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レイモンドの婚約者
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両国の結束も盤石なものとなり、帝国の中でも大きな同盟国となっていった。
『なあ、レイ。そろそろか?ステファニーのお子がうまれるのは。』
『‥』
『レイモンド?』
レイモンドは、我に返りアレクセイに顔を向ける。
『うん?なんだって?』
窓から外を眺めていたレイモンドは振り返る。
『だから、ステファニーのって、お前どうした?』
珍しく浮かない顔のレイモンドに問う。
『父親から直々に釣書を渡されてね。』
今更ながら、
『なんだ、そんな事か。そんなのいつもの様に有耶無耶にするんだろ?』
そう、レイモンドは結婚には興味もなければ、後ろ盾も必要が無い。
『今回ばかりは、そうもいかないんだ‥』
レイモンドはアレクセイの前に腰を下ろした。
『どうゆうこと?』
『ランドルト候爵家のシルビア嬢との縁談でね。』
アレクセイは頭を巡らせ
『シルビア嬢?シルビア嬢って‥』
レイモンド苦虫を噛み潰したような表情で
『そう、それだよ‥』
シルビア・ランドルト候爵令嬢といえば、社交界でも指折りの美女であり、また毒舌でとても気の強い令嬢で有名である。
アレクセイは首を振り
『断れないのか?』
『断れないも何も、向こうもギャンギャン吠えているだろうが、何せ親同士がな‥WIN・WINとなるわけだ。』
この世界で、政略結婚は当たり前である。家同士にメリットの生む婚儀であれば問題はない。
嫌と言うほどわかり切っているレイモンドには断わる事が出来ないのである。
アレクセイは、政略結婚は仕方ないとしても、せめて将来的にでも真実の愛が、芽生える相手をレイモンドに望んでいた。
『いつ顔合わせ?』
レイモンドはガクリと肩を落として、
『これからだよ‥』
アレクセイは驚き
『こ、これから?そうか‥無理するな?』
頼りなく送り出すアレクセイであった。
王宮の見事なバラ園のガゼボにシルビア嬢はレイモンドを待っていた。遠くからもシルビアが確認出来るとレイモンドは踵を返して執務室に戻りたい衝動にかられるが、これでもメープル王国の公爵令息であり宰相である。
レイモンドは背筋を伸ばしシルビアに声を掛けた。
『やあ。待たせて申し訳ない。久方ぶりだね、シルビア嬢。』
安定の王子スマイルにシルビアは、安定の無表情で
カーテシーをすると
『お久しぶりでございます。レイモンド様。』
美しい無表情はまるで絵画の様である。
‥
普段饒舌なレイモンドであるが、目の前の彫刻の様なシルビアに言葉が続かない。相手も同じ様に、この婚儀に乗り気では無い事ははっきりレイモンドにも分かった。
‥どうするんだよ。全く。
しばらくの沈黙の中、ガゼボの奥から何やら令嬢たちの揉め事らしき声が響き渡って来た。
‥勘弁してくれよ。こんな時に‥
『男爵令嬢のくせに!立ち場を弁えなさい!』
『男爵家かどうななんて関係ないわ!』
『まあ、なんて図々しいのかしら!』
口々に響き渡る罵声に頭を抱えそうになっていると、
シルビア嬢が静かに立ち上がり、事もあろうかその令嬢たちの方へ向かって歩みを進めて行った。
‥え?何で?何でわざわざ首を突っ込みにいくんだよ
レイモンドは1人執務室へ戻りたいと執務室を見上げる。
『静まりなさい!』
シルビア嬢の一言で令嬢たちは静まり返る。
レイモンドは仕方なくその場へ向かい、少し離れた所で待機した。
令嬢たちは4人。1人の令嬢がシルビアに口を開く。
