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第三章

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凪の部屋はとても豪華だった。
触ってはいけないような置物が数点ある。でも、成金な感じはしなくてセンスの言い置物である。

……あれって、国宝じゃなかったかしら?

凪の部屋に置いてあった美しい猫の置物。あれ、一度王宮で同じものを見たような気がする。
凪ってばいったい何者!?

「凪……あなたいったい何者なの?」

思わず、直接聞いてしまう。
攻略対象の猫だと思っていたのに。
これは一体どういうことだろう?

「僕?僕はね……この世界ではアレキサンドライト王子の双子の兄なんだ」

えっ?
アレキサンドライト様の双子の兄!?
双子の兄がいるなんて聞いたことないんだけど。
ゲームでもそんな存在はでてこなかった。いや、出てこなかったんじゃない。
隠しキャラを出せなかったから、その隠しキャラが凪ってこと?

でも、待って。

凪は隠しキャラの猫のナギなんでしょ?
なんで、凪が王子様なの?

「何で?って顔しているね」

凪が優しく微笑む。
混乱したまま、私はコクコクと頷いた。

「まだ、気づいていないの?華は鈍感だね?」

「えっ?」

「僕はね、猫のナギでもあるし、王子のナギサでもあるんだ。でも、僕の存在を知るものはごく一部。だから僕の名を知っているのもごく一部の人だけ」

「どうして?どうして、凪の存在は知らされていないの!?」

アレキサンドライト様と同じ王子なのに。
どうして!?

「僕はね、産まれながらにして神使でもあるんだ。王家の双子の兄はもれなく神使なんだよ。神使は神に近いもの。だからその存在を隠すんだ。僕の存在を悪用されないように」

「…………神使?」

ダメだ。
話についていけない。
凪が神使だなんて。

「そう、春が僕を神使として設定したんだ。華が幸せになれるように」

「………………どういうこと?」

「今はまだ秘密。時が来たら春が説明してくれるよ。僕には説明できない。そういう設定だからね」

「わからないわ」

「そうだね、春の愛は深すぎて僕にも想像ができない。でも、ひとつだけ言えるのは、この世界は華を幸せにするためだけに春が作ったんだ。だから、君は幸せになれるよ。必ず」

この世界は私のための世界?
だったら何故、私は悪役令嬢なの?

凪の手を握りながら、凪を見上げる。
もう、情報量が多くて、告げられた内容が突拍子もなさすぎて処理しきれない。

「僕も華には今度こそ幸せになってほしい。だから、春に強力しているんだ」

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