婚約破棄から始まる物語【完】

幸せの形

時は流れロマニア王国では第二王子も誕生し賑やかな王宮となっていた。

『お母しゃま、赤ちゃん抱っこする!』

王子のレオンが、弟を抱えようとするとステファニーは手を貸し立派にお兄ちゃんをするレオン王子を優しく見守る。


『私も抱っこしたい‥』

メアリーが駄々をこねる娘に

『まあ、なんて事かしら？ステファニー様のお子ですのよ？』


子ども相手の会話だと思えないメアリーの相変わらずな対応にステファニーは眉を下げメアリーの娘に声を掛ける。


『アンナ、優しいのね？抱っこしてくれるの？』

『うん！』

アンナはステファニーの膝にダイブをしレオンと共に抱っこする。


『まあ、なんて事。アンナは誰に似たのかしら？フレディックだわ！』


『相変わらずの口だね、メアリー。』


仕事を終えたフレディックが公爵家に帰る為、妻子を迎えに来た。



公爵家に戻ると３人は晩餐を終え、アンナを寝かしつけるとフレディックとメアリーは２人でワインを楽しむ。

一日の出来事を話し互いに笑い、時に怒る。

溺愛モードとは程遠い２人ではあるが夫婦仲はすこぶる良好。完璧な王子様の雰囲気を持つフレディックと、完璧な頭脳を持つメアリー。容姿は令嬢らしく無く飾り気は全く無いナチュラルテイスト。
そんな２人はケンカなど程遠く誰よりもお互いを理解している同士のような関係であった。



『メアリー、明日も早い。もう寝よう』

フレディックはメアリーからグラスを取り上げベッドに促す。メアリーもグラスのワインを急いで飲み干しフレディックと共にベッドに入る。


フレディックが後ろからメアリーを抱き寄せるとメアリーは未だに真っ赤になる。

このメアリーの姿はフレディック以外誰も知らない。そんなメアリーが愛おしくてたまらないフレディック。


フレディックの手は後ろからメアリーを包み、メアリーを女性へと導く。メアリーはフレディックの手を魔法の手と名付け２人だけの時間を楽しむのであった。