35 / 61
安定の妃殿下
しおりを挟む
翌朝、テオドールはハロルドの部屋の前で控えていると、その隣の部屋の扉が開いた。
…流石は妃殿下、朝もお早い。
テオドールが礼を取り頭を上げると
もちろんウィリアムとエレノアが出てきた。
…!な、何で?
テオドールは急ぎ頭を下げると頭上から
『おはよう、テオ。よく眠れたか?』
ウィリアムは顔色も優れ、肌艶もツヤツヤではないか。
…。
『朝食に行こう』
ウィリアムが促すとテオドールは我に返り
『はっ、あの。ハロルドがまだ。』
ハロルドの施錠された扉を開けるももちろん開かない。
『ハロは朝から騎士団に混じり鍛錬に行ってるぞ。』
…。
『さあ、行きましょう』
エレノアが促すと3人は食事に向かうもテオドールは
…妃殿下も肌がツヤツヤ!
主とその妃の後ろ姿を嬉しそうに眺めながら2人の後を追った。
既にテオドールは食堂の前で待ち構え
『おはようございます』
ハロルドは安定のマイペースである。
食事を終わるとエレノアはまたも完璧なヴェルヘルト王太子妃になるべく磨かれる。ウィリアム率いるエリート集団はしばし庭に出て時間を過ごした。
『テオ、さっきから何だ?人の顔をジロジロ見て』
ウィリアムがカップを片手に長い足を組み替えした。
『いや、まぁ、何というかおめでたいと言うか』
…?
『何を言ってる?まあ、今日はエレノアの姉上の結婚式だからね、おめでたいは間違いではないが?』
…いやいやまたまた。
テオドールは顔が緩みっぱなしである。
『大方、殿下と妃殿下が同じ部屋で休まれので下衆の勘繰りで頭の中がいっぱいなのでしょう?』
ハロルドが周りの警護を確認しながら呟いた。
『そんな事か…』
いやいや拗らせてたのはお前だろ?
『昨夜はすぐにエレノアの寝顔を拝めて幸せな気分でベッドに入ったよ。』
『『…?』』
テオドールとハロルドは顔を見合わせる。
『寝顔?』
テオドールが呟くと
『あぁ、よほど疲れていたのだろう。エレノアはすぐにベッドに入り眠りについたのだ。それをな?私は不謹慎ながらしばらく見つめていたのだ。それは天使のような寝顔で…』
幸せそうに話すウィリアム。
…ってかまぢ?妃殿下、あんた異性への愛のキャパが少なすぎではなかろうか?
テオドールが眉間にシワを寄せるもハロルドは
『殿下、貴方は一度医者に罹った方がよいのでは?もしや不能かもしれないな。』
1人納得するように話すハロルドにウィリアムは
『ハロ!お前。お前はエレノアの寝顔を見ていないからそんな事が言えるのだ。あの天使の様な寝顔を見ればそんなヨコシマな考えはおきぬ。』
…ヨコシマね。
テオドールは一人で盛り上がりをみせていた朝の自分を呪った。
…やれやれだよ。本当。
…流石は妃殿下、朝もお早い。
テオドールが礼を取り頭を上げると
もちろんウィリアムとエレノアが出てきた。
…!な、何で?
テオドールは急ぎ頭を下げると頭上から
『おはよう、テオ。よく眠れたか?』
ウィリアムは顔色も優れ、肌艶もツヤツヤではないか。
…。
『朝食に行こう』
ウィリアムが促すとテオドールは我に返り
『はっ、あの。ハロルドがまだ。』
ハロルドの施錠された扉を開けるももちろん開かない。
『ハロは朝から騎士団に混じり鍛錬に行ってるぞ。』
…。
『さあ、行きましょう』
エレノアが促すと3人は食事に向かうもテオドールは
…妃殿下も肌がツヤツヤ!
