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「・・・アリーチェ、話がある。」

アルフレッド様からそう切り出されたのはメリーチェたちと一緒にお昼を食べた日の放課後だった。

「なんでしょうか?」

メリーチェが側にいるのに、アルフレッド様が私に話しかけるのはとても珍しい。

いつもだったら、まずメリーチェに話しかけるのだが、どうしたのだろうか。

「メリーチェ。悪いがアリーチェをしばらく借りるぞ。」

「わかりました。くれぐれもアリーチェをいじめないでくださいね。」

「・・・善処する。」

え?ちょっっとなんでアルフレッド様はメリーチェに許可をとっているのだろうか。

しかも、メリーチェが私をいじめないようにと言った返答がなぜ、「善処する。」なのだろうか。

これは、メリーチェがあまりに私にべったりだからアルフレッド様からいじめられるということ・・・?

乙女ゲームでは私がアルフレッド様にべったりで、メリーチェにいじめられたけど、その反対の現象が起こっているのだろうか?

でも、それだったらなぜメリーチェは止めないのだろうか。

「アルフレッド様。アリーチェをもしいじめたら婚約破棄いたしましょうね。」

あ・・・違った。

メリーチェは婚約破棄をちらつかせてアルフレッド様を牽制しているようだ。

アルフレッド様は婚約破棄という言葉を聞いて顔を真っ青にしている。

そうして、ブンブンブンッと音がでるほど首を横に思いっきり振った。

「い、いじめない!アリーチェのことは絶対いじめないと誓う!だから、婚約破棄するだなんて言わないでくれ!」

「アリーチェが嫌だと感じたらそれはいじめになりますからね。アリーチェ、アルフレッド様にいじめられたらすぐに私に言いなさい。アルフレッド様をおしおきいたしますから。」

「・・・おしおき。なんかちょっとされたいかも。」

「変態は黙りなさいっ!」

な、なんだかアルフレッド様のイメージが大分乙女ゲームと異なるんだけど。

その声はとても魅力的なのに、どうして性格がこう残念さを見せているのだろうか。

「アリーチェ、メリーチェの許可もでたしちょっと校舎裏に来てくれないかな?」

「は、はい。」

アルフレッド様に言われて私は硬直する。

校舎裏って言ったらいじめられるときに呼び出される場所だよね・・・?

やっぱり私はアルフレッド様にいじめられるのだろうか。

それとも、メリーチェに近づくなと牽制されるのだろうか。

そんなビクビクしているのが顔に出ていたのか、アルフレッド様が優しく微笑んだ。

「そんなに怖がらなくていい。先程のメリーチェとのやりとりは戯れなのだから、私は君をいじめないから安心するといい。ただ、私はアリーチェと友達になったのにメリーチェを介してでないと話をしたことがないから誘ったのだ。身構える必要はない。」

どうしよう。アルフレッド様の微笑みにノックアウトしそうです。

そんなこんなで私は放課後、アルフレッド様と一緒に人気のない校舎裏に行くことになったのだった。
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