断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚

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「……ユースフェリア王子とアンナライラ男爵令嬢だったかな?ウェイン先生?なんで二人がここにいるんでしょうかね?」

 初老の男性……この学園の学園長であるアリットソン学園長はにこやかな笑みを浮かべながらウェインに尋ねた。

「はっ……。ユースフェリア王子とアンナライラ男爵令嬢が結託してアマリア侯爵令嬢を学園から勝手に追放いたしました。そのご報告にあがりました。」

 ウェインは事実をそのまま告げる。これにはにこやかな笑みを浮かべていたアリットソン学園長も眉間に皺を寄せた。

「……アマリア侯爵令嬢を、追放……しただと……?誰の権限があってのことだ……?私はそんな指示などだしてはいないが……。それにアマリア侯爵令嬢は追放されるような素行の悪い生徒ではなかったはずだ。むしろ学園の全生徒の模範と言っても良いほどの立派な令嬢だったと記憶している。……私のあずかり知らぬところでなにがあったのだ?」

 アリットソン学園長は困惑した様子を見せて首を捻っている。

 アリットソン学園長は礼儀正しく品行方正なアマリアのことを思い出して「ありえない。」と何度も呟いている。

「学園長……いえ、叔父上。アマリアはここにいるアンナライラを卑怯にも呪ったのです。ですから、私の判断で学園から追放いたしました。人を呪うだなんてそんな酷いことをするような女なのです。アマリアは。このままアマリアを学園に野放しにしていたらアンナライラ以外も呪いの標的に成りかねないと判断いたしました。」

 ユースフェリアは胸を張って叔父であるアリットソン学園長に告げた。

「……それは、嘘偽りのないことなのか?」

 アリットソン学園長はユースフェリアの顔を覗き込んだ。

 ユースフェリアの表情は嘘をついていないようにアリットソン学園長は感じた。

「はい。叔父上。私は嘘偽りなど申してはおりません。これは、真のことなのです。」

「……そうか。」

「はい。」

「……して、アマリア侯爵令嬢がそこの男爵令嬢を呪ったという証拠はあるのか?」

 アリットソン学園長はユースフェリアに尋ねる。

「はい。アマリアに呪いをかけられたアンナライラが証言しております。」

「はい。そうなんです。私はアンナライラ様から呪いをかけられました。私は私に呪いをかけてきた相手がわかるのです。だって、私は聖なる力を宿しているのですもの。」

 アンナライラはにっこりと微笑んでアリットソン学園長に告げる。

 アンナライラの笑みはどこまでも透き通っていた。

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