・ムヌクだ。』
‥おっ、名を名乗りよった。
『キャサリン・ヘリンズと申します。』
カールトンは窓の外を眺めながら
『堅苦しいのは好きではない。』
‥いや、しらんがな。
『まぁ、常識の範囲内で好きに過ごしてくれて構わないから。』
カールトンはそれだけ言って席を立った。
‥え?何なん?私はこれでもヘリンズ王国の王女だけど?誰かと間違ってない?えっと、どうすんのよ?私。
残されたキャサリンはしばらく一人でソファで頭を巡らせ思い立った様にソファから立ち上がり窓の外を眺めていた。
‥えっと、何も指示もなしにおいてきぼり。帰っていいの?
そんな事を考えていると、侍女らしき女が5人こちらに私を呼びに来た。揃いも揃って能面のような5人。表情は皆無。
キャサリンは舐められてはいけないと思い、5人に鋭い視線を流した。
『王女、お待たせしました。』
‥本当だよ。待ちくたびれたわ。
『こちらでございます。』
‥だから挨拶は?
キャサリンは黙って案内された部屋に入ると
『何かございましたらお申し付け下さいませ。』
テンプレ通りの言葉を一人が発すると後ろの4人はきれいに揃って頭を下げた。
『では、用があるときはメイドさんって呼べばいいのかしら?』
キャサリンは嫌味をぶっ込んでやると5人は目を見開き真っ赤になるも、
『失礼致しました。私はモニカと申します。』
モニカ、ライザ、マリー、ザラ、エルナーと5人は名乗り出て行った。
その後ろ姿を見守りキャサリンはようやく一息をついた。
王女としてこの世に生を受け、いつかはどこかの国へと嫁ぐは使命。上から順にあてがわれる王国。たまたま私に廻ってきたのがこの、ムヌク王国。
馬車から眺める光景は、隣国というのに全く異なる。ヘリンズ王国は自然豊かな国であり、穏やかに時が過ぎるいわゆる田舎である。
農産物が豊富であり、かつては他国との国交も盛んではなく自国のみで成り立つ国であったらしい。いわゆる娯楽も少なく他にやる事が無いのか出生率だけは高い。王族をみても私には8人の兄弟がいる。しかも国王に側妃は居ない。全て王妃の子どもなのだ。
しかし我が国には金山がある為財政困難に陥る事はない。しかし時の流れの中で他国との交流も増え、貴族たちも様々な国からもたらされる品々や技術を求め国が繁栄している今日このごろ。
ムヌク王国の王都が近くなってきたのであろう。活気溢れる町並みの中を馬車が通り過ぎる。
あぁ、この町並み。お姉様たちであれば目を輝かせたであろうに‥。私はちっとも心が弾まないわ。
そんな事を考えているうちに馬車は静かに止まる。
しばらくすると馬車の扉が開かれ、目の前に広がる壮大な敷地にそびえ立つ王宮が目に入る。
‥確実に迷子になるわね。
想像を超える出迎えの人数に先ず驚くキャサリン。
ゾロゾロと両端に並ぶ者の中をエスコートに従い歩みを進める。
重厚感溢れる扉の前まで来ると、エスコートが離れ、重鎮らしき男と交代する。その男は扉の向こうでのこれから行われる謁見を1から10まで説明を始める。
‥挨拶なしかい?
キャサリンの思いなど関係なしに、扉が両脇に控える衛兵によって開かれた。
謁見の間に入ると先程までの空気とは異なり、重く冷たい空気が漂っている。
中央には国王と王妃。
その後ろにゾロゾロと一列に並ぶ王族が控えている。
恐らく格好を見る限り後ろの中央の3人が王子であろう。
キャサリンは先程教えて貰った通り、定位置まで来ると深く膝を折った。
『キャサリン・ヘリンズでございます。』
‥。
‥いつまでこうさせておくつもり?カーテシーは得意じゃないんだけど?
『楽にしてよい。』
キャサリンが顔を上げると一斉に視線が集まる。
‥見せ物か?私は。
『遠度はるばるご苦労であった。後は第一王子と頼む』
そう言い残しゾロゾロと部屋を出て行った。
‥まぢで?おかしくないか?ってかこのためにゾロゾロ集合してたのかい?
キャサリンが固まっていると、先程の重鎮らしき男が第一王子と思われる男に耳打ちし第一王子は軽く舌打ちを壇上から降りこちらに向かってきた。
‥今舌打ちしたよね?
『こちらへ』
第一王子は部屋のサイドにあるソファまでエスコートする為か手を差し出した。
‥挨拶は?
キャサリンは黙って、手を重ねるとすぐそこにあるソファがえらく遠くに感じてならなかった。
『カールトン・ムヌクだ。』
‥おっ、名を名乗りよった。
『キャサリン・ヘリンズと申します。』
カールトンは窓の外を眺めながら
『堅苦しいのは好きではない。』
‥いや、しらんがな。
『まぁ、常識の範囲内で好きに過ごしてくれて構わないから。』
カールトンはそれだけ言って席を立った。
‥え?何なん?私はこれでもヘリンズ王国の王女だけど?誰かと間違ってない?えっと、どうすんのよ?私。
残されたキャサリンはしばらく一人でソファで頭を巡らせ思い立った様にソファから立ち上がり窓の外を眺めていた。
‥えっと、何も指示もなしにおいてきぼり。帰っていいの?
そんな事を考えていると、侍女らしき女が5人こちらに私を呼びに来た。揃いも揃って能面のような5人。表情は皆無。
キャサリンは舐められてはいけないと思い、5人に鋭い視線を流した。
『王女、お待たせしました。』
‥本当だよ。待ちくたびれたわ。
『こちらでございます。』
‥だから挨拶は?
キャサリンは黙って案内された部屋に入ると
『何かございましたらお申し付け下さいませ。』
テンプレ通りの言葉を一人が発すると後ろの4人はきれいに揃って頭を下げた。
『では、用があるときはメイドさんって呼べばいいのかしら?』
キャサリンは嫌味をぶっ込んでやると5人は目を見開き真っ赤になるも、
『失礼致しました。私はモニカと申します。』
モニカ、ライザ、マリー、ザラ、エルナーと5人は名乗り出て行った。
その後ろ姿を見守りキャサリンはようやく一息をついた。
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