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夜会
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美しく輝く王太子妃に誰もが息を飲んだ結婚式も滞りなく終え、後は夜会のみを残す事となった。
『全く、美しいの一言もないなんて!』
ザラが憤りを露わにするも、キャサリンは笑い飛ばす。
『いいのよ!アレの為に着飾ってるわけじゃないわだから。私は私と私を美しく仕上げた貴女たちの為に着飾って退屈な時間をやり過ごしているのだから。さあ、あと少しね。夜会のドレスはどんなの?』
他人事の様に話すキャサリンにモニカが小さく切ったサンドイッチを渡す。
『‥我慢比べ?』
見上げるキャサリンにモニカは
『少しだけですよ?』
‥。まぢで?
『いいの?』
笑顔で頷くモニカ。
『モニカ!貴女最高だわ!』
がっつくキャサリンにザラは
『王太子妃がサンドイッチ1つでこんなにお喜びになるなんて‥』
口いっぱいに頬張るキャサリンは
『‥なによ?』
ザラを睨み付ける。
笑いを堪える侍女たちを横目にザラは
『最高でございます!』
納得したキャサリンはまた優秀な侍女たちの手によって、結婚式とは全く異なる天使の様に可愛らしい王太子妃に仕上げられた。
いざ出陣!!
夜会の始まりを告げるファンファーレが鳴る。
大きな扉が開かれ王太子と王太子妃が登場すると会場は大きな拍手で迎えた。
カールトンの腕に手を回すキャサリン。各国の参列者に挨拶に回る。早く終われ早く終われ、念仏の様に唱えるキャサリン。
王宮雅楽団の奏でる音楽が変わる。
ダンスが始まる。ファーストダンスはこの2人によるものであるため、皆会場の端に歩みを進める。2人は反対に会場の中央に立ちファーストダンスが始まった。
皆が2人の表情に注目する中、カールトンはおとぎ話の王子様ばりの笑顔でキャサリンを見つめると
キャサリンもまた照れる乙女の様な表情でカールトンを見つめる。
2人による騙し合いだ。
ある意味このふたりは王族としての素質は十分である。しかもこの演技力には脱帽する程。
ファーストダンスは名残惜しい雰囲気の中終えるとカールトンは側近と挨拶に回り、キャサリンは少し休むと言ってバルコニーへ出た。
風が冷たく心地よい。
‥何やってるんだ、私は。
大きな溜息を付き夜空を見上げる。澄んだ空気が星空を一段と美しく輝かせる。
『お疲れかな?』
いきなり声を掛けられ振り返ると‥
‥誰だっけ?あれ?見たことある。どっかの王子だったような‥
男はニヤリと口角を上げた。
『貴女は面白いな。心が顔に全て出ておる。私はリラ大王国マキシミリアンだ。』
!そうだそうだ。
『これは失礼いたしました。あまりに素敵で声を失っておりましたわ。』
マキシミリアンはキャサリンの目を射抜く様に見つめ
『一曲いかがかな?』
『とんでもない事ですわ!私はダンスが苦手でして万が一でも殿下のお足を踏みつけてはなりません故ご遠慮申し上げます。』
にっこり微笑むキャサリンにマキシミリアンは
『見事なダンスであったが?』
苦笑いのマキシミリアンの耳元で
『ここだけの話ですが、実はアレだけなのです。一つ覚えの様にアレだけ練習を重ねてやっとあの出来なのですよ!』
『そうか、それにしても新婚というのに冷めきった2人であったな?心配するぞ?』
キャサリンは驚き目を見開くも瞬時に微笑む。
『ご心配ありがとうございます。しかしそのご心配は無用ですわ!』
‥ヤバい、この男。只者ではない。逃げろ!
『カールトン様が探しておいでですわ!私はこれにて失礼致します。』
優雅なカーテシーを披露し逃げる様に探してもいないカールトンの元へ向かった。
目の前に突如として現れた妃を見て怪訝そうな顔をするカールトン。
‥うわぁ、あからさま!
『失礼!しかし少しだけこちらに向けて微笑んで下さいませ。』
?
『訳がわからなくてもそんなアホのようなお顔はやめて微笑んで!』
カチンと来たカールトンは口を開こうとした時、キャサリンは徐ろにマキシミリアンを恐る恐る確認するように見た。
カールトンは何が何か分からないが口を閉じ、完璧な王子様スマイルをキャサリンに向けた。
マキシミリアンを見るとこちらを凝視している。何故だか分からないがカールトンはキャサリンの腰を抱き寄せ腕の中に閉じ込めた。
しばらくしてキャサリンは
『もう大丈夫です。お手間を取らせて申し訳ありません。』
そう言うと、会場を出て部屋に戻って行った。
その後姿を見つめているとカールトンは視線を感じその方を見ると‥
マキシミリアンが薄ら笑いをしてこちらを見つめていたのであった。
『全く、美しいの一言もないなんて!』
ザラが憤りを露わにするも、キャサリンは笑い飛ばす。
『いいのよ!アレの為に着飾ってるわけじゃないわだから。私は私と私を美しく仕上げた貴女たちの為に着飾って退屈な時間をやり過ごしているのだから。さあ、あと少しね。夜会のドレスはどんなの?』
他人事の様に話すキャサリンにモニカが小さく切ったサンドイッチを渡す。
『‥我慢比べ?』
見上げるキャサリンにモニカは
『少しだけですよ?』
‥。まぢで?
