呪われた侯爵は猫好き伯爵令嬢を溺愛する?

葉柚

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第40話 ローゼリア

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 ローゼリアは与えられた侯爵家の一室で優雅に紅茶を飲んでいた。

 ローゼリアは男爵家の令嬢と言っても、幼少期は男爵家で使用人として過ごしていた。母親が使用人だったためだ。その生活が一変したのは、ローゼリアが成長するほどに大輪の薔薇のように綺麗に咲き誇ったからだ。

 その美貌を認識したハーウェルフ男爵に、政治に利用できると判断され、ローゼリアが13歳の時に正式に男爵家の令嬢として召し上げられたのだった。

 そのため、ローゼリアは実の父親のことをあまりよく思ってはいない。ずっと自分の子だと言う事を認めなかったのにも関わらず、ローゼリアの美貌が政略上に有利に働くことを知ってから手のひらを返したのだ。いつか、父親を締め上げたいと思っていた。

「お父様はキャリエール侯爵家に行儀見習いとして私を無理やり入れたみたいだったけど、残念ね。キャリエール侯爵には既に決まった相手がいるみたいだし。ふふっ。お父様の思い通りにならない展開は大好きよ。」

 誰に向かって言うわけでもなく、一人嬉しそうに呟く。

「でもキャリエール侯爵は利用させてもらうわ。だって、アンジェリカのこと気に入ってしまったもの。このままキャリエール侯爵邸で使用人として働けないかしら。そうすれば、嫁いできたアンジェリカの専属侍女にしてもらうのに。」

 ローゼリアは今日初めてあったキャティエル伯爵家のアンジェリカのことを思い出して嬉しそうに笑った。

 あんなに素直で純粋でどうしようもないほどのお人好しなんて初めて見た。

 でも、アンジェリカを不快に思うことはなかった。むしろ、アンジェリカだったらローゼリア自身のことも男爵令嬢としてではなく、ただのローゼリアとして認めてくれるのではないかと思ったのだ。

 ローゼリアは会ったこともないキャリエール侯爵のことなどどうでもよかった。ただ、男爵家から出れればよかったのだ。だから、ハーウェルフ男爵の言いなりになってキャリエール侯爵家にやってきた。そうして、キャリエール侯爵家にずっと居座るために、キャリエール侯爵の妻の座を狙っていたのだ。

 だが、そのキャリエール侯爵夫人に一番近いのはアンジェリカだった。

 最初は自分の立場を脅かされるのではないかと、アンジェリカを敵視していたが、アンジェリカと話してみたら、アンジェリカを敵視するのも馬鹿らしく思えたのだ。

 むしろ、表裏のないアンジェリカと友達になりたいとさえ思ってしまった。

「可愛いアンジェリカを泣かすようなことがあったら、例えキャリエール侯爵でも許さないわ。ふふふっ。でも、侯爵も可愛いわね。アンジェリカに思いを伝えられずに空回りしているところとか。」

 ローゼリアはご機嫌な笑みを浮かべて、ティーカップに口をつけた。

 

 

 その姿をこっそりと隣の部屋のマジックミラーから伺っていたヒースクリフは、唇の端をゆっくりと上げ笑みを浮かべた。

 

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