35 / 94
ダリス大王国最終日
しおりを挟む
交流会の日程は昨晩の夜会で全て終了し各国帰路に付く。
ムヌク王国の2人も帰路の準備を終えるも、2人にはファビウスが持って来たキャサリンのファンとやらの交流が残されている。
ファビウスに出来るだけ短時間でと約束しダリス大王国が用意してくれた広間へ向かう。
非公式でただのファンサービスであるが、驚く程王族の風格をかなぐり捨てた国王に驚きつつも、迅速に面会をこなし残す所1国。
ヴェルヴァス王国のウィリアムとステファニーである。
部屋に入って来る2人を見つめていると後にダリス大王国のエドワードとルリネットまでやって来た。
慌てて立ち上がる2人にエドワードは
『非公式ですから楽に』
その声をともに全員がソファに腰を掛けた。
流れる沈黙。ウィリアムは目の前のキャサリンを凝視している。キャサリンもおとぎ話からそのまま出てきた様なウィリアムに見つめられどこか痒くなるのを覚えた。
『お兄様!ウィルお兄様!そんなに見ていてはキャサリン様のお顔に穴が開きますわよ?』
ルリネットから指摘に我に返るウィリアムは
『申し訳ありません。つい。』
キャサリンは苦笑いになるもカールトンは穏やかではない。
『キャサリン様、気を悪くされないでくださいね。実は私の兄2人はキャサリン様の熱烈なファンでして毎日絵姿を眺めていらっしゃった程ですのよ?』
他人の恋バナが大好きなルリネットはご機嫌で話すも
『リネット、やめてくれ。キャサリン殿も戸惑われるではないか!』
‥いやいや私も戸惑うよ義兄上。
怪訝そうな表情で見守るエドワード。
『私はウィリアム殿下とどこかでお会いしてましたでしょうか?』
直接話しかけられたウィリアムは満面の笑みで答える。
『弟の留学先でお見かけしたのです。弟の留学先に天使と呼ばれる王女が居ると評判でしたので私だけではなく、友人らの王子たちと一目見ようと訪れたのが昨日の事のようだ。』
饒舌に話すウィリアムにソフィアが頬を膨らませ言う。
『兄妹揃って、キャサリン様の絵姿をニヤニヤとご覧になられておりましたのよ?』
ウィリアムは慌てて
『ニヤニヤはないだろう?ソフィア。』
ウィリアムはキャサリンへの憧れを語りながら愛妻の肩を抱き寄せる。
和やかな空気が流れる中、カールトンは真面目に言う。
『ウィリアム殿、その絵姿とやら回収させて頂きたいのですが?』
‥。
固まる一同。
『回収って、絵姿はファンの唯一の楽しみでありウィルお兄様だけではなくアルお兄様もそのご友人も、先程お会いになられた王太子も皆持ってますわよ?』
驚き口を開くルリネットにエドワードが
『キャサリン殿は大人気なのだな?ならば何故我が国の王妃選定にいらっしゃらなかったのだ?』
一瞬固まりすぐにエドワードに向けて
『エド!私では不満と?ウィルお兄様!私もヴェルヴァスに戻りますわ!』
怒るルリネットに慌てて
『そうではない、そうではないがキャサリン殿も王女であろう?参加してもおかしくなかったと言うだけだ。それにあの時はまだ兄上が立太子するものだと思っていたからね。リネットもそうであったろ?』
『‥確かに。』
ルリネットはすぐさま機嫌をなおしカールトンを説得する。
『ですからね?絵姿くらいケチケチしなくても良いでしょう?殿下には御本人がいらっしゃるのですら!』
‥ケチケチって言ったわ。この王妃。
絵姿の話から逃れたいキャサリンはエドワードに
『ダリス大王国の王女選定には姉が出ておりました。敢え無く脱落して戻って参りましたが。』
おどけるキャサリンに笑いが起こる。
そんな時ウィリアムが真面目に口を開いた。
『この度はありがとうございました。ソフィアの件では本当に助けられました。誰よりもヴェルヴァスを知る公爵令嬢が王妃である事を民にとって国にとって心強いとおっしゃって頂きましたこと、我々は一生忘れません。どうぞ今後とも末永く宜しくお願いします。』
頭を垂れる2人にキャサリンは慌てて
『こちらこそ宜しくお願いします。』
こうして楽しいひとときを終え2人はようやくムヌク王国へと帰れる事になった。
‥絵姿の回収か
カールトンはすぐさまファビウスに命を出すもファビウスは苦笑いをしながら2人を馬車に押し込んだ。
ムヌク王国の2人も帰路の準備を終えるも、2人にはファビウスが持って来たキャサリンのファンとやらの交流が残されている。
ファビウスに出来るだけ短時間でと約束しダリス大王国が用意してくれた広間へ向かう。
