5 / 5
黄金の薔薇
しおりを挟む魔式二輪で移動し、オーステリアから暫く東に移動した先にやってきた。
お目当ては大陸最大のキノコ、《黄金の薔薇》だ。
その黄金の薔薇は近くに行けばすぐに分かる風体だった。
周囲の木々を枯らして黄金の胞子をばら撒く、遠目から見ても目立って目立って仕方がない巨大な薔薇がそこにはあった。
黄金の薔薇は周囲の植物に毒をばら撒く習性があり、これが成長することは一般的に良いこととはされていないし、一定以上成長すると自身の毒に絶えきれず自滅するため基本的には巨大になるまで成長しない。
しかし、ここの黄金の薔薇の生えている土地は特殊な土地で、あまりも肥沃な故に植物による侵食が抑えきれなかった歴史があり、肥沃な土地を食い荒らす事で巨大に成長した黄金の薔薇はこの土地の守り神として祀られている。
「うわぁ、すっごい、もなんかすごいなぁ」
いざ目の前にすると「すごい」という言葉しか出ないほど圧倒的だった。
まずでかい、私よりでかいし建物ほどサイズが有る、次に神秘的、あくまでこれは花ではなくキノコだから金色の胞子が周囲を覆っていて神々しい、周囲の全てが枯れている禍々しさがコントラストになっていて対面すると言葉を失う。
よく観察してみると確かにこれは花ではないことが理解できる。
花と言うには茎も枝も葉もなく、花びらはやけに薄くまるでガーゼのようだった、花びらのような部分も日光を取り込む目的で存在はしていないから規則的な形はしておらず不自然さが多く存在している。
私はこの黄金の薔薇の豆知識というか、うんちくを一つ持っていてそれを試したい欲求があった。
バックの中からガラス瓶に入れてある枝付きの赤いバラを取り出した、ガラス瓶のコルク栓を開けた途端にガラス瓶の中の薔薇には無数の金色の粉が付き、瞬く間に崩れ落ちていくのが観察できる。
ここまで巨大化した黄金の薔薇の前だと、他の植物を空気に触れさせた瞬間に胞子の毒が反応して植物が崩れ落ちる、という話を聞いたことが合ったのでどうしても試してみたかったのだ。
こうしてみると、二輪車の購入は正解だったなぁ、と確信していた。
これほど凄まじいものを見ることができるなら大枚をはたいて購入した価値はあったといっていいだろう、この先も自分の好きなところによることができると考えれば凄く素敵なことだった。
「どうせだから、もう少し寄り道しても大丈夫かも」
私は早速二輪車に飛び乗って次の目的地を決める。
サンザドバドル近郊にある魔導粉末の原材料の魔石の採掘跡地、旧ガレリア坑道だ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
