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メープル王国結婚式
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あれから3ヶ月程の急ピッチで結婚式が開かれた。
それでも大国であるメープル王国の対応力が問われる式。
流石のレイモンドも今回ばかりは振り回され翻弄していた。
そのお陰もあり無事当日を迎えた。
各国から王族が参列する。その出席者リストにはもちろんロマニア王国レオナルドと婚約者のステファニーの名も刻まれていた。
ヴィクトリアの準備が整い、部屋を出て行く侍女たちと入れ替わりにレイモンドがやってきた。
レイモンドは久々に会うロマニア王国側近フレディックを意識してか、こちらも絵本の王子様の様な出で立ち。
ヴィクトリアは目を輝かせた。
『レイモンド、そろそろかしら?』
レイモンドはヴィクトリアを見ようともせずにソフィアに腰を下ろした。
『ヴィクトリア様、よろしいですか?本日は各国からの王族が参列されます。くれぐれも粗相の無いように。』
釘を刺すレイモンドに
『花嫁は誰よりも美しくなくてはならないものね。』
鏡に映る姿を確認しながら答える。
あからさまに溜息を溢し
『まあ、嫌でもお分かりになると思いますがね。王太子妃教育の大切さが‥』
レイモンドの声はヴィクトリアには届かなかった。
レイモンドは庭に出て一人ベンチに座り込んでいた。
そこへ懐かしいステファニーが現れた。
『レイモンド様、どうされました?本日はおめでたい日でございます。溜息などつかれてはなりませんわ。』
レイモンドは目を細めステファニーを眺める。本来ならばこの令嬢が本日の主役の1人であったはずなのだ。この国に産まれ育てられたレイモンドにとって、ステファニーの持つ潜在能力は知っていた。だからこそ、王太子妃教育には注力せずに外交へ力を注いでいたのである。
その結果がこれである。
『ステファニー様、本日はお忙しい中ありがとうございます』
テンプレ通りの言葉を返す。
『お疲れのご様子ですね。さぞや大変であった事でしょう。しかし見ている方は見ておられます。貴方のお働きを。この国には無くてはならないお方ですもの。』
女神の様にほほ笑むステファニー。
その眩しさにやられたのか、珍しく本音を口にしたレイモンド。
『‥貴女は、何故ロマニア王国へ行かれたのですか?』
核心に触れる問にレイモンドは
『失礼しました』
とすぐに謝罪をしたがステファニーはしばらく頭を巡らせ
『孤独?かしら。』
ステファニーは素直に答えた。
『‥孤独。』
呟くレイモンドに
『私は弱い人間なのです。その孤独に恐怖を覚え日々苦しんでおりました‥王太子妃教育などその恐怖に比べたら何てことごさませんでしたもの。』
クスクスと小さく笑うステファニーの姿を見て、かつて幼き頃出会ったステファニーを重ねた。
『貴女は貴女のままであったのですね。ちっとも変わってなどいなかった。』
ステファニーは
『はい!』
驚く程の明るさで答えた。令嬢としてはいかがなものか?と思われても仕方ない有り余る元気な表情にレイモンドは心のざわめきを覚えた。
『このような機会は二度とないでしょう。もう一つよろしいですか?』
ステファニーは周りを見渡し、
『ここには私達だけです。どうぞ何なりと!』
レイモンドは小さく笑い
『貴女は殿下を、アレクセイを愛しておいででしたか?』
ステファニーは微笑んだ。
『もちろん。愛とはを語る程の経験はございませんがお互いを思いやる関係を築けたらと思っておりました。
ですが私の力不足で王太子妃教育の間はただただ必死でしたので、素の自分を殿下に出す機会はございませんでした。
お人形相手では殿下もつまらなかったと思います。ですからこの結果は全て私にあると思っております。
本心から殿下とヴィクトリア様のお幸せを願っておりますよ。』
‥女神かよ。
レイモンドは眩しく輝くステファニーに笑顔で頷いた。
