61 / 94
ヨハネスの心
しおりを挟む
相変わらず毎日、朝一番で恒例となるエリーヌのヨハネス執務室訪問で一日が始まる。
昨日の今日でヨハネスはエリーヌを見るも、市場での姿が嘘のように平常運転のエリーヌ。
『おはようございます!ヨハネス様。』
脳内お花畑代表のようなエリーヌに反射的に
『こうも毎日毎日来なくても良いのだけど?』
いつものセリフを吐くとエリーヌは嬉しそうに
『契約結婚の婚約者ですもの!』
いつものように返し部屋を出て行った。
‥。
『殿下、よろしいですか?』
顔を出したのはギャレット。ヨハネスは頷くと
『仰々しいのはいいから報告しろ。』
ギャレットは急いでヨハネスに報告書を手渡した。
ヨハネスが黙読している間、じっと見つめるギャレット。
『何だ?』
怪訝そうにヨハネスが言うと
『いえ、まだ途中の様ですので、ネタバレはマズいですもんね?』
‥ネタバレって
『ならばそこに座って待っていてくれ、気が散る』
ギャレットは嬉しそうにソファに腰を下ろした。
しばらくしヨハネスは席を立ちギャレットの前に座ると
『どういう事だ?』
『書面の通りでございます。私も驚きました。まさかあのエリーヌ嬢が。』
嬉しそうなギャレットに
『お前の感想は聞いていないよ。ってか何でお前が嬉しそうなの?』
『エリーヌ嬢はもう5年程になるようです。』
『何が?』
『看板娘ですよ。』
‥看板娘って、公爵令嬢だぞ?
『幼い頃よりエリーヌ様は母上とよく慈善活動に参加され孤児院などを訪問していたとの事ですが、母上がお亡くなり今はお一人で活動されておられる様です。』
『それがどうなったら看板娘なのだ?』
『あそこの店にはちょくちょくお手伝いに入っているようですが普段はエリックという青年がお手伝いをしているらしいです。昨日はエリックとやら青年が都合が付かずピンチヒッターじゃないですか?』
ニヤニヤしているギャレットに
『ピンチヒッター。私の婚約者がか?』
ギャレットの顔は一気に引き締まる。
『何でも普段のエリーヌ様はスラムの子ども達に読み書きを教えているらしく、今日もこの後行かれるんじゃないですか?』
ヨハネスはギャレットを睨み付けると
『何が今日もこの後だ!仮にも我が国の公爵令嬢だぞ!スラムに令嬢が1人で行くなんて有り得ないだろ!何故止めなかった!』
ヨハネスはギャレットを残しエリーヌの後を追った。
エリーヌはちょうど公爵家の馬車に乗り込む所でヨハネスはエリーヌを確保した。
息を切らすヨハネスに
『どうされました?』
王子が息を切らし追いかけてくる。これは一大事とエリーヌは素のまま声を掛けた。
はっとするもヨハネスが注視しているのでエリーヌはキョトンと首だけ傾げた。
『何処へいく?』
ヨハネスの言葉にエリーヌは少し固まり
『いやですわ、殿下。公爵邸に戻りますわ!』
‥。
『そうか、ならば私が送ろう。』
目を見開くエリーヌは少し考え
『そうでしたわ!新作のドレスを街に見に行くのでした!忘れてましたわ!』
エリーヌは舌を出して笑った。
『そうか、では私も付き合おう。』
そう言うとエリーヌの腕を掴み公爵家の馬車に乗り込んだ。馬車はいつもの様に走り出す。毎日通る道のりを確かめる様に静かに走る馬車。
『殿下!執務はどうするのです?』
『今日は特に無い。』
『殿下、契約結婚ですのでお気遣いなく!』
