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スラムの子どもたち。
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ヨハネスも聞いてはいるがスラム街へ足を踏み入れた事は無かった。兄であるカールトンは時々視察に来ているらしい。
公爵令嬢ならば一生目にする事などない光景をエリーヌは真っ直ぐ進んでいく。途中、男たちが声を掛けるもエリーヌが氷の様な鋭い視線を投げかければ男たちはつまらなさそうに去っていく。
‥目の前を歩く令嬢は本当にエリーヌ・ジュリジアンであろうか?
そんな事を思っていると小さな路地の奥に子どもたちが集まっていた。この場にふさわしくないような白板があり子どもたちはノートとペンを与えられいた。
エリーヌを見ると子どもたちは声をあげた。
『エリ!遅いよ!』
エリーヌは先程までの表情を消し
『ごめんごめん!みんな復習はしてきてるわね?』
エリーヌの問に子どもたちは元気に答えるとエリーヌは嬉しそうに読み書きを教えだした。
ヨハネスは周りをグルっと見渡すと、路地に座り込み何をするでもなくこちらをみている者。遠くで聞こえる怒号。泣き叫ぶ子どもの声。ムヌク王国の陰を目に焼き付けるヨハネス。
ヨハネスは1つ不思議に思った。
こんな荒れ果てた場所になぜ青空教室だけがきちんと整えられてるのだろうか?なぜエリーヌはここまで誰にも襲われず無事でいられるのか?何故この授業は誰にも邪魔されず進んでいくのか?
目の前には子ども達に読み書きを教えているエリーヌ。エリーヌはこんな風に笑うのか。見たことのないエリーヌの姿にヨハネスは本当のエリーヌ・ジュリジアンはどこに居るのか‥
放心状態のヨハネスが我に返ったのは子どもたちの声であった。
『どうして?どうして今日でお別れなの?』
エリーヌは笑顔で答える。
『ごめんなさいね。私はお嫁さんになって遠くに行かなければならないの。
でも大丈夫よ!みんな一通りは教えたから後は反復するだけよ。そして次はみんなが他の子たちに教えるの。いい?約束できる?』
子どもたちは素直に返事をするが
『お嫁さんってお婿さんはお兄ちゃん?』
1人の女の子がヨハネスに声を掛けた。ヨハネスは腰を下ろし女の子の目を見ると
『うん?どうかな?』
女の子はヨハネスの耳に口をやると
『お姉ちゃんはね、かすみ草が好きなの。女はね、お花を貰うとニコニコになるんだよ?だからお兄ちゃん頑張って!』
ヨハネスは大きく笑うと女の子の頭を撫でた。
子どもたちに見送られながら歩くスラム街。両端に寝転ぶ者が、こちらを眺めている。その真ん中を歩いて行くとヨハネスの護衛騎士が馬車の扉を開ける。その時1人の老婆がヨハネスらに声を掛けた。
護衛騎士が老婆を取り押さえるその前にヨハネスは制し老婆の前に歩み寄ると
『今までありがとうエリ。エリはエリの世界へ帰って行くんだね。』
微笑むエリーヌの手を握ると振り返り
『あんたはエリの恋人かい?』
‥。
『エリを頼むよ。エリはきっと偉い人なんだろう?ってことはあんたもだ。
こんな所に通ってたなんてエリは叱られるのだろね?エリを叱らないでおくれ。
私達にとってエリは太陽みたいな存在だ。
エリがいなくなりここは太陽が無くなりまた夜明けの来ない街さ。』
寂しそうな老婆にヨハネスは
『夜明けの来ない街になんてさせませんよ。』
その言葉に老婆はヨハネスを見つめるとエリーヌに
『エリ、あんたはえらい所に嫁に行くんだね‥』
そう言うと嬉しそうに手を振り馬車に乗る2人を見送った。
馬車の窓から外を見るとスラム街の大人も子どもも手を振っているではないか。ヨハネスは先程感じた不思議な事の答えを見つけ嬉しそうに微笑んだ。
ゆっくりと走り出す馬車。
エリーヌはヨハネスを見据えると
『お手間を取らせて申し訳ありませんでした。』
深く頭を下げるとヨハネスは
『よい。疲れた‥少し休む。』
そう言うと瞳を閉じた。
ヨハネスはエリーヌと話をするのが何故か憚られ目を閉じていなければ溺れそうになる自分が怖かったのである。
公爵令嬢ならば一生目にする事などない光景をエリーヌは真っ直ぐ進んでいく。途中、男たちが声を掛けるもエリーヌが氷の様な鋭い視線を投げかければ男たちはつまらなさそうに去っていく。
‥目の前を歩く令嬢は本当にエリーヌ・ジュリジアンであろうか?