主とその妃の後ろ姿を嬉しそうに眺めながら2人の後を追った。
既にテオドールは食堂の前で待ち構え
『おはようございます』
ハロルドは安定のマイペースである。
食事を終わるとエレノアはまたも完璧なヴェルヘルト王太子妃になるべく磨かれる。ウィリアム率いるエリート集団はしばし庭に出て時間を過ごした。
『テオ、さっきから何だ?人の顔をジロジロ見て』
ウィリアムがカップを片手に長い足を組み替えした。
『いや、まぁ、何というかおめでたいと言うか』
…?
『何を言ってる?まあ、今日はエレノアの姉上の結婚式だからね、おめでたいは間違いではないが?』
…いやいやまたまた。
テオドールは顔が緩みっぱなしである。
『大方、殿下と妃殿下が同じ部屋で休まれので下衆の勘繰りで頭の中がいっぱいなのでしょう?』
ハロルドが周りの警護を確認しながら呟いた。
『そんな事か…』
いやいや拗らせてたのはお前だろ?
『昨夜はすぐにエレノアの寝顔を拝めて幸せな気分でベッドに入ったよ。』
『『…?』』
テオドールとハロルドは顔を見合わせる。
『寝顔?』
テオドールが呟くと
『あぁ、よほど疲れていたのだろう。エレノアはすぐにベッドに入り眠りについたのだ。それをな?私は不謹慎ながらしばらく見つめていたのだ。それは天使のような寝顔で…』
幸せそうに話すウィリアム。
…ってかまぢ?妃殿下、あんた異性への愛のキャパが少なすぎではなかろうか?
テオドールが眉間にシワを寄せるもハロルドは
『殿下、貴方は一度医者に罹った方がよいのでは?もしや不能かもしれないな。』
1人納得するように話すハロルドにウィリアムは
『ハロ!お前。お前はエレノアの寝顔を見ていないからそんな事が言えるのだ。あの天使の様な寝顔を見ればそんなヨコシマな考えはおきぬ。』
…ヨコシマね。
テオドールは一人で盛り上がりをみせていた朝の自分を呪った。
…やれやれだよ。本当。
13
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
完璧すぎると言われ婚約破棄された令嬢、冷徹公爵と白い結婚したら選ばれ続けました
鷹 綾
恋愛
「君は完璧すぎて、可愛げがない」
その理不尽な理由で、王都の名門令嬢エリーカは婚約を破棄された。
努力も実績も、すべてを否定された――はずだった。
だが彼女は、嘆かなかった。
なぜなら婚約破棄は、自由の始まりだったから。
行き場を失ったエリーカを迎え入れたのは、
“冷徹”と噂される隣国の公爵アンクレイブ。
条件はただ一つ――白い結婚。
感情を交えない、合理的な契約。
それが最善のはずだった。
しかし、エリーカの有能さは次第に国を変え、
彼女自身もまた「役割」ではなく「選択」で生きるようになる。
気づけば、冷徹だった公爵は彼女を誰よりも尊重し、
誰よりも守り、誰よりも――選び続けていた。
一方、彼女を捨てた元婚約者と王都は、
エリーカを失ったことで、静かに崩れていく。
婚約破棄ざまぁ×白い結婚×溺愛。
完璧すぎる令嬢が、“選ばれる側”から“選ぶ側”へ。
これは、復讐ではなく、
選ばれ続ける未来を手に入れた物語。
---
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
婚約破棄されたので隣国に逃げたら、溺愛公爵に囲い込まれました
鍛高譚
恋愛
婚約破棄の濡れ衣を着せられ、すべてを失った侯爵令嬢フェリシア。
絶望の果てに辿りついた隣国で、彼女の人生は思わぬ方向へ動き始める。
「君はもう一人じゃない。私の護る場所へおいで」
手を差し伸べたのは、冷徹と噂される隣国公爵――だがその本性は、驚くほど甘くて優しかった。
新天地での穏やかな日々、仲間との出会い、胸を焦がす恋。
そして、フェリシアを失った母国は、次第に自らの愚かさに気づいていく……。
過去に傷ついた令嬢が、
隣国で“執着系の溺愛”を浴びながら、本当の幸せと居場所を見つけていく物語。
――「婚約破棄」は終わりではなく、始まりだった。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる