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しおりを挟む私は決めました。
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢をあのエスフォード王子殿下から解放しようと。あのエスフォード王子殿下がいる限りマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は幸せになれないでしょう。
ですが、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢の努力と才能は国母に相応しいと感じました。
乙女ゲームのことです。どこかに隠しキャラがいるはず。そして、その隠しキャラはエスフォード王子殿下の腹違いの兄弟の可能性が高い。まあ、乙女ゲームによっては隣国の王子が隠しキャラだったりすることもあるけれど。
その場合は、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢を隣国の王子殿下に嫁がせて、私はこの国を出て隣国へ行くのでもいいかもしれません。
だって、この国、あのエスフォード王子殿下が将来治めていくとしたら不安でしかないから。といいますか、確実にエスフォード王子殿下がこの国の王となったら、闇魔法の使い手である私は、確実に処刑コースです。
私はマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢とエスフォード王子殿下の破滅を願って作戦を開始することにいたしました。
闇魔法の使い手を嫌っている、排除したいと考えている私にエスフォード王子殿下に近づくことはできません。
なので、エスフォード王子殿下を攻落するというのは難しそうです。というか、無理です。近づきたくもありません。確実に精神を病みます。
では、どうするのか。
考えた私は、マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢と隠しキャラの恋を応援することにいたしました。
って、この乙女ゲームまだほとんどやってないので隠しキャラの出し方とかわかりませんが。もしかして、各攻略キャラの好感度を一定以上に上げていないと出現しなかったりします?もし、そうなら今の状況だと絶望的なんですけれど。
エスフォード王子殿下には闇魔法使いだということで嫌われていますし、他の攻略対象についても、エスフォード王子殿下に付いているので、エスフォード王子殿下と同じように私を嫌っています。
つまり、攻略対象との好感度はゼロ!もしくはマイナスです。
「……隠しキャラに会うのは難しいのかしら。」
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢も攻略対象との好感度はゼロもしくはマイナスでしょう。なんたってマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は乙女ゲームでは悪役令嬢だし。それに、あの攻略対象たちでは闇魔法の使い手のマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢のことを私と同じように排除したい相手だと思っているし。
「隠しキャラ……?なんですの、それ?平民の間で流行っているものかしら?平民というのは私には理解できないものを好む傾向があります。」
考え込んでいたら、どうやら声に出していたようです。
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢が私の独り言を聞いていたようで不思議そうに首を傾げました。
「は、はは……。マチルダ様はお慕いしている方はいらっしゃるのかなぁ~なぁんて。」
「おりますわよ。」
「隠しキャラ」という言葉を隠して聞いてみる。
そんなに簡単にマチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢が意中の相手を私に教えてくれるわけなんてないってわかっているけど……って!!簡単に教えてくれたしっ!!
「だ、誰ですかっ!!」
思わず身を乗り出して聞いてしまう。
「国王陛下ですわ。」
マチルダ・メメラーニャ侯爵令嬢は頬を染めながら教えてくれた。
応援ありがとうございます!
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