『いいの?』
笑顔で頷くモニカ。
『モニカ!貴女最高だわ!』
がっつくキャサリンにザラは
『王太子妃がサンドイッチ1つでこんなにお喜びになるなんて‥』
口いっぱいに頬張るキャサリンは
『‥なによ?』
ザラを睨み付ける。
笑いを堪える侍女たちを横目にザラは
『最高でございます!』
納得したキャサリンはまた優秀な侍女たちの手によって、結婚式とは全く異なる天使の様に可愛らしい王太子妃に仕上げられた。
いざ出陣!!
夜会の始まりを告げるファンファーレが鳴る。
大きな扉が開かれ王太子と王太子妃が登場すると会場は大きな拍手で迎えた。
カールトンの腕に手を回すキャサリン。各国の参列者に挨拶に回る。早く終われ早く終われ、念仏の様に唱えるキャサリン。
王宮雅楽団の奏でる音楽が変わる。
ダンスが始まる。ファーストダンスはこの2人によるものであるため、皆会場の端に歩みを進める。2人は反対に会場の中央に立ちファーストダンスが始まった。
皆が2人の表情に注目する中、カールトンはおとぎ話の王子様ばりの笑顔でキャサリンを見つめると
キャサリンもまた照れる乙女の様な表情でカールトンを見つめる。
2人による騙し合いだ。
ある意味このふたりは王族としての素質は十分である。しかもこの演技力には脱帽する程。
ファーストダンスは名残惜しい雰囲気の中終えるとカールトンは側近と挨拶に回り、キャサリンは少し休むと言ってバルコニーへ出た。
風が冷たく心地よい。
‥何やってるんだ、私は。
大きな溜息を付き夜空を見上げる。澄んだ空気が星空を一段と美しく輝かせる。
『お疲れかな?』
いきなり声を掛けられ振り返ると‥
‥誰だっけ?あれ?見たことある。どっかの王子だったような‥
男はニヤリと口角を上げた。
『貴女は面白いな。心が顔に全て出ておる。私はリラ大王国マキシミリアンだ。』
!そうだそうだ。
『これは失礼いたしました。あまりに素敵で声を失っておりましたわ。』
マキシミリアンはキャサリンの目を射抜く様に見つめ
『一曲いかがかな?』
『とんでもない事ですわ!私はダンスが苦手でして万が一でも殿下のお足を踏みつけてはなりません故ご遠慮申し上げます。』
にっこり微笑むキャサリンにマキシミリアンは
『見事なダンスであったが?』
苦笑いのマキシミリアンの耳元で
『ここだけの話ですが、実はアレだけなのです。一つ覚えの様にアレだけ練習を重ねてやっとあの出来なのですよ!』
『そうか、それにしても新婚というのに冷めきった2人であったな?心配するぞ?』
キャサリンは驚き目を見開くも瞬時に微笑む。
『ご心配ありがとうございます。しかしそのご心配は無用ですわ!』
‥ヤバい、この男。只者ではない。逃げろ!
『カールトン様が探しておいでですわ!私はこれにて失礼致します。』
優雅なカーテシーを披露し逃げる様に探してもいないカールトンの元へ向かった。
目の前に突如として現れた妃を見て怪訝そうな顔をするカールトン。
‥うわぁ、あからさま!
『失礼!しかし少しだけこちらに向けて微笑んで下さいませ。』
?
『訳がわからなくてもそんなアホのようなお顔はやめて微笑んで!』
カチンと来たカールトンは口を開こうとした時、キャサリンは徐ろにマキシミリアンを恐る恐る確認するように見た。
カールトンは何が何か分からないが口を閉じ、完璧な王子様スマイルをキャサリンに向けた。
マキシミリアンを見るとこちらを凝視している。何故だか分からないがカールトンはキャサリンの腰を抱き寄せ腕の中に閉じ込めた。
しばらくしてキャサリンは
『もう大丈夫です。お手間を取らせて申し訳ありません。』
そう言うと、会場を出て部屋に戻って行った。
その後姿を見つめているとカールトンは視線を感じその方を見ると‥
マキシミリアンが薄ら笑いをしてこちらを見つめていたのであった。
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