『別に気を使っているわけではない。婚約者だからではなく公爵令嬢に話を聞きたくて王子としてここに居る。』
真剣な表情のヨハネスをエリーヌは初めてみた。おそらくムヌク王国の令嬢たちも見たことは無いはずだ。
『王子として聞く。何処へ行くつもりだ?』
エリーヌは目を泳がせるも
『別にやましい事はありません。王家に対する謀反でもありません。』
ヨハネスは息を1つ吐き
『当たり前だ。それならばとっくに牢屋にぶち込んでいるよ。』
ヨハネスはエリーヌをじっと見据える。エリーヌはそれでも怯まない。2人の攻防が続く中、馬車は静かに止まった。
エリーヌは瞳を閉じた。
白い肌を伝う大粒の涙。
ヨハネスは扉のカギをしっかり閉めると
『どういう事か説明してくれるよね?』
この日初めてヨハネスは王子スマイルを見せた。
エリーヌは顔を上げヨハネスを見据えゆっくりと話しだした。
『こちらで子ども達に読み書きを教えております。』
『公爵令嬢がする事ではないね?』
『ここに居る子どもたちに罪はありません。みんな素直な良い子達です。ですがこのまま大きくなれば先は見えております。
子どもたちの可能性を広げる為にも微力なのは分かっております。いつまでも続けられない事も分かっております。でも私はやめられなかった‥』
黙り込むヨハネス。
『今日だけ、今日で終わりにしますから。』
『駄目だ。行かせるわけないにはいかない。』
『殿下、本当に今日だけ。今日は約束しておりますので。
子どもたちに嘘はつきたくありません!今までの事が全て信じてもらえなくなります。きちんとさよならをしたいのです!
お願いします。罰なら喜んでお受けしますから!』
‥。
どれほどの時間が経ったのであろう。静寂な馬車とは裏腹に外は賑やかな音が響き渡る。1人叫ぶ者。
ケンカする者。泣きじゃくる赤子。
『エリーヌ嬢、やはり君1人でこの外へ行かせる事は出来ない。』
落胆するエリーヌ。
ガチャガチャと扉が開かれるとエリーヌは驚いた様にヨハネスを見る。ヨハネスは先に降りるとエリーヌに手を差し伸べた。驚きながらもエリーヌはヨハネスの手を取り馬車を降りた。
昨日の今日でヨハネスはエリーヌを見るも、市場での姿が嘘のように平常運転のエリーヌ。
『おはようございます!ヨハネス様。』
脳内お花畑代表のようなエリーヌに反射的に
『こうも毎日毎日来なくても良いのだけど?』
いつものセリフを吐くとエリーヌは嬉しそうに
『契約結婚の婚約者ですもの!』
いつものように返し部屋を出て行った。
‥。
『殿下、よろしいですか?』
顔を出したのはギャレット。ヨハネスは頷くと
『仰々しいのはいいから報告しろ。』
ギャレットは急いでヨハネスに報告書を手渡した。
ヨハネスが黙読している間、じっと見つめるギャレット。
『何だ?』
怪訝そうにヨハネスが言うと
『いえ、まだ途中の様ですので、ネタバレはマズいですもんね?』
‥ネタバレって
『ならばそこに座って待っていてくれ、気が散る』
ギャレットは嬉しそうにソファに腰を下ろした。
しばらくしヨハネスは席を立ちギャレットの前に座ると
『どういう事だ?』
『書面の通りでございます。私も驚きました。まさかあのエリーヌ嬢が。』
嬉しそうなギャレットに
『お前の感想は聞いていないよ。ってか何でお前が嬉しそうなの?』
『エリーヌ嬢はもう5年程になるようです。』
『何が?』
『看板娘ですよ。』
‥看板娘って、公爵令嬢だぞ?
