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第十五章 五年の歳月が流れた

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由梨は変わらず記憶がない。

五年経過して、若年性アルツハイマー型認知症が進んでいる気配もなかった。

朝、目が覚めると、昨日のことは覚えていない。

亮二は根気よく由梨に話をする。

実は、アメリカに来た時、病院を受診していた。

「自分の記憶がないんです、朝になると全ての記憶がリセットされてしまうんです」

「若年性アルツハイマー型認知症と思われますが、少し経過を見させてください」

担当医師の見解だった。

あれから五年、由梨の記憶はない状態だ。

しかし、アルツハイマー型認知症ではないとのことだった。

亮二は由梨を手放したくなかった。

毎朝、今の状況を説明するのは、苦ではなかった。

初めての感情に心地良かった。

唯一、五年も一緒にいるのに、キスすらしていない。

毎朝、はじめましての状態だからだ。

それでも亮二は構わなかった。

このまま、由梨と生涯を共に生きていきたかった。

ある日、由梨は一冊の雑誌に目が止まった。
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