俺を好きになるな、お前を愛していない、極道の目覚めた独占欲

第五章 蓮也の戸惑い

⑤

そんな矢先、勝手に一人で外に出てしまった加子は林田に捕まった。

後ろからハンカチを口に当てられ気を失った。

加子が気づくと、マンションの一室で、ロープで縛られていた。

そこに現れたのは林田だった。

「加子さん、やっと会えましたね、かわいそうにロープで縛られて、
でも、これからの素敵な行為のためには必要なので、しばらく我慢してください」

林田は異常とも取れる性癖の持ち主だった。

加子は目隠しをされて、何も見えない状態になった。

林田は加子にキスをした。

舌を入れて口内を掻き回した。

加子は思いっきり林田の舌を噛んだ。

「うっ」

林田は加子から離れて、苦しそうな声を上げた様子がわかった。

加子は口の中が血の味がして、気持ち悪かった。

「とんでもないことをしてくれましたね、お仕置きが必要ですね」

丁寧だが、言葉の裏には背筋も凍るような冷たい感情が伝わった。

加子の頬に冷たいものが触れた。

多分、ナイフの刃だろうと推測出来た。