70 / 111
第十五章 すれ違う気持ち
みゆの偽りの言葉
しおりを挟む
「どうして?」
「親父の知り合いでね、それと十年前みゆに命を助けて貰ったことがあるそうだ」
「みゆさん?」
麗子はビックリした表情を見せた。
「契約の条件はみゆと俺が結婚すること、そして生涯みゆを愛すると誓うことだ」
「そんな」
麗子はがっくりと肩を落とした。
俺はみゆを迎えに行くため与那国島へ向かった。
その頃、与那国島ではみゆが自分の気持ちを北山先生に伝えていた。
「みゆちゃん、心配したよ」
「北山先生、すみませんでした」
「廉也から連絡があったよ」
「そうですか」
私は廉也さんと別れることを北山先生に告げた。
「北山先生、私、廉也さんとは別れます、廉也さんは会社のため、そして廉也さんの将来のために麗子さんと結婚することが一番いいと思うんです」
涙が溢れて止まらなかった。
北山先生は私を引き寄せて抱きしめた。
北山先生に甘えてはいけないと思いながら、私は北山先生の胸で大声で泣いた。
北山先生は何も言わずにそのまま私を抱きしめてくれた。
どれ位の時間が過ぎただろうか。
診療所のドアの向こうに廉也がいた事に気づかずにいた。
廉也さんが急に入ってきて、私を北山先生から引き離した。
「みゆ、話がある」
そう言って、私を外に連れ出した。
廉也さんは私に背を向けて、信じられない言葉を投げかけた。
「健志が好きなのか」
私はなんて答えればいいか迷っていた。
廉也さんは私の方に振り返り「俺じゃなく、健志を選んだのか、答えろ、みゆ」と声を荒げた。
俺はわかっていた、みゆはそんな女ではない事を……
でも、健志と抱き合っていた光景に嫉妬の炎が燃え上がった。
みゆは俺のこと、会社のことを考えて、身を引こうとしている。
でももし本当に俺が振られたんだとしたら、みゆとの結婚で会社が危機を脱することが出来ることなど、言えるわけがない。
俺に愛情がなくとも、俺との結婚を選ぶだろう。
俺はみゆと愛し合いたいんだ、偽りの愛はいらない。
その時、みゆが口を開いた。
「親父の知り合いでね、それと十年前みゆに命を助けて貰ったことがあるそうだ」
「みゆさん?」
麗子はビックリした表情を見せた。
「契約の条件はみゆと俺が結婚すること、そして生涯みゆを愛すると誓うことだ」
「そんな」
麗子はがっくりと肩を落とした。
俺はみゆを迎えに行くため与那国島へ向かった。
その頃、与那国島ではみゆが自分の気持ちを北山先生に伝えていた。
「みゆちゃん、心配したよ」
「北山先生、すみませんでした」
「廉也から連絡があったよ」
「そうですか」
私は廉也さんと別れることを北山先生に告げた。
「北山先生、私、廉也さんとは別れます、廉也さんは会社のため、そして廉也さんの将来のために麗子さんと結婚することが一番いいと思うんです」
涙が溢れて止まらなかった。
北山先生は私を引き寄せて抱きしめた。
北山先生に甘えてはいけないと思いながら、私は北山先生の胸で大声で泣いた。
北山先生は何も言わずにそのまま私を抱きしめてくれた。
どれ位の時間が過ぎただろうか。
診療所のドアの向こうに廉也がいた事に気づかずにいた。
廉也さんが急に入ってきて、私を北山先生から引き離した。
「みゆ、話がある」
そう言って、私を外に連れ出した。
廉也さんは私に背を向けて、信じられない言葉を投げかけた。
「健志が好きなのか」
私はなんて答えればいいか迷っていた。
廉也さんは私の方に振り返り「俺じゃなく、健志を選んだのか、答えろ、みゆ」と声を荒げた。
俺はわかっていた、みゆはそんな女ではない事を……
でも、健志と抱き合っていた光景に嫉妬の炎が燃え上がった。
みゆは俺のこと、会社のことを考えて、身を引こうとしている。
でももし本当に俺が振られたんだとしたら、みゆとの結婚で会社が危機を脱することが出来ることなど、言えるわけがない。
俺に愛情がなくとも、俺との結婚を選ぶだろう。
俺はみゆと愛し合いたいんだ、偽りの愛はいらない。
その時、みゆが口を開いた。
0
あなたにおすすめの小説
Sランクの年下旦那様は如何でしょうか?
キミノ
恋愛
職場と自宅を往復するだけの枯れた生活を送っていた白石亜子(27)は、
帰宅途中に見知らぬイケメンの大谷匠に求婚される。
二日酔いで目覚めた亜子は、記憶の無いまま彼の妻になっていた。
彼は日本でもトップの大企業の御曹司で・・・。
無邪気に笑ったと思えば、大人の色気で翻弄してくる匠。戸惑いながらもお互いを知り、仲を深める日々を過ごしていた。
このまま、私は彼と生きていくんだ。
そう思っていた。
彼の心に住み付いて離れない存在を知るまでは。
「どうしようもなく好きだった人がいたんだ」
報われない想いを隠し切れない背中を見て、私はどうしたらいいの?
代わりでもいい。
それでも一緒にいられるなら。
そう思っていたけれど、そう思っていたかったけれど。
Sランクの年下旦那様に本気で愛されたいの。
―――――――――――――――
ページを捲ってみてください。
貴女の心にズンとくる重い愛を届けます。
【Sランクの男は如何でしょうか?】シリーズの匠編です。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される
山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」
出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。
冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?
幸せのありか
神室さち
恋愛
兄の解雇に伴って、本社に呼び戻された氷川哉(ひかわさい)は兄の仕事の後始末とも言える関係企業の整理合理化を進めていた。
決定を下した日、彼のもとに行野樹理(ゆきのじゅり)と名乗る高校生の少女がやってくる。父親の会社との取引を継続してくれるようにと。
哉は、人生というゲームの余興に、一年以内に哉の提示する再建計画をやり遂げれば、以降も取引を続行することを決める。
担保として、樹理を差し出すのならと。止める両親を振りきり、樹理は彼のもとへ行くことを決意した。
とかなんとか書きつつ、幸せのありかを探すお話。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
自サイトに掲載していた作品を、閉鎖により移行。
視点がちょいちょい変わるので、タイトルに記載。
キリのいいところで切るので各話の文字数は一定ではありません。
ものすごく短いページもあります。サクサク更新する予定。
本日何話目、とかの注意は特に入りません。しおりで対応していただけるとありがたいです。
別小説「やさしいキスの見つけ方」のスピンオフとして生まれた作品ですが、メインは単独でも読めます。
直接的な表現はないので全年齢で公開します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる