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校舎裏と言っても貴族が通う学校なだけあって、綺麗に整備されている。

まあ、それでも中庭にくらべて人は少ないけれども。

アルフレッド様と私は、並んで校舎裏にあるベンチに腰かけた。

「・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

アルフレッド様から誘ってくれたのに、会話がなにもない。

私から話しかけてもいいものなのだろうか。

きっとアルフレッド様が用事があって私を誘ったのだろうし。

いったい何を言われるのだろうか。

もしかして、メリーチェに近づくな。とか?

でも、それはメリーチェに直接言ってほしい。

私がメリーチェに近づいているのではなくて、メリーチェから近寄ってくるのだから。

「・・・・・・はあ。」

しばらくの沈黙の後、重いため息をついたのはアルフレッド様だった。

「・・・あのぉ。どうかされたんですか?」

このままだとずっと黙ったまま、何時間も経ってしまうのではないかと思い、アルフレッド様に問いかけてみる。

「うん?ああ、まあね。どうして、君なんだろうって思ってね。」

「は、はあ?」

ダメだ。

アルフレッド様の言っていることがわからない。

主語がない。

私が何をしたというのだ。

「ああ。本当にどうして君なんだろう。困ったなぁ。」

アルフレッド様はそう言ってまた考えこんでしまった。

というか、この人どうして私をここに呼び出したんだろう。

このまま時間だけが過ぎていくのだろうか。

あまりに無意味すぎる。

もしかして、私をメリーチェから離すためにここに連れてきた?

でも、それは失敗に終わっている。

だって、メリーチェ裏庭の物陰からこちらを覗いているもの。

ジッとアルフレッド様を見ているもの。

「あの・・・用事がないのなら私は帰りますね。」

アルフレッド様のことは乙女ゲームをプレイしていた頃から好きだけれども、ぐいぐい迫るようなことはしたくない。

というか、今の雰囲気のアルフレッド様にそんなことはできそうにない。

だから、私はアルフレッド様に声をかけてこの場から去ることにした。

けれども、

「待って。話があるんだ。」

と、アルフレッド様に呼び止められてしまった。

だから、話ってなんだろう。

またしばらく沈黙が続く。

アルフレッド様もなにやら葛藤しているようにも思える。

苦悶の表情を浮かべているのだ。

そんなに重大な話なのだろうか。

なかなか口に出せないくらい言いづらいことなのだろうか。

「どんな、お話でしょうか?」

アルフレッド様の表情が暗いから必然的に私の声まで暗くなってしまう。

しばらくして、アルフレッド様は意を決したように顔をあげて私を見つめてきた。

そうして爆弾発言をかましてくれたのである。

「アリーチェ。私と付き合ってくれないだろうか。」

「どこに?」

「・・・・・・・・・はぁ。」

思わず素で答えてしまった。

だって、アルフレッド様がメリーチェ一筋なのは見ていれば痛いくらいに伝わってくるから。

アルフレッド様は私の返答に頭を抱えてため息をついた。

「どこにって、付き合ってくれと言われたら私の恋人になってくれと言っていることと同じだろう。はあ・・・。本当になんで君なんだ。」

「へ?」

恋人になってくれというのだろうか?この私に?

さっきまでメリーチェメリーチェメリーチェだったアルフレッド様が、どうして私に?

私の頭のなかには疑問符ばかりが浮かんできた。
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