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しおりを挟む「……アリス嬢。こんな夜更けにいかがしたのかな?」
夜、ロイドが自室で美しい黒猫を待っていると、ドアがノックされロイドが返事をする前にアリスによってドアが開かれた。
アリスは目のやり場に困るような薄着をしていた。
「……ロイド様に急にお会いしたくなったのです。いけませんでしたか?」
アリスは薄っすらと目に涙を浮かべながら、儚い笑みを浮かべる。
ロイドは自分の頬が引きつるのを感じた。
「アリス嬢。そのような薄着では風邪を引いてしまいますよ。夜は冷えますゆえ、風を引かないうちにお帰りください。」
ロイドは引きつりそうな口元をしっかりと引き締めてにこやかにアリスに告げる。
アリスは「はい。」とは頷かなかった。
「私はロイド様にお会いしたかったのです。どうしても……。ロイド様は私のことがお嫌いですか?」
目からつぅーと一筋の涙を零しながらアリスはロイドのことを見つめた。
そして、少しずつロイドに近寄り、ロイドの身体にもたれかかろうとする。
「それに……ロイド様が温めてくだされば、私は寒くなんてありませんわ。」
真っ白な頬をピンク色に染めて伏し目がちにアリスはそう言った。
ロイドは思わずアリスから離れるように、後ろに一歩下がった。
「…‥アリス嬢。君はまだ未婚の身だろう。はしたないことはおやめなさい。」
ロイドはアリスから距離を置く。
「まあ。ロイド様ったら。私はもうすぐロイド様の妃になるのですよ。そのような硬いことはおっしゃらないで。」
アリスはロイドが距離を取った分、ロイドとの距離を詰める。
「ロイド様がセレスティーナ様のことを忘れられないことは承知しておりますわ。ですが、この婚姻は皆が望んでいるのです。民たちを安心させるためにも一日も早く私とロイド様の婚姻を……。」
「待ってくれ。アリス嬢。私は、それを望んではいない。」
「どうしてですか。私では、セレスティーナ様の代わりにはなりませんかっ。」
目にいっぱいの涙を溜めながらアリスは必死にロイドを見つめ縋りつく。
ロイドは困ったなぁと額に手を当てて空を仰いだ。
「にゃああ!!」
と、そこに黒猫がやってきてロイドの窮地を救うようにロイドとアリスの間に割って入った。
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