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第91話
しおりを挟む「私、ローゼリアさんに確認してきます。」
「待てっ!……私は、別に呪いが解けなくても構わない。猫になるだけだからな。猫になっていても私の意思はある状態だ。問題ない。」
侯爵様は勢いよく出て行こうとする私の手を握って私がローゼリアさんの元に行くのを止める。
「でもっ!!」
私は呪いは解かないといけないものと認識している。このまま侯爵様にかけられた呪いを解かないという選択肢は私の中には存在しない。
「あら。本当に呪いを解きたいのかしら?」
「ローゼリア嬢!?」
「ローゼリアさんっ!?」
私と侯爵様だけしかいなかったはずの私の部屋なのに、突如として優雅な女性の声が聞こえてきた。
驚いて声のした方に視線を向けると、そこには侯爵様に呪いをかけた張本人であるローゼリアさんが真っ黒なドレスを身に纏って優雅にたたずんでいた。
「ごきげんよう。」
ローゼリアさんはにっこりと笑みを浮かべた。
「ローゼリアさん。どうして、ここに。」
「あら、私は魔女よ。どこでも好きなところに一瞬で行くことができるわ。うふふ。それで?本当にアンジェリカは侯爵の呪いを解きたいのかしら?」
ローゼリアさんは妖艶に微笑みながら私に向かって問いかける。
「ええ。」
私は間髪入れずにローゼリアさんの問いかけに頷く。
「あら、そう。でも、呪いを解いてしまったら、アンジェリカの大好きなクリスにはもう二度と会えなくなるわよ?その覚悟はあるのかしら?」
「うっ……。」
ローゼリアさんに言われてクリスの美しい姿を思い出す。洗練された黒猫のクリスはどこをとっても私の理想そのものだった。
私は猫のことが大好きだ。
でも、その中でもクリスは一番特別で大切だった。
そのクリスと会えなくなる。
いや、クリスは侯爵様なのだから会うことはできる。だって、侯爵様は私の婚約者なのだから。
でも、クリスの姿をしている侯爵様には会うことができない。
モフモフすることができない。
愛くるしい顔を見ることもできない。
ふわふわなお腹に頬ずりすることもできない。
肉球をぷにぷにと触ることもできない。
……どうしよう。
私は、ローゼリアさんから視線を侯爵様に移す。
「侯爵もいいのかしら?アンジェリカに撫でてもらえなくなるのよ?抱っこ、してもらえなくなるのよ?きっと人間の姿ならアンジェリカは侯爵に頬ずりもしないでしょうねぇ。無条件に甘えたりもしないかもしれないわねぇ。それでも、いいのかしら?」
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