最愛の人の幸せが私の幸せ【完】

未来へ紡ぐ誓い

満天の星空が庭園を静かに照らしている。
秋の冷たい風が優しく吹き、金色の葉が舞い落ちていた。リディアンネはゆっくりと歩みを進める。その先に、王太子ハインツが一人、立っていた。

「リディアンネ」

彼の声は、静かで、しかし力強く響いた。

「君と共に歩みたい。これまでも、これからも」

彼は差し出した小さな箱を開く。そこには繊細な指輪が輝いていた。

「私の未来は、君と共にある。どうか、私の妃となってほしい」

リディアンネの胸は高鳴り、瞳に涙が浮かぶ。

「はい、ハインツ様。わたしも、ずっとそう願っていました」

二人の手が固く結ばれ、庭園に静かな祝福の風が吹いた。


ファビウスが遠くから二人を見守る。
その瞳に、満足と安堵の色が浮かぶ。

（これで、彼女は幸せになれる）

彼は静かに呟き、そっと微笑んだ。

こうして、リディアンネとハインツは結ばれ、
ファビウスもまた、新たな形で彼らを支え続ける。それぞれの想いが交差し、未来へと紡がれていくのである。