『聞いて下さい!この方たちは私が男爵令嬢だからって馬鹿にしていますのよ!』
シルビアに告げ口するかのような令嬢を青い顔をして見ている子爵令嬢と伯爵令嬢2人。
シルビアは4人へ視線をゆっくりと流し
『男爵令嬢だからバカにされているのでは無いのでは?爵位など関係なくバカにされておりますのよ。』
驚いたのは、当のご本人と令嬢3人。
『ひ、酷いわ!』
男爵令嬢はシルビアの後ろに居たレイモンドを気づき、レイモンドに助けを求める様に寄り付いた。
シルビアは振り返り男爵令嬢に尚も続ける。
『貴女、男爵令嬢だからって言うけれど、男爵令嬢でも素晴らしい令嬢は沢山いらっしゃるわ。そもそも上級貴族相手に先に声を掛け、寄りかかるなんて爵位など関係なく、驚きの行動ですわよ?』
これにはレイモンドも激しく同意。寄りかかる令嬢からスルリと抜け出る。
そして、シルビアは踵を返して令嬢3人を見る。
『貴女たち、こんな所で声を荒げるなんて、はしたないですわ。そもそも貴族において、爵位は絶対。ですが、爵位を盾に物を言うのは、見っともないですわよ。』
令嬢3人は青くなっている。
シルビアは、
『まっ、私も声を荒らげそうになっていた所でしたので、貴女方に助けて頂けて結果的には助かりましたの。ありがとう』
シルビアは美しくカーテシーをすると、令嬢3人も微笑みながらカーテシーをし、庭園を後にした。
残された男爵令嬢はレイモンドに愛想笑いをし逃げる様に走り去って行った。
‥私も走り去りたいよ。
‥声を荒らげそうって、俺にだよね?
‥執務が恋しくなってきたよ。
シルビアは執務室を見上げるレイモンドに
『お忙しい中お時間を割いて頂きありがとうございました。どうぞ気になさらず執務室へお戻り下さい』
すこし笑みをプラスしてくれた為か、戻りやすい状況にレイモンドはすかさず
『申し訳ない、執務が立て込んでおりますので。』
レイモンドは礼を取り、逃げる様に執務室へ戻った。
『なあ、レイ。そろそろか?ステファニーのお子がうまれるのは。』
『‥』
『レイモンド?』
レイモンドは、我に返りアレクセイに顔を向ける。
『うん?なんだって?』
窓から外を眺めていたレイモンドは振り返る。
『だから、ステファニーのって、お前どうした?』
珍しく浮かない顔のレイモンドに問う。
『父親から直々に釣書を渡されてね。』
今更ながら、
『なんだ、そんな事か。そんなのいつもの様に有耶無耶にするんだろ?』
そう、レイモンドは結婚には興味もなければ、後ろ盾も必要が無い。
『今回ばかりは、そうもいかないんだ‥』
レイモンドはアレクセイの前に腰を下ろした。
『どうゆうこと?』
『ランドルト候爵家のシルビア嬢との縁談でね。』
アレクセイは頭を巡らせ
『シルビア嬢?シルビア嬢って‥』
レイモンド苦虫を噛み潰したような表情で
『そう、それだよ‥』
シルビア・ランドルト候爵令嬢といえば、社交界でも指折りの美女であり、また毒舌でとても気の強い令嬢で有名である。
アレクセイは首を振り
『断れないのか?』
『断れないも何も、向こうもギャンギャン吠えているだろうが、何せ親同士がな‥WIN・WINとなるわけだ。』
この世界で、政略結婚は当たり前である。家同士にメリットの生む婚儀であれば問題はない。
嫌と言うほどわかり切っているレイモンドには断わる事が出来ないのである。
アレクセイは、政略結婚は仕方ないとしても、せめて将来的にでも真実の愛が、芽生える相手をレイモンドに望んでいた。
『いつ顔合わせ?』
レイモンドはガクリと肩を落として、
『これからだよ‥』
アレクセイは驚き
『こ、これから?そうか‥無理するな?』