『幼い頃よりエリーヌ様は母上とよく慈善活動に参加され孤児院などを訪問していたとの事ですが、母上がお亡くなり今はお一人で活動されておられる様です。』
『それがどうなったら看板娘なのだ?』
『あそこの店にはちょくちょくお手伝いに入っているようですが普段はエリックという青年がお手伝いをしているらしいです。昨日はエリックとやら青年が都合が付かずピンチヒッターじゃないですか?』
ニヤニヤしているギャレットに
『ピンチヒッター。私の婚約者がか?』
ギャレットの顔は一気に引き締まる。
『何でも普段のエリーヌ様はスラムの子ども達に読み書きを教えているらしく、今日もこの後行かれるんじゃないですか?』
ヨハネスはギャレットを睨み付けると
『何が今日もこの後だ!仮にも我が国の公爵令嬢だぞ!スラムに令嬢が1人で行くなんて有り得ないだろ!何故止めなかった!』
ヨハネスはギャレットを残しエリーヌの後を追った。
エリーヌはちょうど公爵家の馬車に乗り込む所でヨハネスはエリーヌを確保した。
息を切らすヨハネスに
『どうされました?』
王子が息を切らし追いかけてくる。これは一大事とエリーヌは素のまま声を掛けた。
はっとするもヨハネスが注視しているのでエリーヌはキョトンと首だけ傾げた。
『何処へいく?』
ヨハネスの言葉にエリーヌは少し固まり
『いやですわ、殿下。公爵邸に戻りますわ!』
‥。
『そうか、ならば私が送ろう。』
目を見開くエリーヌは少し考え
『そうでしたわ!新作のドレスを街に見に行くのでした!忘れてましたわ!』
エリーヌは舌を出して笑った。
『そうか、では私も付き合おう。』
そう言うとエリーヌの腕を掴み公爵家の馬車に乗り込んだ。馬車はいつもの様に走り出す。毎日通る道のりを確かめる様に静かに走る馬車。
『殿下!執務はどうするのです?』
『今日は特に無い。』
『殿下、契約結婚ですのでお気遣いなく!』
『別に気を使っているわけではない。婚約者だからではなく公爵令嬢に話を聞きたくて王子としてここに居る。』
真剣な表情のヨハネスをエリーヌは初めてみた。おそらくムヌク王国の令嬢たちも見たことは無いはずだ。
『王子として聞く。何処へ行くつもりだ?』
エリーヌは目を泳がせるも
『別にやましい事はありません。王家に対する謀反でもありません。』
ヨハネスは息を1つ吐き
『当たり前だ。それならばとっくに牢屋にぶち込んでいるよ。』
ヨハネスはエリーヌをじっと見据える。エリーヌはそれでも怯まない。2人の攻防が続く中、馬車は静かに止まった。
エリーヌは瞳を閉じた。
白い肌を伝う大粒の涙。
ヨハネスは扉のカギをしっかり閉めると
『どういう事か説明してくれるよね?』
この日初めてヨハネスは王子スマイルを見せた。
エリーヌは顔を上げヨハネスを見据えゆっくりと話しだした。
『こちらで子ども達に読み書きを教えております。』
『公爵令嬢がする事ではないね?』
『ここに居る子どもたちに罪はありません。みんな素直な良い子達です。ですがこのまま大きくなれば先は見えております。
子どもたちの可能性を広げる為にも微力なのは分かっております。いつまでも続けられない事も分かっております。でも私はやめられなかった‥』
黙り込むヨハネス。
『今日だけ、今日で終わりにしますから。』
『駄目だ。行かせるわけないにはいかない。』
『殿下、本当に今日だけ。今日は約束しておりますので。
子どもたちに嘘はつきたくありません!今までの事が全て信じてもらえなくなります。きちんとさよならをしたいのです!
お願いします。罰なら喜んでお受けしますから!』
‥。
どれほどの時間が経ったのであろう。静寂な馬車とは裏腹に外は賑やかな音が響き渡る。1人叫ぶ者。
ケンカする者。泣きじゃくる赤子。
『エリーヌ嬢、やはり君1人でこの外へ行かせる事は出来ない。』
落胆するエリーヌ。
ガチャガチャと扉が開かれるとエリーヌは驚いた様にヨハネスを見る。ヨハネスは先に降りるとエリーヌに手を差し伸べた。驚きながらもエリーヌはヨハネスの手を取り馬車を降りた。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】以上をもちまして、終了とさせていただきます
楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。
伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。
そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。
「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」
神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。
「お話はもうよろしいかしら?」
王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。
※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。
夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。
辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。
側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。
※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる