婚約破棄から始まる物語【完】

ステファニーの本性

ステファニーがロマニア王国に残ることになった。

メープル王国御一行が帰っていき、ようやく４人は一息を付くことができた。

『レオ、驚いたよ。一時はどうなることかと思って見てたけど、やっぱりレオはロマニア王国の国王だね。』

長い足を組みお茶を飲むフレディックは絵本の王子様のようである。

『殿下、助けて頂きありがとうございました。次は私の番ですね!
来月の夜会には私、全身全霊で臨みますわ。必ずや皆様を黙らせる様な演技をしますのでご期待下さいね！』

何やら吹っ切れるたようなステファニーに誰よりも驚きを隠せないのがファビウスであった。


‥令嬢はわからん。



その日からステファニーはいくつもの令嬢のパターンを練習していた。
淑女な令嬢、悪女な令嬢、控えめな令嬢、脳内お花畑な令嬢、計算高い令嬢、元気な令嬢、才女な令嬢など、他様々。


フレディックは

『ステファニー‥何してるの？』

計算高いとされているフレディックにもわからないステファニーの日々の練習に

『フレディック、貴方もまだまだだわ。女の戦いを甘く見ては大変な事になりますのよ。
王妃候補ともなればロマニア王国の令嬢たちの目は血走りますわよ？それを払い除ける為にも相手に合わせた令嬢になりきり勝ちを得るのが得策だと思いませんか？』



‥


『これはどの令嬢なの？』
首を傾げるフレディックに

『‥一応、計算高い令嬢かと思われます。』

申し訳無さそうに応えるのは、新しく侍女となったメアリーであった。


本来のステファニーが芽を出した頃、ロマニア王国王宮は格段に明るくなっている。離宮の使用人も含め王宮に勤める者まで生き生きと仕事をしている。その者に気軽に声を掛けるステファニー。もはやステファニーは本当の王妃のようであった。




『ステファニーはどうしている？』

レオナルドがファビウスに問う。

『はい、人が入れ代わったようになっておいでです。』

‥

『ファビウス、お前は仕事は早いし出来る男だ。がしかし、表現が分かりにくくて仕方ないぞ。』

そこでまたもやフレディック登場。


『アハハハ、上手い事言うね。本当その通り。固すぎるのだよ、ファビウスは。』


『お前は柔らかすぎるぞ。』


‥