婚約破棄から始まる物語【完】

mako

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公爵夫人教育

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『あの、レイモンド様?公爵夫人教育は?』


レイモンドは腕の中にシルビアを抱え眺めている。

公爵邸に付くと直ぐにシルビアを部屋に案内し今に至る。

『ここは今日からシルビアの部屋だからね。好きにしていいよ?足りない物があれば遠慮なく言ってね。』


メープル王国筆頭公爵家。王宮の如く広い敷地にそびえ立つ
公爵邸。シルビアは足りない物など見つけられる訳がない。


『そしてあの扉で私の部屋と繋がっているから、いつでも入ってきていいからね。』

レイモンドの指差す扉は部屋の奥にあった。


‥これはまさしく?

シルビアの住む侯爵家でも両親の部屋を繋ぐ扉はある。


そんな説明をしながらソファに座り、いや抱え込みレイモンドはシルビアを眺めている。


『あの、教育は?』


レイモンドはクスクスと笑い


『教育中だけど?』





『大切な事でしょう?こうして妻として夫を癒やす事はね。』


真っ赤に俯くシルビアを面白そうに眺める。


『レイモンド様、からかっていらっしゃいますのね?』

恥ずかしそうに見上げるシルビアに

『我妻は落ちこぼれの様だね』

シルビアは目を見開き背すじを伸ばし


『落ちこぼれですか?』


『あぁ、落ちこぼれだ。夫を敬称を付けて呼ぶ妻がどこにいる?ヴィア?』

耳元で囁かれたシルビアは一気に体温が上昇し固まる。

『ヴィアは落ちこぼれのままで良いの?』


『‥駄目です。』


『だろ?じゃあ頑張って?ほら。』




『レイモンドさ‥レイモンド‥レイ様?』


黙って見つめるレイモンドに

『レイ?』

小さく囁くシルビアにレイモンドは優しく微笑み


『正解!』

シルビアの細い首をしっかり抱えシルビアの唇にキスを落とした。


驚くシルビアにお構いなしでレイモンドは

『ヴィア、君はもっと沢山食べて大きくならなければいけないね。』


‥大きくって

『さあ、行こう!』

レイモンドはシルビアの手を引き食堂に向う。


『朝はまだだろう?さあ一緒に食べよう。』


目の前に広がる豪華な朝食にも驚いたが、先日まで厳しく教育を付けてくれていた執事やメイド長らも揃ってシルビアをもてなす。

『シルビア様、どうぞ。』

椅子を引かれてシルビアは

『ありがとうございます。』


すかさず執事は

『使用人にそのような口を聞いてはなりません。これが私からの最後の言葉とお受け取り下さいませ。』


執事は最上級の礼を取る。

シルビアがレイモンドを見ると黙って頷く。
シルビアも頷き席に付いた。


『早速だけど、食べたら行くところがあるんだ。だから今朝は簡単な物を用意するようにと言ってあったんだ。簡素で申し訳ないね。』


目の前の豪華な朝食を簡素だと言うレイモンドに驚ろきながら目を輝かせたシルビアであった。
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