そんな事を思っていると小さな路地の奥に子どもたちが集まっていた。この場にふさわしくないような白板があり子どもたちはノートとペンを与えられいた。
エリーヌを見ると子どもたちは声をあげた。
『エリ!遅いよ!』
エリーヌは先程までの表情を消し
『ごめんごめん!みんな復習はしてきてるわね?』
エリーヌの問に子どもたちは元気に答えるとエリーヌは嬉しそうに読み書きを教えだした。
ヨハネスは周りをグルっと見渡すと、路地に座り込み何をするでもなくこちらをみている者。遠くで聞こえる怒号。泣き叫ぶ子どもの声。ムヌク王国の陰を目に焼き付けるヨハネス。
ヨハネスは1つ不思議に思った。
こんな荒れ果てた場所になぜ青空教室だけがきちんと整えられてるのだろうか?なぜエリーヌはここまで誰にも襲われず無事でいられるのか?何故この授業は誰にも邪魔されず進んでいくのか?
目の前には子ども達に読み書きを教えているエリーヌ。エリーヌはこんな風に笑うのか。見たことのないエリーヌの姿にヨハネスは本当のエリーヌ・ジュリジアンはどこに居るのか‥
放心状態のヨハネスが我に返ったのは子どもたちの声であった。
『どうして?どうして今日でお別れなの?』
エリーヌは笑顔で答える。
『ごめんなさいね。私はお嫁さんになって遠くに行かなければならないの。
でも大丈夫よ!みんな一通りは教えたから後は反復するだけよ。そして次はみんなが他の子たちに教えるの。いい?約束できる?』
子どもたちは素直に返事をするが
『お嫁さんってお婿さんはお兄ちゃん?』
1人の女の子がヨハネスに声を掛けた。ヨハネスは腰を下ろし女の子の目を見ると
『うん?どうかな?』
女の子はヨハネスの耳に口をやると
『お姉ちゃんはね、かすみ草が好きなの。女はね、お花を貰うとニコニコになるんだよ?だからお兄ちゃん頑張って!』
ヨハネスは大きく笑うと女の子の頭を撫でた。
子どもたちに見送られながら歩くスラム街。両端に寝転ぶ者が、こちらを眺めている。その真ん中を歩いて行くとヨハネスの護衛騎士が馬車の扉を開ける。その時1人の老婆がヨハネスらに声を掛けた。
護衛騎士が老婆を取り押さえるその前にヨハネスは制し老婆の前に歩み寄ると
『今までありがとうエリ。エリはエリの世界へ帰って行くんだね。』
微笑むエリーヌの手を握ると振り返り
『あんたはエリの恋人かい?』
‥。
『エリを頼むよ。エリはきっと偉い人なんだろう?ってことはあんたもだ。
こんな所に通ってたなんてエリは叱られるのだろね?エリを叱らないでおくれ。
私達にとってエリは太陽みたいな存在だ。
エリがいなくなりここは太陽が無くなりまた夜明けの来ない街さ。』
寂しそうな老婆にヨハネスは
『夜明けの来ない街になんてさせませんよ。』
その言葉に老婆はヨハネスを見つめるとエリーヌに
『エリ、あんたはえらい所に嫁に行くんだね‥』
そう言うと嬉しそうに手を振り馬車に乗る2人を見送った。
馬車の窓から外を見るとスラム街の大人も子どもも手を振っているではないか。ヨハネスは先程感じた不思議な事の答えを見つけ嬉しそうに微笑んだ。
ゆっくりと走り出す馬車。
エリーヌはヨハネスを見据えると
『お手間を取らせて申し訳ありませんでした。』
深く頭を下げるとヨハネスは
『よい。疲れた‥少し休む。』
そう言うと瞳を閉じた。
ヨハネスはエリーヌと話をするのが何故か憚られ目を閉じていなければ溺れそうになる自分が怖かったのである。
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