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第二十七章 蓮と美希のすれ違う気持ち

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「そんなこと、心配していたのか、それじゃあ、飽きるほど毎晩抱いてやる、
俺がどれほど美希を愛しているか、思い知らせてやるよ」

「もう、蓮さんったら」

美希は頬を真っ赤に染めて俯いた。

蓮は美希のこんな恥じらう姿が愛おしくて、堪らなかった。

美希は自分の魅力に気づいていない。

本人はおばさんになったと言っているが、そんなことは微塵も感じられない。

母親になっても可愛くて、愛おしくて、色気も増して、毎晩抱きたい気持ちを、

抑えるのに必死な蓮の気持ちには気づいていないようだ。

美希は蓮の許可を得てパートに出ることになった。

近くの喫茶店で働くことになった。

蓮が心配していた通り、美希が働き出してから、その喫茶店は客が倍増した。

優しい言葉づかい、心癒される笑顔、そして、たわいない会話。

「美希ちゃん、美希ちゃんが働いてくれるようになって、お客さんが増えたよ、
感謝してるよ」

そう言ってくれるのは喫茶店のマスター、八神光一だ。

八神は妻に先立たれた五十五歳の男性だ。

「私なんかを雇い入れていただいて、私の方こそ感謝しています」

「これからもよろしく頼むよ」

美希はほとんど毎日のように働いていた。

そのうち、土日もどちらか出てほしいと頼まれて、蓮に相談した。

「あのう、土日どちらか働いてほしいと頼まれたんですが、蓮也と美蓮をお願いできないでしょうか、午後から三時間ほどなんですが……」

「そんなに頑張らなくてもいいんじゃないか」

「でも……」

「美希は働きたいの?」

「出来れば……」

「わかった、いいよ」

「蓮さん、ありがとうございます」

そして、美希は土曜日の午後も仕事を入れた。

蓮は東條に蓮也と美蓮を頼み、美希の様子を見に行った。

この喫茶店は昔からある地元の主婦たちの憩いの場として、地味に営業をしてきた。
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