王太子が悪役令嬢ののろけ話ばかりするのでヒロインは困惑した

葉柚

文字の大きさ
15 / 23

15

しおりを挟む
「あ、あの・・・アルフレッド様?」

「君はただイエスかノーで答えてくれればいい。」

メリーチェが大好きなはずのアルフレッド様が私に恋人になってくれだなんて明らかにおかしすぎる。

怪しさ満点だ。

きっと何か裏があるんだと思う。

「あの・・・アルフレッド様は私のことが好きだったんでしょうか?」

思いきって聞いてみる。

私のことが好き?なんて聞くのはとても勇気がいったが、ぜったいにこの件には裏がある。

そう思ったからこそアルフレッド様に確認をしてみた。

「好きだが。まあ、LoveではなくてLikeだがな。」

アルフレッド様に好きと言われて舞い上がりそうになったところを次の言葉で打ち緒とされた。

Likeの方の好きだってさ。

じゃあ、なんで恋人になってくれだなんて言うのだろうか。

「私はアリーチェのことが嫌いではない。嫌いではないが、異性としては見れない。」

「じゃあ、なんで恋人になろうだなんて言ったんですか?」

続くアルフレッド様の言葉に私は脱力する。

アルフレッド様の言葉を聞く限り、先程の恋人発言はあきらかにおかしいものだということがわかる。

よかった。即答しなくて。

「・・・メリーチェにヤキモチを焼いてほしかったんだ。アリーチェと付き合えば、メリーチェがヤキモチを焼いてくれるかと思ってだな・・・。」

「・・・そういうことでしたか。おかしいと思ってました。」

つまり、婚約者ではなくって他の女といちゃこらしているのを見たメリーチェが、ヤキモチを焼く姿を見たかったってことね。

って、メリーチェってば焼きもち焼くかな?

だって、なんだかアルフレッド様にあまり執着していないように見えるんだよなぁ。

「いや・・・メリーチェがあまりにも連れない態度で、私よりもアリーチェの方が好きなんじゃないかと思ってしまったのだ。それを確かめるために、アリーチェと付き合っているふりをすれば、私にもっと感情をしめしてくれるのではないかと思ってだな・・・。」

アルフレッド様は心情を吐露しはじめた。

確かにメリーチェは見ていてもアルフレッド様のことが好きだという感情がまるで見れない。

アルフレッド様が不安に思うのも仕方がないことだろう。

「・・・でも、そんなことをしたらメリーチェ様が嫉妬で苦しむことになりますよ。それに・・・、メリーチェ様ここにいらっしゃいますので、今の会話は筒抜けかもしれません。」

「えっ!?」

ここに来たときからずっとメリーチェは物陰に潜んでこちらの様子をうかがっているのだ。

というか、教室を出てから私たちの後ろをずっとついてきていたんだけど、アルフレッド様は気がつかなかったんだろうか。

「メリーチェ!!私がアリーチェに鞍替えしないか気になったんだな!!」

メリーチェが物陰に潜んでいると聞いて、アルフレッド様が嬉しそうに叫んだ。

その声はもちろんメリーチェにも聞こえている。

なので、アルフレッド様の言葉を聞いたメリーチェが私たちの前に姿を現したのだった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

“足りない”令嬢だと思われていた私は、彼らの愛が偽物だと知っている。

ぽんぽこ狸
恋愛
 レーナは、婚約者であるアーベルと妹のマイリスから書類にサインを求められていた。  その書類は見る限り婚約解消と罪の自白が目的に見える。  ただの婚約解消ならばまだしも、後者は意味がわからない。覚えもないし、やってもいない。  しかし彼らは「名前すら書けないわけじゃないだろう?」とおちょくってくる。  それを今までは当然のこととして受け入れていたが、レーナはこうして歳を重ねて変わった。  彼らに馬鹿にされていることもちゃんとわかる。しかし、変わったということを示す方法がわからないので、一般貴族に解放されている図書館に向かうことにしたのだった。

悪役令嬢は伝説だったようです

バイオベース
恋愛
「彼女こそが聖女様の生まれ変わり」 王太子ヴァレールはそう高らかに宣言し、侯爵令嬢ティアーヌに婚約破棄を言い渡した。 聖女の生まれ変わりという、伝説の治癒魔術を使う平民の少女を抱きながら。 しかしそれを見るティアーヌの目は冷ややかだった。 (それ、私なんですけど……) 200年前に国を救い、伝説となった『聖女さま』。 ティアーヌこそがその転生者だったのだが。

婚約者を奪われるのは運命ですか?

ぽんぽこ狸
恋愛
 転生者であるエリアナは、婚約者のカイルと聖女ベルティーナが仲睦まじげに横並びで座っている様子に表情を硬くしていた。  そしてカイルは、エリアナが今までカイルに指一本触れさせなかったことを引き合いに婚約破棄を申し出てきた。  終始イチャイチャしている彼らを腹立たしく思いながらも、了承できないと伝えると「ヤれない女には意味がない」ときっぱり言われ、エリアナは産まれて十五年寄り添ってきた婚約者を失うことになった。  自身の屋敷に帰ると、転生者であるエリアナをよく思っていない兄に絡まれ、感情のままに荷物を纏めて従者たちと屋敷を出た。  頭の中には「こうなる運命だったのよ」というベルティーナの言葉が反芻される。  そう言われてしまうと、エリアナには”やはり”そうなのかと思ってしまう理由があったのだった。  こちらの作品は第18回恋愛小説大賞にエントリーさせていただいております。よろしければ投票ボタンをぽちっと押していただけますと、大変うれしいです。

追放聖女ですが、辺境で愛されすぎて国ごと救ってしまいました』

鍛高譚
恋愛
婚約者である王太子から 「お前の力は不安定で使えない」と切り捨てられ、 聖女アニスは王都から追放された。 行き場を失った彼女を迎えたのは、 寡黙で誠実な辺境伯レオニール。 「ここでは、君の意思が最優先だ」 その一言に救われ、 アニスは初めて“自分のために生きる”日々を知っていく。 ──だがその頃、王都では魔力が暴走し、魔物が溢れ出す最悪の事態に。 「アニスさえ戻れば国は救われる!」 手のひらを返した王太子と新聖女リリィは土下座で懇願するが…… 「私はあなたがたの所有物ではありません」 アニスは冷静に突き放し、 自らの意思で国を救うために立ち上がる。 そして儀式の中で“真の聖女”として覚醒したアニスは、 暴走する魔力を鎮め、魔物を浄化し、国中に奇跡をもたらす。 暴走の原因を隠蔽していた王太子は失脚。 リリィは国外追放。 民衆はアニスを真の守護者として称える。 しかしアニスが選んだのは―― 王都ではなく、静かで温かい辺境の地。

前世の記憶を持つ守護聖女は婚約破棄されました。

さざれ石みだれ
恋愛
「カテリーナ。お前との婚約を破棄する!」 王子殿下に婚約破棄を突きつけられたのは、伯爵家次女、薄幸のカテリーナ。 前世で伝説の聖女であった彼女は、王都に対する闇の軍団の攻撃を防いでいた。 侵入しようとする悪霊は、聖女の力によって浄化されているのだ。 王国にとってなくてはならない存在のカテリーナであったが、とある理由で正体を明かすことができない。 政略的に決められた結婚にも納得し、静かに守護の祈りを捧げる日々を送っていたのだ。 ところが、王子殿下は婚約破棄したその場で巷で聖女と噂される女性、シャイナを侍らせ婚約を宣言する。 カテリーナは婚約者にふさわしくなく、本物の聖女であるシャイナが正に王家の正室として適格だと口にしたのだ。

聖女じゃないと追い出されたので、敵対国で錬金術師として生きていきます!

ぽっちゃりおっさん
恋愛
『お前は聖女ではない』と家族共々追い出された私達一家。 ほうほうの体で追い出され、逃げるようにして敵対していた国家に辿り着いた。 そこで私は重要な事に気が付いた。 私は聖女ではなく、錬金術師であった。 悔しさにまみれた、私は敵対国で力をつけ、私を追い出した国家に復讐を誓う!

【完結】偽物の王女だけど私が本物です〜生贄の聖女はよみがえる〜

白崎りか
恋愛
私の婚約者は、妹に夢中だ。 二人は、恋人同士だった賢者と聖女の生まれ変わりだと言われている。 「俺たちは真実の愛で結ばれている。おまえのような偽物の王女とは結婚しない! 婚約を破棄する!」 お好きにどうぞ。 だって私は、偽物の王女だけど、本物だから。 賢者の婚約者だった聖女は、この私なのだから。

婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?

ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。

処理中です...