愛するということ【完】

mako

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対局の姉妹

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『知らない!知らないってどうなってんだよ!』


テオドールは一人執務室で叫ぶが、ウィリアムはじめ、ハインリッヒ、ハロルドは湿った視線を向けている。


『ってどうなってんの?妃殿下の姉上は!』


もはや敬意も何も無い。


『知らないって事はないであろう?』

ウィリアムが真面目に問うと

『お前、アミュレットへ嫁取りに行ったもんな?』

ハロルドも続く。

『兄上も兄上だか側近もまた凄いね』

ハインリッヒだけは何だか楽しそうである。

『いやいや、アミュレットの王宮で妃殿下たちとお会いしたのはした。確かにした。だかそれだけだ。ね?妃殿下!』


もはや助けを乞うことが出来るのはエレノアだけであった。

エレノアは困ったように黙りこくる。


『ほら、エレノアも困っているじゃないか!』

ウィリアムが凄むと


『いえ、そうではないのです。まさかとは思ったのですが…』


『ですが、なに?続けて!』

テオドールはもやはプライベートモードである。


『テオがアミュレットに求婚に訪れた際、シンシアお姉様はテオに一目惚れをしたのです。』


…。

…。

…。


…。


『それから私がこちらに嫁ぐまでの1年。シンシアお姉様は毎日テオの事を想ってらしたわ。もちろんテオはアミュレットの事など思い出しもしなかったでしょうが…。』


『可愛そうに。』

『酷いな。』

『…。』


テオドールに集まる視線。


『いやいや、待て待て。私は殿下の嫁取りに向かっただけの事。無事妃殿下との話をまとめて帰還しただけ。その後何故アミュレット第2王女のことを思い出す事があるのですか!』


『そうです。テオは私の事でさえ覚えて無かったものね。』



『いやいや、今そこ?』


ようやく何となく事の経緯が鮮明になってきた所でハインリッヒは


『でもさ、同じ姉妹でもえらく対局にいる2人だね。』


エレノアはバツの悪そうに

『アミュレットはもともと真実の愛を追求する国でございますので。シンシアお姉様も夢を膨らませたのでしょう。』


『夢を膨らませたって、それは相手がいるだろうよ?俺は何も知らないししてもいない。ってか話した事も無いし…』


テオドールは奮起しているが

『こうなったらどうだ?』

ハロルドが真顔で問うた。


『ば、馬鹿言うな!お前他人事だと思って』


『いや、なかなか良い縁談じゃないか?それに妃殿下そっくりでなかなか美しいぞ?』


ハロルドが押すとエレノアは


『まあ、ハロ!私は美しいより可愛い方ですわ!』


…そこかい!

視線が一斉にエレノアに集まるも、エレノアは


『まあ、私が何とかしますわ!』


ヴェルヘルトエリート集団はエレノアの言葉に頷いた。


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