ハチ切れ令嬢は、笑みを浮かべながら復讐する。

ある男の独り言

ここは、店だ。
薄暗い店内だが、オレンジの照明が照らされている。

店の奥へ行くと、バニラ・フルーティー・スパイシー・植物のウッドと様々な香りがしていた。
焦げ茶色のディスプレイケースに葉巻や煙草、茶色の床には、水煙草用の喫煙具が置いてある。



店の主である男は椅子に座って、腹を立てていた。
右手の人差し指で机をコツコツと音を出している。

“はぁ～～なぜだ！なぜだ！！なぜだ！！なぜだ！！なぜだ！！！
グレイ・カールソン侯爵やその他貴族達が捕まった！！
あんなに、うまくやれと言ったのに…バカ貴族どもめが！！

…国家の狗単語いぬが、私を狙っているのでは？
いや、わからないはずだ！！

しかし…貴族に薬を売ると…厄介だな…”



店の売り物の葉巻に手を取る。そして、マッチで火をつける。
ゆっくりと鼻で吸い、口から味わうように甘くてフルーティーな香りで満たされる。


「…ハァ～、久しぶりに…」


ギィ…


座っている椅子が軋む。
椅子から立ち上がり葉巻を吸いながら、人々が歩いている外を見る。



「…人を殺したくなってきたな…」




“ん？…あぁ…いるじゃないか…”



目をつけられると逃れられない。

じっと、見つめている。

知らない間に…そっと…近寄ってくる。