20 / 65
真夏の夜の悪夢
③
しおりを挟む
家を出てから一時間とちょっと。
私はやっと会社に辿り着いた。
カードキーをかざして会社の施錠を解除する。
誰も社内にはいないようだ。
会社の中はもわっとした外よりも熱気のある不快な空気が漂っていた。
社内に誰もいない場合は、エアコンを停止させることになっているからだ。
私はサーバールーム付近のエアコンのスイッチを入れた。
サーバールームのエアコンが故障していたとなると、サーバールーム内の室温は50℃近くまで上がっていることだろう。
そんな灼熱の中に飛び込むのはいただけない。せめて周囲の空気を冷やしておきたい。
「……あっついなぁ。」
蒸し暑い空気で額から汗が流れ落ちる。
サーバールームのドアをルームキーで開錠して開け放つと中からは尋常じゃないくらいの熱気が飛び出してきた。
急いで室温計を見ると、室温は49℃まで上昇しており、サーバーからは尋常じゃないくらいのファンの音が聞こえてくる。
通常はサーバールームのドアは締め切っているが、この状態でドアを締め切ることは得策ではないだろう。
ドアを開け放ち、サーバールームよりかは涼しいと思われる廊下の空気をサーキュレーターでサーバールーム内に送る。
「……社内の電気系統は生きているみたいだし、停電によって室温が上がったとは考えられないわね。……じゃあ、やっぱりエアコンの故障なのかしら。だとするとこの時間じゃ修理業者は呼べないし……。とりあえず応急処置として電源を落とせるサーバは落としてしまおう。」
稼働しているサーバーが多いから排熱される空気もサーバーの熱気で熱くなってしまう。
少しでも室温を下げるために、サーバーの電源を落とすことを考えた。
いくつかのサーバーは業務をおこなっていないこの時間に停止させても問題はない。
サーバーにアクセスし、一台一台サーバーの電源を落としていく。
空調が効いていないサーバールームの中はとても暑くまるでサウナにいるようだった。
汗だくになりながらもサーバーの電源を落とし終わったころ。
「麻生さん、大丈夫かい?」
と、安藤さんがやってきた。
電話口ではなにかあったら呼んでほしいと言っていたが、安藤さんもサーバーが心配になってやってきたようだ。
それもそのはずだ。室温は50℃近い異常事態だったのだから。
「とりあえず、サーバーを熱から守るためにシャットダウンしました。」
「そうかい。ありがとう。で、原因はわかったかい?」
「停電は発生していないようです。なので、エアコンの故障かと……。」
まだ出社したばかりで原因の特定までは至っていない。
「……停電での一時的なエアコンの稼働停止だったらよかったんだけどね。そうなるとエアコンの修理かなぁ。念のため、エアコンの再起動してみようか。」
「……はい。」
安藤さんは額の汗をハンカチで拭いながら、ネクタイを緩めた。
休日の夜だというのにわざわざスーツに着替えてきたらしい。真面目な安藤さんらしい。
「僕がエアコンを再起動させてくるから、麻生さんはいつからサーバールームの室温が上昇し始めたのか確認しておいてくれないかな?」
「はい。わかりました。」
私はパソコンを立ち上げると、サーバールームの室温管理システムに接続する。
そこには室温がグラフになって表示されていた。
グラフを確認すると室温が上がり始めたのは18時を回った頃からだった。それまで22℃で安定していたサーバールームの室温が徐々に上昇していき、19時には40℃近い室温になっていたのだ。
私はやっと会社に辿り着いた。
カードキーをかざして会社の施錠を解除する。
誰も社内にはいないようだ。
会社の中はもわっとした外よりも熱気のある不快な空気が漂っていた。
社内に誰もいない場合は、エアコンを停止させることになっているからだ。
私はサーバールーム付近のエアコンのスイッチを入れた。
サーバールームのエアコンが故障していたとなると、サーバールーム内の室温は50℃近くまで上がっていることだろう。
そんな灼熱の中に飛び込むのはいただけない。せめて周囲の空気を冷やしておきたい。
「……あっついなぁ。」
蒸し暑い空気で額から汗が流れ落ちる。
サーバールームのドアをルームキーで開錠して開け放つと中からは尋常じゃないくらいの熱気が飛び出してきた。
急いで室温計を見ると、室温は49℃まで上昇しており、サーバーからは尋常じゃないくらいのファンの音が聞こえてくる。
通常はサーバールームのドアは締め切っているが、この状態でドアを締め切ることは得策ではないだろう。
ドアを開け放ち、サーバールームよりかは涼しいと思われる廊下の空気をサーキュレーターでサーバールーム内に送る。
「……社内の電気系統は生きているみたいだし、停電によって室温が上がったとは考えられないわね。……じゃあ、やっぱりエアコンの故障なのかしら。だとするとこの時間じゃ修理業者は呼べないし……。とりあえず応急処置として電源を落とせるサーバは落としてしまおう。」
稼働しているサーバーが多いから排熱される空気もサーバーの熱気で熱くなってしまう。
少しでも室温を下げるために、サーバーの電源を落とすことを考えた。
いくつかのサーバーは業務をおこなっていないこの時間に停止させても問題はない。
サーバーにアクセスし、一台一台サーバーの電源を落としていく。
空調が効いていないサーバールームの中はとても暑くまるでサウナにいるようだった。
汗だくになりながらもサーバーの電源を落とし終わったころ。
「麻生さん、大丈夫かい?」
と、安藤さんがやってきた。
電話口ではなにかあったら呼んでほしいと言っていたが、安藤さんもサーバーが心配になってやってきたようだ。
それもそのはずだ。室温は50℃近い異常事態だったのだから。
「とりあえず、サーバーを熱から守るためにシャットダウンしました。」
「そうかい。ありがとう。で、原因はわかったかい?」
「停電は発生していないようです。なので、エアコンの故障かと……。」
まだ出社したばかりで原因の特定までは至っていない。
「……停電での一時的なエアコンの稼働停止だったらよかったんだけどね。そうなるとエアコンの修理かなぁ。念のため、エアコンの再起動してみようか。」
「……はい。」
安藤さんは額の汗をハンカチで拭いながら、ネクタイを緩めた。
休日の夜だというのにわざわざスーツに着替えてきたらしい。真面目な安藤さんらしい。
「僕がエアコンを再起動させてくるから、麻生さんはいつからサーバールームの室温が上昇し始めたのか確認しておいてくれないかな?」
「はい。わかりました。」
私はパソコンを立ち上げると、サーバールームの室温管理システムに接続する。
そこには室温がグラフになって表示されていた。
グラフを確認すると室温が上がり始めたのは18時を回った頃からだった。それまで22℃で安定していたサーバールームの室温が徐々に上昇していき、19時には40℃近い室温になっていたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
今宵、薔薇の園で
天海月
恋愛
早世した母の代わりに妹たちの世話に励み、婚期を逃しかけていた伯爵家の長女・シャーロットは、これが最後のチャンスだと思い、唐突に持ち込まれた気の進まない婚約話を承諾する。
しかし、一か月も経たないうちに、その話は先方からの一方的な申し出によって破談になってしまう。
彼女は藁にもすがる思いで、幼馴染の公爵アルバート・グレアムに相談を持ち掛けるが、新たな婚約者候補として紹介されたのは彼の弟のキースだった。
キースは長年、シャーロットに思いを寄せていたが、遠慮して距離を縮めることが出来ないでいた。
そんな弟を見かねた兄が一計を図ったのだった。
彼女はキースのことを弟のようにしか思っていなかったが、次第に彼の情熱に絆されていく・・・。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる