癒し子様は、祝福される。

晴海りく

文字の大きさ
3 / 12

脱出

タッタッタッタッ

階段をおりると、そこには水が少し溜まっていて他は石壁で真っ暗でよく見えない。
エレノアは、ため息を吐き
「…使われていない井戸かな?井戸桶もロープも古くなってるわ…
どうしようかな…まっ!登るけどね!!」
石壁にしがみつき登っていく。
上へ登れば登るほど、暗い。
焦る気持ちをおさえながら登る。
少し休憩をしながら、一歩ずつ…ふと下を見たくなった。

見ようとすると、父・クラムとの記憶がよみがえった。

あれは、父との山登り中に
「エレノア!お前にピッタリな崖がある!登るぞ!」
「おっお父様?!死んじゃう死んじゃう!!」
「ハハハハ!!大丈夫!!大丈夫!!」

そして登らされて、登っているとエレノアは泣きながら下を見ようとした。
するとクラムが
「エレノア!!お前は、今、上に向かって登っていっているんだ!!下を見るな!!前を向け!上を見ろ!!」
エレノアは、泣きながら頷く。
「…わっ…わっ…がっ…た…!!!」
「偉いぞ!!エレノア!強くなれ!!」


エレノアは、首を振りながら
「大丈夫だよ。お父様!私、大丈夫だよ!!」
すると外の光が月の光が、薄く見え始めていた。
周りが見えやすくなる。
目の前に、枯れている木の根があった。
「…ねぇ?もしもし!生きてる?話せる?」
エレノアは、木の根に話しかけた。
「……」
「起きないわね!…おい!起きろ!」
「なんじゃい!うるさいのう…って、うわぁ!!人間!人間か!!」
「…そうじゃよ?」
「かー!人間、真似をするでない!!して、何の用じゃ?」
「ここの…<トントン>(板を叩く)板をどうにかして外へ出たいのよ?助けてくれない?」
「フム。この板は…」

枯れた木の根は、ニョキニョキと伸びていき
「フム。儂の力でどうにかなりそうじゃな。
ただし、条件がある。
今塞いでいる板を後で燃やしてくれないか?」
「もちろん!ただ少し…理由を聞いてもいい?」
「この塞いでいる板は、儂なんじゃ。昔は、屋敷の奥にある森に生えていたのを人間が機械を用いて儂を切ったんじゃ。それで…切った底から、腐りはじめた。それで今は、使われていない井戸の蓋みたいになっている。もう…儂は、湿気で腐りはじめている。それなら、外で…お前の為に火に入って暖をとって眠りたい…だから、持っていってくれ…」
エレノアは、
「もちろんだよ!ありがとうね!助けてくれて!」
エレノアの腰に木の根がまわる。
「よしっ行くぞ!」
「うん!!」
木の根は、板を跳ね返しパアーンと飛んだ。
エレノアは、井戸から出て板を拾う。
「お外へ行こうね?」


パタパタパタパタ

パタパタ


井戸から外へ出たエレノアは、馬小屋へ向かう。
馬小屋は、玄関を通り抜け、居間を通り抜けた先にある。
問題は、居間の大きな窓だ。すべて丸わかりになりバレてしまう。
エレノアは、玄関の扉を通りすぎ考えた。
“いる…前髪くるり(ルイス)とアリアお姉様が!!……執事がいないじゃない?ダメよ?家の主人の息子を守らないと?”
この屋敷には、お花がいっぱいある。

ニヤ~

「ねぇねぇ?お花さん?」
とエレノアは、お花に声をかける。
「ん~?何?あ~エレノアじゃない!今は、伯爵に踏まれた所が痛いの…」
「復讐したくない?」
「…くわしく?」




玄関の扉を叩く音がした。


トントン   トントン  トントン  トントン  トントン
ドン  トントン   ドン   ドン



居間にいるルイスとアリアは、
「誰だ?今は、執事いないから私が行かないと…はぁ~」
「そんなこと言わないで?私も行くわよ!」


トントントントントントン
ドン  ドン   ドン

ガチャ

「こんな時間に誰だ?……って、」
アリアは、ルイスの後ろから覗きながら
「あれ?誰もいないわね?」
ルイスは、ため息を吐きながら
「なんて非常識な奴だ!エレノアといい…執事も父上についていったし…しかも誰もいないって…腹が立つ!!」


ドン


乱暴に扉を閉める。
ルイスはアリアの肩に手をまわし
「行こう、気のせいみたいだ…」


トントントントン


ルイスは、玄関の扉を開ける。

誰もいない。

外の周りを見て
「誰だ?」
チッと舌打ちをして、扉を閉めた。

アリアは、怪訝そうな顔で
「悪戯かしら?ま~そんなに怒らないでルイス?
居間で膝枕をしてあげるわ」
「…」


トントントントントントン
ドンドン

ドンドン

ドン  ドン   ドン


二人は、扉の方へ視線を向けた。
ルイスは腹が立ち
「いい加減にしろ!!」

ガチャ

すると目の前に、木の根が伸び、葉っぱが舞っていてルイスとアリアに、たくさんの葉っぱがふってきた。
「キャーーーーーー」
「うわぁーーー!!!!」

二人は、葉っぱだらけになった。



花は元の姿に戻り、フリフリと合図をした。

外には、暗闇をかけていくエレノアと馬の姿が見えた。
「ありがとう!お花さん!」
花は、フリフリと
「こちらこそ!どういたしまして♪」



アリアは、葉っぱを退けながら
「エレノアが逃げた!!」












感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

なぜかラブコメの主人公に転生したら幼馴染じゃなくて、友達のお母さんから好かれまくるし、僕の体を狙ってくる

普通
恋愛
ラブコメの主人公に転生した少年。それなのに幼馴染や後輩や先輩たちに好かれるよりも、その母親たちに好かれてしまっている。こんなはずじゃないのに、母親たちは僕の遺伝子を狙ってくる。 もうどうすればいいんだ!!!

亡き姉の身代わりとして嫁いだ私ですが、離縁状を置いた翌朝、夫が私の「真実」に気づいたようです』

まさき
恋愛
「サインはもう、いただきました。あとは私がこの屋敷を出るだけです」 ​五年間の結婚生活。侯爵令嬢エルゼが演じ続けたのは、亡き姉・ロザリーの「身代わり」という配役だった。 夫であるカイル公爵が愛していたのは、かつて雪の中で自分を救ってくれた初恋の少女・ロザリー。 生き写しの妹であるエルゼを娶りながらも、彼は一度も彼女を「エルゼ」と呼ぶことはなかった。 ​冷淡な視線、姉と比較される日々。 「君はどこまでいっても、ロザリーの代わりにはなれない」 その言葉を最後に、エルゼは静かに離縁状を置き、屋敷を去る決意をする。 ​しかし、彼女が消えた翌朝。 カイルは、エルゼが大切に遺していった古い小箱を見つける。 そこにあったのは、十五年前のあの日、彼が「命の恩人」に預けたはずの片方のカフスボタン。 そして、幼いエルゼが綴った、あまりにも切ない真実の日記だった。 ​――「あの日、雪の中で貴方を抱きしめていたのは、お姉様ではなく、私だったのです」 ​真実を知り、絶望の中でエルゼを追うカイル。 だが、すべてを捨てて「自分」を取り戻したエルゼは、もう二度と、彼の隣で微笑む仮面の妻には戻らない。 ​これは、名前を奪われた女が自由を掴み、愚かな夫が真実の愛を失うまでの、静かで鮮やかな再生の物語。

夫が勇者に選ばれました

プラネットプラント
恋愛
勇者に選ばれた夫は「必ず帰って来る」と言って、戻ってこない。風の噂では、王女様と結婚するらしい。そして、私は殺される。 ※なろうでも投稿しています。

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

愛を知った私は、もう二度と跪きません

阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。 家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。 「呪われた男にでも喰われてこい」 そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。 彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。 その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。 「エカテリーナ様、どうかお助けを!」 かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください

楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。 ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。 ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……! 「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」 「エリサ、愛してる!」 ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。