戦国武将織田信長の不器用な恋

ラヴ KAZU

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「ありがとうございました」

「なんでこんなところにいるの、外出禁止なんでしょ」

「お腹が空いたんです」

「食事は?」

「だって、信長様と一緒に食べるなんて、喉を通りません」

「そう言うこと、でも早く戻らないと、あんた、殺されちゃうよ」

「政宗さんもいってましたけど、皆さん、信長様に意見しないんですか」

「しないよ、お館様の言うことは絶対だからな」

そこに秀吉が馬でマミを探して近寄ってきた。

「おい、マミ、何をやっているのだ」

「何って、腹越しらいです」

「お館様がご立腹だぞ」

そこに家康が口を挟んだ。

「あんた、殺されるね、その前に貸した小銭返してね」

「もう、分かってます」

マミは秀吉の馬に跨り、安土城へ向かった。





「マミ、早くお館様の元へ行き、謝るのだ、よいな」

秀吉に背中を押されて、天守閣へ向かった。

「失礼します」

座敷に入ると、食事は手をつけず二人分が残ったままだった。

「どこに行っておったのだ」

信長にいきなり怒鳴られる覚悟をしていたマミは、静かに、しかも、

悲しい表情を見せられて、戸惑ってしまった。

「城下のお団子を食べに行っていました」

「信玄と一緒だったのか」

信長の表情が変わった。

「違います、一人です」

「そうか、ではこれからは俺が一緒に行ってやる」

信長は安堵したのか、少し和らいだ様子を見せた。

「お願いします、小銭がなくて、家康さんに借りたので返さないと」

「わかった、家康には返しておく」

食事が手付かずなのに気づきマミは信長に聞いてみた。

「信長様、お食事は召し上がらなかったのですか」

「マミを待っていた」





マミはドクンと鼓動が跳ねて、信長に申し訳ない気持ちになった。

「ごめんなさい、私はもうお腹いっぱいなので、どうぞお一人で召し上がってください」

「いや、お前が食べないのなら、俺もやめておく、一人で食べても味気ない」

マミは信長がかわいそうになり、つい言ってしまった。

「これからは一緒に食べましょう」

「そうか」

信長は明るい表情を見せた。

私、どうしちゃったんだろう。

信長様に対して怒っていたはずなのに、許しちゃってる。

しかも、一緒に食べましょうなんて、自分の言葉に驚いてしまった。

それから平穏な日々が続いた。

信長様と一緒の食事は思ったより楽しい。

それにあれ以来求めてこない。

私にとっていいことなのに、なぜか寂しいと感じている。

そんな矢先、戦に出陣が決まった。

相手、二千の軍勢に対して、五百で、しかも信長様一人で、織田軍を率いるとのことだった。

「お館様、それは無謀です、我々だけでもお供いたします」

でも信長は最後まで、首を縦に振ろうとはしなかった。

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