頼りなく送り出すアレクセイであった。
王宮の見事なバラ園のガゼボにシルビア嬢はレイモンドを待っていた。遠くからもシルビアが確認出来るとレイモンドは踵を返して執務室に戻りたい衝動にかられるが、これでもメープル王国の公爵令息であり宰相である。
レイモンドは背筋を伸ばしシルビアに声を掛けた。
『やあ。待たせて申し訳ない。久方ぶりだね、シルビア嬢。』
安定の王子スマイルにシルビアは、安定の無表情で
カーテシーをすると
『お久しぶりでございます。レイモンド様。』
美しい無表情はまるで絵画の様である。
‥
普段饒舌なレイモンドであるが、目の前の彫刻の様なシルビアに言葉が続かない。相手も同じ様に、この婚儀に乗り気では無い事ははっきりレイモンドにも分かった。
‥どうするんだよ。全く。
しばらくの沈黙の中、ガゼボの奥から何やら令嬢たちの揉め事らしき声が響き渡って来た。
‥勘弁してくれよ。こんな時に‥
『男爵令嬢のくせに!立ち場を弁えなさい!』
『男爵家かどうななんて関係ないわ!』
『まあ、なんて図々しいのかしら!』
口々に響き渡る罵声に頭を抱えそうになっていると、
シルビア嬢が静かに立ち上がり、事もあろうかその令嬢たちの方へ向かって歩みを進めて行った。
‥え?何で?何でわざわざ首を突っ込みにいくんだよ
レイモンドは1人執務室へ戻りたいと執務室を見上げる。
『静まりなさい!』
シルビア嬢の一言で令嬢たちは静まり返る。
レイモンドは仕方なくその場へ向かい、少し離れた所で待機した。
令嬢たちは4人。1人の令嬢がシルビアに口を開く。
『聞いて下さい!この方たちは私が男爵令嬢だからって馬鹿にしていますのよ!』
シルビアに告げ口するかのような令嬢を青い顔をして見ている子爵令嬢と伯爵令嬢2人。
シルビアは4人へ視線をゆっくりと流し
『男爵令嬢だからバカにされているのでは無いのでは?爵位など関係なくバカにされておりますのよ。』
驚いたのは、当のご本人と令嬢3人。
『ひ、酷いわ!』
男爵令嬢はシルビアの後ろに居たレイモンドを気づき、レイモンドに助けを求める様に寄り付いた。
シルビアは振り返り男爵令嬢に尚も続ける。
『貴女、男爵令嬢だからって言うけれど、男爵令嬢でも素晴らしい令嬢は沢山いらっしゃるわ。そもそも上級貴族相手に先に声を掛け、寄りかかるなんて爵位など関係なく、驚きの行動ですわよ?』
これにはレイモンドも激しく同意。寄りかかる令嬢からスルリと抜け出る。
そして、シルビアは踵を返して令嬢3人を見る。
『貴女たち、こんな所で声を荒げるなんて、はしたないですわ。そもそも貴族において、爵位は絶対。ですが、爵位を盾に物を言うのは、見っともないですわよ。』
令嬢3人は青くなっている。
シルビアは、
『まっ、私も声を荒らげそうになっていた所でしたので、貴女方に助けて頂けて結果的には助かりましたの。ありがとう』
シルビアは美しくカーテシーをすると、令嬢3人も微笑みながらカーテシーをし、庭園を後にした。
残された男爵令嬢はレイモンドに愛想笑いをし逃げる様に走り去って行った。
‥私も走り去りたいよ。
‥声を荒らげそうって、俺にだよね?
‥執務が恋しくなってきたよ。
シルビアは執務室を見上げるレイモンドに
『お忙しい中お時間を割いて頂きありがとうございました。どうぞ気になさらず執務室へお戻り下さい』
すこし笑みをプラスしてくれた為か、戻りやすい状況にレイモンドはすかさず
『申し訳ない、執務が立て込んでおりますので。』
レイモンドは礼を取り、逃げる様に執務室へ戻った。
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