俺を好きになるな、お前を愛していない、極道の目覚めた独占欲

第九章 目覚めた独占欲

⑨

加子は俺とのことを大河原に話していたのか。

「確かに一旦は手放しました、でもそれは林田が堅気だからです、
相手が会長なら、話は別です」

「別と言うと……」

「極道出身の会長には、加子は渡せません」

「それなら、加子ちゃんをわしから奪ってみろ、加子ちゃんがお前について行きたいと言ったら、わしは手を引こう」

「わかりました、加子を取り戻して見せます」

蓮也は大河原の元を後にした。

加子はマンションを借りて生活をしていた。

林田が手配してくれて、家賃は林田が払ってくれていた。

当面の生活費も慰謝料として工面してくれた。

加子は素直に林田の気持ちを受けることにした。

大河原には時々食事をしたり、買い物に付き合ってもらったりと、

父親にように慕っていた。

そんな時、加子の前に蓮也が現れた。

「加子、元気だったか」

「蓮也さん」

加子は嬉しい気持ちを隠して、わざと素っ気ない態度を取った。

蓮也さんは結婚するんだ。

また、あんな思いはしたくない、近づいてはいけない人。

そう自分に言い聞かせた。

「ちょっと話をしたいんだ、車に乗ってくれ」

「ごめんなさい、私はお話することはありません、失礼します」

蓮也は加子の腕を引き寄せた。

「ちょっと待ってくれl

グッと顔が近づいた。

蓮也はそのまま、加子を自分の方に引き寄せ、唇が重なった。

周りの音が聞こえなくなり、舌が入れられて、腰を引き寄せられた。

久しぶりの蓮也とのキスに加子は抵抗出来ずに、酔いしれた。

唇が離れて、加子は我に返って、蓮也を突き飛ばし、その場を去った。

「加子、加子」

蓮也の声は加子には届かなかった。