ハチ切れ令嬢は、笑みを浮かべながら復讐する。

私、綺麗？

白い大きな城で、パーティーが始まる。

着飾る紳士と淑女達が、城の中へ入っていく。
天井には、シャンデリアが何個も飾られていてオーケストラ音楽が流れている。
食事を楽しみ、ダンスを楽しみ、挨拶をしたりしている。
貴族は、今日の事で盛り上がっていた。
「今日、どうなるか賭けないか？」
「アイナ様は、痩せたのかしら？」
「あんな大きな腹をしていたのだぞ？普通に無理じゃないのか？」
「グレイ様は、どちらを選ぶのかしら？」
「痩せたと言っていたわ！！」
「違うわよ！この前よりも大きな身体になってしまったから、今日は…来られないのよ！！」
「…アイナ嬢とオリビア嬢なら…どっちがいいかな？」
「両方選ぶんじゃないのか？」
「ルメール嬢は、兄・バイロンと二人で家を守っているって…すごいよね！！」
「そうだな～」

素知らぬ顔で、オリビア・ワグナーが現れる。
黄緑色のドレスを着ていて、肩にゴールドのショールをかけていた。
貴族達は、オリビアを見て驚いている。
オリビアは、心の中で
“言わせておけば、いいわ！私の方が、最高なのだから！！”
と思っていた。

グレイの執事が出てきて、ラッパを吹く。
執事は
「まもなくグレイ様が、登場致します。」
と言い、ライトが照される。

グレイが現れた。

人々は、拍手をする。
グレイは、シルバーの軍服で出てくる。
「いよいよ婚姻前パーティーになった。…アイナの姿をみんな、見たいだろう？…とても美しくなった。」
人々は、歓声をあげる。
「みんな、階段に注目だ。アイナ・ルメールをここに！！」
階段の方に、ライトが照らされる。

アイナは、会釈をし階段をおりていく。
そこには、オフショルダーになっていて胸元の真ん中に小さな花が散りばめられていて全体的にパキッとしたオレンジ色。後ろから見てみると、編み込みになっていて朱色のリボンで調節が可能になっている。ウエストも、朱色・下にかけてオレンジ色の濃さが薄くなっていくドレスになっていた。髪型は、カチューシャのように編み込んでいる。後頭部の真ん中でお団子をほぐした様にしている。
数ヶ月前に見たアイナとは、別人のようになっていた。
ここにいる貴族達は、唖然としていた。

ある紳士達が言う。
「本当に、アイナ・ルメール嬢か？」
「とても美しい。」
淑女達も
「嘘よ！！」
「誰か、わからないわ！！」
とざわつく。
アイナが階段をおりた瞬間、グレイの手をとりエスコートされる。

フロアの真ん中に立ち、オーケストラ音楽が流れる。

ダンスが始まった。

グレイは、笑顔で
「アイナ？とても綺麗だ…」
アイナもニッコリとした笑顔で
「ありがとう…ここであなたと踊れることが何よりも嬉しいわ！」


曲が終わった。

グレイは、アイナに跪き

「アイナ・ルメール、私と結婚してください！」

と言った。
周りにいる貴族達は、歓声をあげる。
アイナは、にっこりと

「結婚は…致しません！！」

と言いきり、みんなが驚いた。


“何を驚いているのかしら？私…綺麗になったでしょ？
フフ、楽しみね？

さぁ、始めるわよ？”