こじらせ王子とその妃【完】

mako

文字の大きさ
82 / 94

王太子妃の力

しおりを挟む
『マリ王国とフランドル公爵家が繋がりました。』

ファビウスがカールトンに報告書を手渡すとカールトンは眉間にシワを寄せ読み進めていく。


『帳簿はどうなっている?』


『記載はありません。』



…。


『黒だな。』


カールトンは書類をヨハネスに渡すと席を立ちソファに腰を下ろした。


『エリーヌお手柄だね。先日の件もあるし公爵は素直に話すだろう。』

カールトンはエリーヌに笑顔を向ける。


『私はただ、キャサリン様に習った通り口をつぐんだだけですから。』


控え目に微笑むエリーヌに何故だかヨハネスの後ろに控えるロアンがノックアウト。


『な、何を言っておられるのかしら?』

慌ててお茶を吹きこぼしそうになるキャサリン。キャサリンは依然の拉致監禁の際、偽りの報告をしているのだ。もちろん全容は周知の事。


ヨハネスはまだ続きそうな茶番を打ち切るかのように


『義姉上、もうよろしいですから…』

呆れた様に語るヨハネスにカールトンは


『でもエリーヌはその事をお前に話したんであろう?私はキャシーからは何も聞かされてないからね?』


誰よりも1番詳しく知っているであろうカールトンにキャサリンは金魚の様に口をパクパクさせている。

…私以上に知ってるくせに!


キャサリンは視線のやり場に困ると目の前のスコーンに手を伸ばした。


『で?兄上はマリ王女とはどうするの?』


エリックはお茶を優雅にお茶を飲みながらヨハネスに問うた。


『お前もか?何なんだ揃いも揃ってマリ王女マリ王女って。』


気に留めず答えるヨハネスに



『だって恋仲なんだろ?マリ王女は兄上との契約期間をしきりに気にしていたじゃないか。』


ヨハネスはエリーヌを見るもエリーヌは驚いたように首を左右に振る。


エリックは当たり前のように


『言ってたよね?マリ王女。』

エリックはエリーヌに問うと一同が

…?


『だってたまたまだけど、あの場に居たからね…』

…?

『お前!見ていたのか?何故もっと早くに言わない?』


カールトンが詰めると


『義姉上同様、どうして我が国の公爵令嬢とマリ王女が繋がってるのか不思議に思って考えてたら、大騒ぎになってるから。』


『ならばステファニー嬢を呼んだ時そう言えばよかろう?』


『言ったよね?調べればわかることだって。先に吐いたほうがいいよって言わなかった?』



…。

『あの時、言いかけたら義姉上が私に話すなオーラを投げかけてくるんだもん。喋っちゃいけないんだと思ってって違った?』


エリーヌは嬉しそうに肯定の頷きをした。



『だよね?』


安心したエリックはカールトンに得意気に


『ね?』


カールトンは軽く咳払いをしながら


『まあ…。あっでもお前は義姉上が2人もいっぺんに出来たから呼びにくいね…』


どうでもいいことに頭を悩ますカールトンに


『大丈夫だよ。』

エリーヌを指差し『義姉上』
キャサリンを指差し『キャス』


『ね?紛らわしく無いね。』


納得するエリックに


『おい、キャスって何だ?キャスって。』


…ってそこかよ。小せぇな。


ヨハネスは怪訝そうにカールトンを睨みつけた。



『おい、いつからそんなに仲良くなった?』

まだ食い下がるカールトンに


『仲良くって…キャスに上手く使われているんだよ。こちらが迷惑してるさ…』



『まぁ、なんて事を。ちょっと拗らせてるヨハネス様の背中を押すようにお願いしただけでしょ?』


…は?

ヨハネスの手が静止する。


『よく言うよ。あれがお願い?びっくりするわ。俺は役者じゃないからね?それなのに何度も練習させられ挙げ句の果てには大根役者とか言い出すしね?』 



『だって、本気の愛を伝えるのよ?あれじゃあ駄目よ。』


『本気じゃないしね。』


2人のやり取りに


『ちょっと待て、お前がエリーヌを第3王子妃に迎え入れるって話し…』


『そうだよ。当たり前じゃん。あんなのキャスの台本通りだよ。でも流石に真実の愛を演じられるほどには上達しなかったからね。政略結婚の線で行ったんだけど、逆に良かったよね?』


『まぁ、結果オーライよね?』


ヨハネスは楽しそうな2人を睨みつけていると、おもむろに振り返りロアンを見た。ロアンは気まずそうに目を逸らす。


『お前もか?何だか知らぬが自分の婚約者がどうの、令嬢は大変など理由の分からない事を言っておったな。』

『ロアンを責めてはだめよ!』


キャサリンが割って入ると


『ロアン、お前はキャンキャン吠える女性が苦手であったろ?』


ロアンは申し訳なさそうに


『はい、しかしながら王太子妃殿下ですからね?私の立場もご理解頂けると…』


ヨハネスは大きく息を吐き


『お前は誰の側近だ?』


『もちろん、ヨハネス殿下でございます。』

ロアンは敢えて最上級の礼を取ってみせた。


『まあ、良い。ってか兄上どうされた?』


終始無言を貫くカールトンに声を掛けると


『キャス、キャスってどうなの?』


…あんたまだそこにいたのかよ。


ヨハネスはおもむろにため息を付きエリーヌを連れて執務室に戻って行った。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【短編】記憶を失っていても

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
 7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。  そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。  これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。 ※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)

【完結】どうやら時戻りをしました。

まるねこ
恋愛
ウルダード伯爵家は借金地獄に陥り、借金返済のため泣く泣く嫁いだ先は王家の闇を担う家。 辛い日々に耐えきれずモアは自らの命を断つ。 時戻りをした彼女は同じ轍を踏まないと心に誓う。 ※前半激重です。ご注意下さい Copyright©︎2023-まるねこ

悪役令嬢まさかの『家出』

にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。 一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。 ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。 帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。 魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。 でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。 その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。 ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。 え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。 平凡で普通の生活がしたいの。 私を巻き込まないで下さい! 恋愛要素は、中盤以降から出てきます 9月28日 本編完結 10月4日 番外編完結 長い間、お付き合い頂きありがとうございました。

私の初恋の男性が、婚約者に今にも捨てられてしまいそうです

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【私の好きな人が婚約者に捨てられそうなので全力で阻止させて頂きます】 入学式で困っている私を助けてくれた学生に恋をしてしまった私。けれど彼には子供の頃から決められていた婚約者がいる人だった。彼は婚約者の事を一途に思っているのに、相手の女性は別の男性に恋している。好きな人が婚約者に捨てられそうなので、全力で阻止する事を心に決めたー。 ※ 他サイトでも投稿中

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

処理中です...