婚約破棄から始まる物語【完】

mako

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愛の形

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ロマニア王国からレオナルドとステファニー夫妻。フレディックとメアリー夫妻がメープル王国を非公式にて訪れていた。


何故非公式?これは皇帝からの要望により幼少期から節目節目に交流があったレオナルドとアレクセイに向けて出された命であり、メープル王国にて謁見する事になっていた。


『何故メープル王国なのですか?ロマニア王国であれば私ももっとゆっくりできたでしょうに‥』

恨めしそうにフレディックを見るレイモンドにシルビアは宥める様に言う。


『まあ、レイ。名誉な事ではございませんか?』

フレディックは走り廻るレイモンドを横目にお茶を飲みながら

『本当ですよ。レイモンド殿。大変名誉な事、お慶び申し上げる。』


『‥』


『そろそろか?』

アレクセイもホスト国として、何度も確認作業を繰り返している。

メープル王国がバタバタしている中、いきなり中央の扉が開かれ、いつも扉を開いている衛兵は真っ青になっている。


なぜなら、いきなり飛び込んできたのは帝国の頂点に君臨する皇帝であったからだ。


皆驚き目を見開くが、すぐに最上級の礼を取る。


『やめろ!非公式だと申したはずだが?アレク。』


『はっ!』

アレクセイは渋々顔を上げると皆、バラバラと礼を解く。


『久方ぶりだな。こちら皇后だ。』


‥固まる一同と微笑む皇后。


誰もが驚き口を開けない。

『どうした?お前たちの婚儀の際はわたしは遥々お祝いに駆けつけたであろうに。

今回は駆けつけさせるのは悪いと思いこちらから参ったまで。祝いの言葉も無いか? 』


皇后が付け加える。


『無理もないでしょう。いきなりですからね。このあと各国に通達されるのですから。』


‥。


皇帝は彫刻の様な顔立ちで大陸でも指折りの美男子である。いつも美しい女性を侍らせてもいた。


が、皇后とした女性は


大変素晴らしいのであろう。品格も‥ある?
身分は‥?とにかく謎めいているが、間違いなく外見はどこかの国のお姫さまではない。


年齢は‥不詳。体格も良く言えばグラマラス。
顔立ちは‥良く言えば、柔らかそう?



そんな一同の心の声が聞こえた様に笑い合う2人。そこには2人だけの空気が漂う。


『先ずはお掛け下さい。』

アレクセイの声がけにより一同席に付く。
綺羅びやかな食事が並べられレオナルドが口を開く。


『おめでとうございます?でよろしいですね?』

婚儀の意図を問う。


皇帝は大きく笑い

『もちろんだ。』

満足そうにグラスをかかげ乾杯を催促すると皆一斉にグラスを片手に立ち上がる。

和やかな宴会の始まりだ。


アレクセイが急遽手配した雅楽団も加わり美しい音楽も奏でられる。


謎の皇后が口を開く。 


『驚かれたでしょう?』


アナスタージアは素直に頷く。


『申し訳ありません。私は無知にも程がありますので、皇后陛下を存じ挙げず失礼をお許し下さい』


まだ少女のようなアナスタージアが頭を下げる。
ステファニーとシルビア、メアリーも続く。


『やめて下さい。ご存知ないのは当たり前ですわ。わたしは社交にも出ておりませんしね。』


謎の皇后は屈託なく笑う。

顔を見合わせる4人の夫人。いつもポーカーフェイスのメアリーでさえも固まっている。


『ハハハ!面白い。皆分かりやすく顔に出ておる。』

一人満足気の皇帝がワインを飲み干した。

『皇后は私の守り役だったのだ。『

‥?

『歳も私より10程上だからな?』


納得の表情を浮かべる一同。

『自慢ではないが政略結婚ではないぞ?アレクの言う結婚後愛を育むのも悪くないが私達は結婚前より育んでおったのだ!』


これまた豪快に笑う。


『ですが‥』

戸惑うアレクセイに

『何故黙っておったかであろう?』

お見通しの皇帝。

アレクセイは困惑気味に頷くと


『美しい令嬢はフェイクだ。外堀を埋めるな。』


面白い程に揃う一同の頷き。


『外見の美しさなどやがては無くなる。だがか皇后の美しさは永遠なのだ。』


目を輝かせるステファニー。

『泣く泣く諦め私に譲ったというのは?』

レオナルドが問う。

皇帝はニヤリと笑う。


『フェイクですね?』

微笑むステファニーに皇帝は


『どうであろうな?』


これまたからかう様に笑った。



『さあ、今宵はそろそろ。』

皇后が皇帝に声を掛けると皇帝は大人しく頷く。

これ程素直な皇帝にまたも驚く一同。
皇帝は恥ずかしそうに顔を赤らめ


『アレク、部屋を』

アレクセイは自ら2人を案内をした。


残された7人はしばらく口を開けなかった。


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