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犬猿の仲
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イングリットの顔を見ればしかめっ面になる男。アンドレ・フォン・オルコック。その男がまさかのまさか、イングリットの執務室のドアをノックした。
アレクセイは驚いたように固まるもすぐにイングリットに視線を置くとイングリットもまた驚いたようにぎこちない笑顔でアンドレを迎えた。
『無理はなさらなくとも結構。』
言葉短くアンドレはソファへと腰を下ろした。お前も来いという意味だ。イングリットは慌ててアンドレの前に座ると背筋を伸ばしてアンドレの言葉を待った。アンドレの口から出た言葉はイングリットが予想もしない内容であった。
『妃殿下、申し訳ありません。』
…?
…?
押し黙る2人に視線を這わすとアンドレは続けた。
『ブロワ公爵の件、お時間が掛かっておりご迷惑をおかけしております。』
イングリットは安堵の笑みを浮かべると
『なんだそんな事かぁ。あぁ驚いちゃったじゃない?ブロワ公爵のセレンの葉の代替品の事ね。どうせ調査に入れないのでしょう?機密事項とか言って。だからと言って王命が出せるわけが無いとなると無理に決まってるわ。』
アンドレは驚いたように目を見開いた。
『で、ですが妃殿下は…』
『あはははあれはね、はったりよ?私だって本当にセレンの葉を見せて貰えるだなんて思ってないのよ。見なくても分かるけどね?だけどあれでも抑制にはなるでしょう?ヴェルニ王国の公爵家が代替品を使ってるなんてマズイもの。あまりに他国への輸出が増えればやがてどこかの国が私のように不信に思うはずよ。そうなってからでは遅いの。だからはったりをかましたの(笑)』
そう言うとケラケラと笑い出したイングリットを不思議な生き物を見るかのようにアンドレは見つめていた。
『で、アンドレ。時間が掛かっているという事は私に借りがあるということね?』
…?借り?さっきまでの言葉からして借りなのか?
『だから借りを返すと思ってお願いがあるの!』
アンドレにとって初めて見るイングリットの素の姿。アンドレはあからさまに驚きアレクセイを見た。アレクセイはもちろん慣れた様子で笑っているではないか。
…。嫌な汗が出てきた…。
アンドレは眉間にシワを刻んだ。
『なに、簡単な事よ?』
ニヤリと笑うイングリットの顔がいつも似まして怖かった(笑)
アレクセイは肩を揺らして笑っている。
アンドレは大きくため息を付いて目の前でにこやかに微笑む王太子妃にゆっくりと頷いたのであった。
アレクセイは驚いたように固まるもすぐにイングリットに視線を置くとイングリットもまた驚いたようにぎこちない笑顔でアンドレを迎えた。
『無理はなさらなくとも結構。』
言葉短くアンドレはソファへと腰を下ろした。お前も来いという意味だ。イングリットは慌ててアンドレの前に座ると背筋を伸ばしてアンドレの言葉を待った。アンドレの口から出た言葉はイングリットが予想もしない内容であった。
『妃殿下、申し訳ありません。』
…?
…?
押し黙る2人に視線を這わすとアンドレは続けた。
『ブロワ公爵の件、お時間が掛かっておりご迷惑をおかけしております。』
イングリットは安堵の笑みを浮かべると
『なんだそんな事かぁ。あぁ驚いちゃったじゃない?ブロワ公爵のセレンの葉の代替品の事ね。どうせ調査に入れないのでしょう?機密事項とか言って。だからと言って王命が出せるわけが無いとなると無理に決まってるわ。』
アンドレは驚いたように目を見開いた。
『で、ですが妃殿下は…』
『あはははあれはね、はったりよ?私だって本当にセレンの葉を見せて貰えるだなんて思ってないのよ。見なくても分かるけどね?だけどあれでも抑制にはなるでしょう?ヴェルニ王国の公爵家が代替品を使ってるなんてマズイもの。あまりに他国への輸出が増えればやがてどこかの国が私のように不信に思うはずよ。そうなってからでは遅いの。だからはったりをかましたの(笑)』
そう言うとケラケラと笑い出したイングリットを不思議な生き物を見るかのようにアンドレは見つめていた。
『で、アンドレ。時間が掛かっているという事は私に借りがあるということね?』
…?借り?さっきまでの言葉からして借りなのか?
『だから借りを返すと思ってお願いがあるの!』
アンドレにとって初めて見るイングリットの素の姿。アンドレはあからさまに驚きアレクセイを見た。アレクセイはもちろん慣れた様子で笑っているではないか。
…。嫌な汗が出てきた…。
アンドレは眉間にシワを刻んだ。
『なに、簡単な事よ?』
ニヤリと笑うイングリットの顔がいつも似まして怖かった(笑)
アレクセイは肩を揺らして笑っている。
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