椎名家の未確認ファイル

晴海りく

文字の大きさ
10 / 30

file7 幽霊

母・椎名一華は、小児科で看護師をしている。
小児科は、宏人や香菜に似た年齢の子達が入院してくると胸が痛くなる。

カラカラカラ

どこからともなくワゴンの音。

今日は、一華の娘・香菜の年齢が同じの女の子が肺炎で入院してきた。
「田中深月単語たなかみつき」ちゃんと言う子の担当になった。深月ちゃんのお母さんは、ものすごく仕事が忙しく昼間は、おばあさんが来るようだ。
入院のお部屋で、おばあさんが棚に服を入れたり水を冷蔵庫に入れていた。
「こんにちは、深月ちゃん。担当の椎名です。よろしくお願いしますね?」
深月ちゃんは頷きながら一華の背後を見ていて、一華は振り返るが誰もいない。
首を傾げながらも
「何か息苦しかったり辛かったらナースコールを押してね?」
そう言うと、また背後を見ながら頷く。
部屋を出るとき、見渡してみた。誰もいない。

そして、部屋を出た。

カラカラカラ

ナースステーションへ戻ってきて一華は、点滴の準備をしていると同僚が声をかけてきた。
「椎名さん!深月ちゃん、どう?」
「ん~?なんというか…体調が悪いからか上の空って感じがする…あとよくキョロキョロしてるね~お母さんに会いたいのかな?」
「あ~忙しそうだもんね~!さっきここにいたスタッフ達で、深月ちゃんのことは、気にしてあげようねっていう話になったんだ~!」
「うん、そうした方がいいかも?じゃ!点滴、行ってきま~す!」
「はいよ~」
そして、終業時間が終わり家へ帰った。



次の日もいつものように、一華は仕事をしている。
ただ気になることは、深月ちゃんは入院してから体調がさらに悪くなっていった。ご飯も食べているし薬も飲んでいるのに、だんだん身体が細くなっていき担当の先生も首を傾げていたのだ。
それから、深月ちゃんの病室を通ると声が聞こえてきた。きっとお母さんかおばあさんが来たのだろうと思って扉を開けると誰もいない。
一華は、深月ちゃんに
「あれ?深月ちゃん。お母さんかおばあちゃん、いたよね?」
と言うと、深月ちゃんは首を振りながら
「ううん、まだ来てないよ!」
一華は驚きながら
「え~!!そうなの!誰かとお話してたのかなと思ってたよ!」
深月ちゃんは、笑顔で
「看護師さんと話してたんだ!!」
「え?本当?」
一華は誰かが、深月ちゃんに声をかけたのだろうと思っていると、ふと深月ちゃんが言うのだ。
「ん~?看護師さんと私と話している看護師さん…お洋服が違う…」
「…どんなお洋服を着ているの?」
「えぇ~!!看護師さんの隣にいるじゃない!」
一華は、隣をみると誰もいない。少し冷や汗をかきながら、血圧計のカバーを深月ちゃんの腕に巻き付けながら
「今、深月ちゃんの血圧測っているから、どんなお洋服してるか教えてくれる~?」
「いいよ~!」
すると一華は、深月ちゃんが話す一つ一つの言葉に震えるのを我慢しながら聞いていた。
「あのね~赤い十字架のマークに白い帽子を被ってて~白の長いワンピース?に白いエプロンしているよ~あと左の頬っぺたが怪我をしていてかわいそうなの~あとで治してあげて?」
ゆっくり呼吸をしながら
「うん、そうだね。」
と言った。
深月ちゃんは、一華に
「私、二人の看護師さんがお話してくれて…嬉しいな♪」
と笑っていた。




















































感想 0

あなたにおすすめの小説

【総集編】アリとキリギリスパロディ集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。 1分で読める! 各話読切 アリとキリギリスのパロディ集

極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。

猫菜こん
児童書・童話
 私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。  だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。 「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」  優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。  ……これは一体どういう状況なんですか!?  静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん  できるだけ目立たないように過ごしたい  湖宮結衣(こみやゆい)  ×  文武両道な学園の王子様  実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?  氷堂秦斗(ひょうどうかなと)  最初は【仮】のはずだった。 「結衣さん……って呼んでもいい?  だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」 「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」 「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、  今もどうしようもないくらい好きなんだ。」  ……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

雪の降る山荘で

主道 学
児童書・童話
正体は秘密です。 表紙画像はフリー素材をお借りしました。 ぱくたそ様。素敵な表紙をありがとうございました。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?