ハチ切れ令嬢は、笑みを浮かべながら復讐する。

晴海りく

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最終章 その後の話

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お互いの想いに気づき、やっと成就したアイナとレイモンド。

屋敷の中へ入ってソファーに座り、兄・バイロンと侍女・サブリナに報告をした。
レイモンドは、見たことのないような真っ赤な顔で
「バッバイロン…サブリナ…、今日は、アイナと報告がある。」
そう聞いたサブリナは、バイロンが話す前に
「お二人とも!!ついに、婚姻を!!」
と目をキラキラさせながら言う。
バイロンは、サブリナを落ち着かせながら
「サブリナ、俺が言うセリフ…とらないで…」
アイナは、二人の会話を聞きながら笑っていた。

バイロンは咳払いをしながら、レイモンドとアイナをみる。
「おいおい、アイナ?さっき婚約者というか…犯罪者に復讐したばかりだぞ?レイモンド、さっき婚約を破棄した我が妹でいいのか?」
と真剣に問う。

レイモンドとアイナは見つめあいニコッと笑いながら、お互いの手を重ねる。
アイナは、
「お兄様?確かに、今日婚約破棄をして復讐をしました。ですが、今日のレイモンドとの報告は、婚約ではなく…交際のお許しを願いたいのです。」
レイモンドも
「あぁ…私からも…私から言うつもりだったが…その…交際を許してほしい…」

バイロンは二人をじっとみて、頭をガシガシと掻く。
「はぁ~!!!許す許さないも許してるよ!!レイモンドには、アイナを頼むと言ってたからな!!
ただ、なんだ!俺も…兄としての威厳をしめしたかっただけだ!!ハハハハハッ!!!二人とも、幸せになれよ!!婚姻式も、しっかりと盛大にするし、外国にいる両親も呼び寄せるからな!!!ハハハッ!」
ソファーに反り返りながら笑った。
レイモンドも前のめりになって
「あ~緊張した!次は、ご両親に挨拶だな!」
アイナはレイモンドの手をもう一度握りながら
「レイモンド、ありがとう!気を遣ってくれて…」


少し落ち着いた四人。
すると美味しそうな匂いがしてきた。

サブリナは、手を叩きながら
「おっと!!そろそろ、シナモンロールとアップルパイとジャガイモのガレットとミートラザニア…あとは…皆様、今日は…お疲れだと思うのでチョコレートケーキとブラックチョコのアイス、その上にアーモンドをふってみました!!あとは…」
アイナは慌てながら
「サブリナ!!いっぱい作ったわね!!お腹が、いっぱいになりそう!!」
バイロンもレイモンドも口々に
「サブリナ!!すごいな!」
「アイスは、嬉しい!」

サブリナはアイナに一歩踏み出し
「お嬢様?ダイエットで、頑張っていたのは…知っています!!ですが、今日ぐらいは…今日ぐらいは…お嬢様がお好きな食べ物を用意したので…存分に召し上がって下さいませ」
と礼をする。
アイナは、笑いながら
「もちろん、食べるわ!
サブリナの料理…大好きなのよね~♪」
サブリナは笑顔で、
「あとその…皆様の帰りをお待ちしてたら…大変な量を作ってしまい…あとキャロットケーキ・バニラクリームカップケーキ・シュークリーム・ハムとチーズとトマトソースとバジルのピザ・マカロニグラタン・柔らかくなりすぎた牛肉スープ・クッキーを五種類も作ってしまい…あの…申し訳ございません。」

三人は、大爆笑した。

バイロンは
「アハハハハ!!!作りすぎだろ!!…いや、まあ、サブリナなりに料理をすることで落ち着いてたんだろうな!!ハハハハハ!!!!!」
レイモンドも
「四人で、食べれるかな?…食べるぞ!!」
アイナはサブリナの腕を絡めて
「私も含めて、み~んなで食べるわよ?」

それから四人で、食事をした。
みるみるうちに料理がなくなり…食べきった。



「もう食べれない…サブリナの料理、最高よ!」
「お嬢様、ありがとうございます。」
「あ~腹がキツイ…やべぇ…酒も入らない…」
「アイス以外のものをたくさん食べた…」





こうして夜も更けていった。
気づくと、四人は大きなソファーで寝ていた。





少し風が吹いている。
そこに馬車が、ルメールの屋敷にとまった。

ルメールの屋敷の外に人影が二人…
ブルーのコートを着たシルバーのハイヒールの女性が
「久しぶりね、あの子達…元気かしら?」
茶色のコートに薄い黄緑色のマフラーをした男性が
「元気だろ~?元気じゃなかったら、この屋敷が大変なことになる。」
「確かにね…」


ドンドンドンドン
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