そして、その木の裏側には涙を堪えるアレクセイの姿があった事は誰も知らない。
それでも大国であるメープル王国の対応力が問われる式。
流石のレイモンドも今回ばかりは振り回され翻弄していた。
そのお陰もあり無事当日を迎えた。
各国から王族が参列する。その出席者リストにはもちろんロマニア王国レオナルドと婚約者のステファニーの名も刻まれていた。
ヴィクトリアの準備が整い、部屋を出て行く侍女たちと入れ替わりにレイモンドがやってきた。
レイモンドは久々に会うロマニア王国側近フレディックを意識してか、こちらも絵本の王子様の様な出で立ち。
ヴィクトリアは目を輝かせた。
『レイモンド、そろそろかしら?』
レイモンドはヴィクトリアを見ようともせずにソフィアに腰を下ろした。
『ヴィクトリア様、よろしいですか?本日は各国からの王族が参列されます。くれぐれも粗相の無いように。』
釘を刺すレイモンドに
『花嫁は誰よりも美しくなくてはならないものね。』
鏡に映る姿を確認しながら答える。
あからさまに溜息を溢し
『まあ、嫌でもお分かりになると思いますがね。王太子妃教育の大切さが‥』
レイモンドの声はヴィクトリアには届かなかった。
レイモンドは庭に出て一人ベンチに座り込んでいた。
そこへ懐かしいステファニーが現れた。
『レイモンド様、どうされました?本日はおめでたい日でございます。溜息などつかれてはなりませんわ。』
レイモンドは目を細めステファニーを眺める。本来ならばこの令嬢が本日の主役の1人であったはずなのだ。この国に産まれ育てられたレイモンドにとって、ステファニーの持つ潜在能力は知っていた。だからこそ、王太子妃教育には注力せずに外交へ力を注いでいたのである。
その結果がこれである。
『ステファニー様、本日はお忙しい中ありがとうございます』
テンプレ通りの言葉を返す。
『お疲れのご様子ですね。さぞや大変であった事でしょう。しかし見ている方は見ておられます。貴方のお働きを。この国には無くてはならないお方ですもの。』
女神の様にほほ笑むステファニー。
その眩しさにやられたのか、珍しく本音を口にしたレイモンド。
『‥貴女は、何故ロマニア王国へ行かれたのですか?』
核心に触れる問にレイモンドは
『失礼しました』
とすぐに謝罪をしたがステファニーはしばらく頭を巡らせ
『孤独?かしら。』
ステファニーは素直に答えた。
『‥孤独。』
呟くレイモンドに
『私は弱い人間なのです。その孤独に恐怖を覚え日々苦しんでおりました‥王太子妃教育などその恐怖に比べたら何てことごさませんでしたもの。』
クスクスと小さく笑うステファニーの姿を見て、かつて幼き頃出会ったステファニーを重ねた。
『貴女は貴女のままであったのですね。ちっとも変わってなどいなかった。』
ステファニーは
『はい!』
驚く程の明るさで答えた。令嬢としてはいかがなものか?と思われても仕方ない有り余る元気な表情にレイモンドは心のざわめきを覚えた。
『このような機会は二度とないでしょう。もう一つよろしいですか?』
ステファニーは周りを見渡し、
『ここには私達だけです。どうぞ何なりと!』
レイモンドは小さく笑い
『貴女は殿下を、アレクセイを愛しておいででしたか?』
ステファニーは微笑んだ。
『もちろん。愛とはを語る程の経験はございませんがお互いを思いやる関係を築けたらと思っておりました。
ですが私の力不足で王太子妃教育の間はただただ必死でしたので、素の自分を殿下に出す機会はございませんでした。
お人形相手では殿下もつまらなかったと思います。ですからこの結果は全て私にあると思っております。
本心から殿下とヴィクトリア様のお幸せを願っておりますよ。』
‥女神かよ。
レイモンドは眩しく輝くステファニーに笑顔で頷いた。
そして、その木の裏側には涙を堪えるアレクセイの姿があった事は誰も知らない。
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