お前は俺の指示に従え〜意地悪な外科医との契約結婚

ラヴ KAZU

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最上さんから「行くな」と言って追いかけてきてくれることはないんだったと、自分の発言を後悔した。

「もう、最上さん知らない」

自分が悪いのに、なんか涙が止まらない、私は契約上の妻なんだと改めて思い知らされた。

わかってたのに、それでもいいと思ってたのに、涙がとめどもなく溢れて何も見えない。

私は何も考えられずにふらふらっとマンションを出た。

俺はリビングから梨花の気配が消えたのに気づいたのは、しばらく経ってからのことだった。

いつまでへそ曲げてるんだ。

俺は梨花をなだめようと部屋から出てきた。

「梨花、梨花」

リビングにもキッチンにも梨花の部屋にも姿が見えなかった。

梨花、マジでやつを追いかけたのか、リビングのテーブルの上にスマホと財布があった。

俺は慌ててマンションを飛び出した。

「梨花、梨花」

俺のただならぬ態度に慌てた様子でコンシェルジュ佐々木が声をかけてきた。

「最上様、そんなに慌ててどうなさったのですか」

「梨花はどのくらい前にここを通ったんだ」



「梨花様でしたら、三十分前くらいにお出かけになりました」

「どこに行くとか言っていなかったか」

「お出かけですかとお声をかけさせて頂いたのですが「はい」とお返事しただけで、それ以上は分かりません」

「そうか」

「梨花様がどうかなさいましたか」

「ちょっと言い争いになって、姿が見えないんだ」

「それはご心配ですね」

「俺は辺りを探してくる、もし梨花が戻ったら俺のスマホに連絡くれ」

「かしこまりました」

梨花、まさか、本当にやつを追いかけたのか。

それならそれでいいじゃないか、俺はなんでこんなにも慌てているんだ。

去るものは追わずが俺のスタンスだ。

それなのに梨花を探して、連れ戻そうとしているのか。

ありえないと思いながら、俺は必死に梨花を探していた。

駅まで行ってみたが見当たらない、梨花はスマホと財布を置きっぱなしだったため、

そう遠くへは行っていないはずだ。

スマホを置いてあるんだから、やつとは連絡出来ないよな。
俺は徐々に冷静になってきた。





俺としたことがありえない慌てようだと自分の行動がおかしくなって笑いが込み上げてきた。

梨花のお気に入りの場所があったな。

俺はその場所に行ってみた。

マンションの裏にある公園だ。

梨花はブランコでぽつんと座っていた。

「梨花」

梨花は俺を確認すると勢いよく走り出した。

俺は溢れる思いが込み上げて、梨花を抱きしめた。

梨花も俺の背中に手を回して俺の胸に顔を埋めて泣いていた。

「最上さんのバカ、なんでもっと早く探しにきてくれなかったの」

「お前が勝手に出て行ったんだろう、俺は去るものは追わずって言っておいたはずだがな」

「でも、私を探してくれたんですよね」

「しょうがねえよ、惚れたんだからな、梨花に」

「本当?もう一回言ってください」

「残念でした、もう言わねえ、聞き逃したのならお前が悪い」

「聞き逃してないけど……」

梨花は俺にもたれかかり動かなくなった。

「おい、梨花、しっかりしろ」

俺は脈を測り、救急車を呼んだ。

梨花は意識を失った。


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