非公式でただのファンサービスであるが、驚く程王族の風格をかなぐり捨てた国王に驚きつつも、迅速に面会をこなし残す所1国。
ヴェルヴァス王国のウィリアムとステファニーである。
部屋に入って来る2人を見つめていると後にダリス大王国のエドワードとルリネットまでやって来た。
慌てて立ち上がる2人にエドワードは
『非公式ですから楽に』
その声をともに全員がソファに腰を掛けた。
流れる沈黙。ウィリアムは目の前のキャサリンを凝視している。キャサリンもおとぎ話からそのまま出てきた様なウィリアムに見つめられどこか痒くなるのを覚えた。
『お兄様!ウィルお兄様!そんなに見ていてはキャサリン様のお顔に穴が開きますわよ?』
ルリネットから指摘に我に返るウィリアムは
『申し訳ありません。つい。』
キャサリンは苦笑いになるもカールトンは穏やかではない。
『キャサリン様、気を悪くされないでくださいね。実は私の兄2人はキャサリン様の熱烈なファンでして毎日絵姿を眺めていらっしゃった程ですのよ?』
他人の恋バナが大好きなルリネットはご機嫌で話すも
『リネット、やめてくれ。キャサリン殿も戸惑われるではないか!』
‥いやいや私も戸惑うよ義兄上。
怪訝そうな表情で見守るエドワード。
『私はウィリアム殿下とどこかでお会いしてましたでしょうか?』
直接話しかけられたウィリアムは満面の笑みで答える。
『弟の留学先でお見かけしたのです。弟の留学先に天使と呼ばれる王女が居ると評判でしたので私だけではなく、友人らの王子たちと一目見ようと訪れたのが昨日の事のようだ。』
饒舌に話すウィリアムにソフィアが頬を膨らませ言う。
『兄妹揃って、キャサリン様の絵姿をニヤニヤとご覧になられておりましたのよ?』
ウィリアムは慌てて
『ニヤニヤはないだろう?ソフィア。』
ウィリアムはキャサリンへの憧れを語りながら愛妻の肩を抱き寄せる。
和やかな空気が流れる中、カールトンは真面目に言う。
『ウィリアム殿、その絵姿とやら回収させて頂きたいのですが?』
‥。
固まる一同。
『回収って、絵姿はファンの唯一の楽しみでありウィルお兄様だけではなくアルお兄様もそのご友人も、先程お会いになられた王太子も皆持ってますわよ?』
驚き口を開くルリネットにエドワードが
『キャサリン殿は大人気なのだな?ならば何故我が国の王妃選定にいらっしゃらなかったのだ?』
一瞬固まりすぐにエドワードに向けて
『エド!私では不満と?ウィルお兄様!私もヴェルヴァスに戻りますわ!』
怒るルリネットに慌てて
『そうではない、そうではないがキャサリン殿も王女であろう?参加してもおかしくなかったと言うだけだ。それにあの時はまだ兄上が立太子するものだと思っていたからね。リネットもそうであったろ?』
『‥確かに。』
ルリネットはすぐさま機嫌をなおしカールトンを説得する。
『ですからね?絵姿くらいケチケチしなくても良いでしょう?殿下には御本人がいらっしゃるのですら!』
‥ケチケチって言ったわ。この王妃。
絵姿の話から逃れたいキャサリンはエドワードに
『ダリス大王国の王女選定には姉が出ておりました。敢え無く脱落して戻って参りましたが。』
おどけるキャサリンに笑いが起こる。
そんな時ウィリアムが真面目に口を開いた。
『この度はありがとうございました。ソフィアの件では本当に助けられました。誰よりもヴェルヴァスを知る公爵令嬢が王妃である事を民にとって国にとって心強いとおっしゃって頂きましたこと、我々は一生忘れません。どうぞ今後とも末永く宜しくお願いします。』
頭を垂れる2人にキャサリンは慌てて
『こちらこそ宜しくお願いします。』
こうして楽しいひとときを終え2人はようやくムヌク王国へと帰れる事になった。
‥絵姿の回収か
カールトンはすぐさまファビウスに命を出すもファビウスは苦笑いをしながら2人を馬車に押し込んだ。
12
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。
夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。
辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。
側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。
※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる