王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した

葉柚

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「アルフレッド様。申し訳ございませんが、私は女性にしかそういった行為はいたしませんの。」

「なっ!?」

「いいえ。アリーチェ限定ですわね。」

メリーチェはにっこり笑ってアルフレッド様に告げた。

それを絶望したような目で見るアルフレッド様。

私に渡そうとナイフとフォークを持った手がふるふると震えていた。

「あの・・・では、私が代わりに。」

「いや、結構だ。・・・いや、待てよ。そうだな・・・お願いするか。」

メリーチェがアルフレッド様に食べさせるのが嫌だということなので、私が名乗りをあげてみた。

だって、誰かが食べさせてもらわなければ一人だけ食べれなくなってしまうのだ。

ナイフとフォークは二人分しかないのだから。

アルフレッド様は最初は私の提案を断ったが、少し考えてから私の提案を飲んだ。

そうして、アルフレッド様のナイフとフォークが私に渡される。

まさか、まさかこんなところで、アルフレッド様に「はい、あーん。」ができるとは思わなかった。

使用人グッジョブ!なのである。

「アリーチェ。アルフレッド様の好物はこれよ。」

そう言ってメリーチェはピーマンの入った炒め物を指し示した。

あれ?

確か、乙女ゲームではアルフレッド様はピーマンが食べられなかったはずなのに、この世界のアルフレッド様は逆にピーマンが好物なの?

でも、メリーチェが嘘を教えてなにか得があるのだろうか・・・。

あ、そっか。

私がアルフレッド様に嫌いな物を食べさせることで、アルフレッド様に私を嫌いになるように仕向けているのかな。

いや、でも・・・。

アルフレッド様の目の前で、アルフレッド様に聞こえるように私に教えるってことは違うか。

「メリーチェ・・・。君は・・・。」

アルフレッド様が呆然とした表情でメリーチェを見ている。

「あら?お嫌いなんですの?ピーマン。いつも最後まで残しているから楽しみにとっておいてあるのかと思っていたのですけれども。(アリーチェに食べさせてもらうだなんて羨ましいわ。そんな幸運なアルフレッド様には、大っ嫌いなピーマンだけ食べさせてもらえばいいのよ。)」

にっこりにこにこ。

メリーチェはそう言ってアルフレッド様に微笑んでいる。

アルフレッド様はなにか言おうとして、口を開けたが、言葉を発する前に口を閉じてしまった。

「・・・すまない。アリーチェ、ナイフとフォークを返してくれ。」

「・・・はい。」

アルフレッド様ががっくりしたように言うので、私はアルフレッド様から受け取ったナイフとフォークをアルフレッド様に返した。

ああ。アルフレッド様に食べさせることが叶わなかった。

「メリーチェ。安心してね。私が食べさせてあげるわね。」

にっこりとアリーチェが笑う。

その横でアルフレッド様がうちひしがれたようにがっくりとうなだれていた。

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