こじらせ王子とその妃【完】

mako

文字の大きさ
88 / 94

エリーヌ輝く

しおりを挟む
エリーヌの言葉にキャサリンは前のめりになりエリーヌに尊敬の眼差しを向ける。


『それでそれで?』


『スラムの…』


『スラム!』

声を挙げるキャサリンにエリーヌは慌てて


『違います、違います!』

慌てて両手を振ると


『このくだり、先日もありましたよ…義姉上、少しは学習してください…』


ヨハネスはキャサリンを睨みつけるとエリーヌを促した。


『スラムの子どもたちを支援してくださるおじいさんがいるのですが、その方は恐らく他国の貴族を隠居された方かと思われます。』


胸を張るエリーヌにヨハネスは

『思われますって確かではないんだね?』

『いえ、確信してますわ。こうみえても私はムヌク王国の公爵令嬢ですよ?立ち居振る舞い、言動を聞けばそのくらいわかりますもの。ただ我が国では思い当たる方がいらっしゃいませんでしたので。』


『でもその者をここに呼ぶ訳にはいかぬな。』

カールトンの言葉に

『私が話を付けますわ!』


エリーヌが目を輝かすとすかさずヨハネスが

『待て、どうやって。』


ヨハネスの怪訝そうな表情にもろともせず

『お店のお客さんなのです!』


…。


『まぁ、看板娘の?』


『はい!』


キャサリンとエリーヌはノリノリになってきている。


『駄目だ。』


ヨハネスの言葉にエリーヌは


『でしたら他に何かございますか?』



…。


『それしか無いわ。心配なら無用。私が付き合いますわ!』

ドンと胸を張るキャサリンにカールトンは


『待って、キャシー。君は駄目だ。』

『そうです。キャサリン様は王太子妃ですのよ?ご自覚をお持ち下さい。』

諭すエリーヌに

『あのね、君だって王子妃だからね?』


『まぁ、弟想いのお兄様が身分を盾になさるのね?』


キャサリンの嫌みを今度はヨハネスがスルーする。


『いや、そうではなくてキャシーが看板娘になれば性に有って戻って来ない気がするんだ。麻薬などと同じで癖になりそうだからね。』


『殿下!私を何だと思ってるの?』

『無くはないね。』

ボソッと呟くヨハネスは頭を抱えて

『エリーヌ、今回だけだよ。それから私も近くで見守る事にするからね?』


『では私も!』


『何でだよ…』

またも頭を抱えるヨハネスに


『ヨハネス様は世間知らずだわ。前回市場に行った時も1人悪目立ちしてましたわ。そんな王子様が1人立っていたら子どもにだってバレますわよ?』


『…。王子様って王子だからね?逆にすぐに馴染む義姉上を疑うよ。』


キャサリンの勢いに負け2人も同行することで本日の緊急会議はお開きとなったのである。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【短編】記憶を失っていても

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
 7年以上前の記憶のない平民出身のラチェルは、6年前に娘のハリエットを生んでからグリオス国のアンギュロスの森付近の修道院で働きながら暮らしていた。  そんなある日ハリエットは見たことのない白銀色の大樹を見つけたと、母ラチェルに話すのだが……。  これは記憶の全てを失ったラチェル──シェシュティナが全てを取り戻すまでのお話。 ※氷雨そら先生、キムラましゅろう先生のシークレットベビー企画開催作品です( ´艸`)

【完結】どうやら時戻りをしました。

まるねこ
恋愛
ウルダード伯爵家は借金地獄に陥り、借金返済のため泣く泣く嫁いだ先は王家の闇を担う家。 辛い日々に耐えきれずモアは自らの命を断つ。 時戻りをした彼女は同じ轍を踏まないと心に誓う。 ※前半激重です。ご注意下さい Copyright©︎2023-まるねこ

悪役令嬢まさかの『家出』

にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。 一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。 ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。 帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。 魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。 でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。 その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。 ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。 え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。 平凡で普通の生活がしたいの。 私を巻き込まないで下さい! 恋愛要素は、中盤以降から出てきます 9月28日 本編完結 10月4日 番外編完結 長い間、お付き合い頂きありがとうございました。

私の初恋の男性が、婚約者に今にも捨てられてしまいそうです

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【私の好きな人が婚約者に捨てられそうなので全力で阻止させて頂きます】 入学式で困っている私を助けてくれた学生に恋をしてしまった私。けれど彼には子供の頃から決められていた婚約者がいる人だった。彼は婚約者の事を一途に思っているのに、相手の女性は別の男性に恋している。好きな人が婚約者に捨てられそうなので、全力で阻止する事を心に決めたー。 ※ 他サイトでも投稿中

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

処理中です...