お前を誰にも渡さない〜俺様御曹司の独占欲

第四章 忍び寄る影

「記事にしたいと思ってるんですが、婚約者公認の愛人って見出しでいいですかね」

次の日から彼はまた仕事が忙しく、帰りが遅い日が多くなった。

毎日電話をくれる、彼の声を聞くだけで心が穏やかになる。

しかし彼が帰ってくる時間、私は眠っている。そして彼が仕事に出かける時間も私は眠っている、つまりすれ違いの生活となっている。

彼は私を気遣い寝かせてくれているのだろう。

でもこれじゃ一緒に生活しているのに、全然顔を合わす事が出来ていない。

やっと休みの土曜日がやって来た。

でも朝、目を覚ますと彼の姿は何処にもない。

そしてテーブルの上に置き手紙があった。

『おはよう、雫、今日は取引先の社長と打ち合わせがあり、出かけてくる、ゆっくりしていろ』

峻のバカ！どうして起こしてくれなかったのよ、これじゃあ、全然顔見られないのに・・・

峻は寂しくないの？

私はめっちゃ寂しいのに・・・

そうか、峻は契約だから寂しくないんだ。

今日は気分が良かったから、夕飯を作ろうと買い物に出た。

マンションを出ると、見知らぬ男性が声をかけて来た。

「雨宮雫さんですね、私は芸能雑誌の記者で村上と申します、冴木コーポレーション社長冴木峻さんとモデルの唯香の熱愛報道を追ってるんですがこの写真を入手したんですが、どう思われますか？」

そう言って差し出された写真に写っていたのは、彼とモデルの女性が見つめあってる姿だった。

「記事にしたいと思ってるんですが、婚約者公認の愛人って見出しでいいですかね」

「私はよくわかりません」

その場を離れようとしたが、その記者はしつこく追いかけて来た。