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兄弟の時間
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久しぶりの午後からの執務という事でウィリアムの私室へは誰も近寄れはしない。
はずだが、ただ一人何も気にせず王族専用エリアの奥にある王太子の私室に前触れなく入っていくは第2王子ハインリッヒ。
ハインリッヒは部屋に入るとおもむろにカーテンを開け朝日を大きな窓から注ぎ入れる。
『兄上、朝ですよ!ほら起きて下さい!』
目を閉じたまま身体を起こすウィリアム。
『何…?ハインリ?』
大きなベッドの中央にちょこんと座り目を閉じたままである。
『そうです!兄上の可愛い弟のハインリッヒですよ!ほら起きて!』
ウィリアムの目の前でパンパンと手を鳴らすと果樹水をコップに注ぎウィリアムに手渡す。
ウィリアムは目を閉じたまま果樹水を飲むとやがてゆっくり目が開かれた。
上半身は裸のまま、ガウンを羽織テーブルに付くと
『今日は午後からなんだけど?』
遅刻した兄を呼びに来たと思い込んでいるウィリアムはハインリッヒを睨む。
『知っていますよ。だから来たのです。』
…。
ハインリッヒはウィリアムの鍛え抜かれたは上半身を眺め
『相変わらず鍛えていらっしゃる。…勿体ない。』
…?
『で?どうしたの?』
ハインリッヒはウィリアムの私室をぐるりと見渡しながら
『兄上、兄上が妃を迎える際に出した条件がありますよね?』
『あるね。』
ウィリアムはストレッチをしながら答えた。
『要は誰でも条件が合えば良かった。だから姫とも婚儀まで顔合わせもしていない。』
『だね。』
『兄上は妃殿下という椅子に座る女性が必要だった。』
『…何が言いたい?』
『姫を譲って頂けませんか?』
…。
固まるウィリアム。
『もちろん、後釜は責任持ってご用意します。』
『いや、待て待て。エレノアは物ではない。それにこの条件にエレノア自身が魅力に感じ嫁いできたのだ。』
焦るウィリアムに対しハインリッヒは
『分かってますよ。でも姫は人を愛する経験が無いだけ。それにヴェルヘルトの図書館に惹かれたそうですよね?それならば私の妃となっても問題ない。むしろ私ならば姫を姫だけを愛してあげられる。今よりもっと幸せにしてあげられる。』
ウィリアムはハインリッヒを真っ直ぐ見据えると
『だからお前はエレノアを姫と呼ぶのだな。でもな、今や彼女は私の妻だ。それも公式発表も済んでいる。』
『妃を変えるのは珍しくないよね?』
『その必要があるか?』
『私が愛しているでは理由にはなりませんか?』
『ならないね。』
『兄上!兄上が愛している妃ならばともかく、代わりのきく妃なのでしょう?ならばそのくらいの事問題無いでしょう?』
ウィリアムはハインリッヒが感情的になる所をほとんど見たことが無いだけにハインリッヒの本気度が理解できた。
『私がエレノアを愛していたらどうだ?お前の言っている事は通らないよね?』
ハインリッヒは目を見開き
『兄上、意地悪するんだね?兄上が愛していると言えばそれはそこで終わりだもんね。でもさ後継者を作れない白い結婚でそれが通用すると思ってる?兄上は意地悪するくせに、後継者は私に作れという。それこそ勝手極まりないよね?』
それは、そう。自覚は痛いほどあるウィリアムは
『最終的に決めるのはエレノアだよ。』
静かに呟いた一言にハインリッヒは
『エレノアがもし、真実の愛を私に感じたならその時は…』
ウィリアムは静かに頷いた。
はずだが、ただ一人何も気にせず王族専用エリアの奥にある王太子の私室に前触れなく入っていくは第2王子ハインリッヒ。
ハインリッヒは部屋に入るとおもむろにカーテンを開け朝日を大きな窓から注ぎ入れる。
『兄上、朝ですよ!ほら起きて下さい!』
目を閉じたまま身体を起こすウィリアム。
『何…?ハインリ?』
大きなベッドの中央にちょこんと座り目を閉じたままである。
『そうです!兄上の可愛い弟のハインリッヒですよ!ほら起きて!』
ウィリアムの目の前でパンパンと手を鳴らすと果樹水をコップに注ぎウィリアムに手渡す。
ウィリアムは目を閉じたまま果樹水を飲むとやがてゆっくり目が開かれた。
上半身は裸のまま、ガウンを羽織テーブルに付くと
『今日は午後からなんだけど?』
遅刻した兄を呼びに来たと思い込んでいるウィリアムはハインリッヒを睨む。
『知っていますよ。だから来たのです。』
…。
ハインリッヒはウィリアムの鍛え抜かれたは上半身を眺め
『相変わらず鍛えていらっしゃる。…勿体ない。』
…?
『で?どうしたの?』
ハインリッヒはウィリアムの私室をぐるりと見渡しながら
『兄上、兄上が妃を迎える際に出した条件がありますよね?』
『あるね。』
ウィリアムはストレッチをしながら答えた。
『要は誰でも条件が合えば良かった。だから姫とも婚儀まで顔合わせもしていない。』
『だね。』
『兄上は妃殿下という椅子に座る女性が必要だった。』
『…何が言いたい?』
『姫を譲って頂けませんか?』
…。
固まるウィリアム。
『もちろん、後釜は責任持ってご用意します。』
『いや、待て待て。エレノアは物ではない。それにこの条件にエレノア自身が魅力に感じ嫁いできたのだ。』
焦るウィリアムに対しハインリッヒは
『分かってますよ。でも姫は人を愛する経験が無いだけ。それにヴェルヘルトの図書館に惹かれたそうですよね?それならば私の妃となっても問題ない。むしろ私ならば姫を姫だけを愛してあげられる。今よりもっと幸せにしてあげられる。』
ウィリアムはハインリッヒを真っ直ぐ見据えると
『だからお前はエレノアを姫と呼ぶのだな。でもな、今や彼女は私の妻だ。それも公式発表も済んでいる。』
『妃を変えるのは珍しくないよね?』
『その必要があるか?』
『私が愛しているでは理由にはなりませんか?』
『ならないね。』
『兄上!兄上が愛している妃ならばともかく、代わりのきく妃なのでしょう?ならばそのくらいの事問題無いでしょう?』
ウィリアムはハインリッヒが感情的になる所をほとんど見たことが無いだけにハインリッヒの本気度が理解できた。
『私がエレノアを愛していたらどうだ?お前の言っている事は通らないよね?』
ハインリッヒは目を見開き
『兄上、意地悪するんだね?兄上が愛していると言えばそれはそこで終わりだもんね。でもさ後継者を作れない白い結婚でそれが通用すると思ってる?兄上は意地悪するくせに、後継者は私に作れという。それこそ勝手極まりないよね?』
それは、そう。自覚は痛いほどあるウィリアムは
『最終的に決めるのはエレノアだよ。』
静かに呟いた一言にハインリッヒは
『エレノアがもし、真実の愛を私に感じたならその時は…』
ウィリアムは静かに頷いた。
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