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「ふぅ。まったく困ったお嬢さんだわ。」
アンナライラ様の対応をしていたユリアさんが疲れたような表情をしながら戻ってきた。
「対応していただき有難うございます。」
「いいのよ。でも、あの子ね。マリアちゃんを苛めていたという子は。」
「まあ、いじめというか……。根も葉もないことを言われていただけといいますか……。」
「でも、マリアちゃんの婚約者はあの子に盗られてしまったのでしょう?」
「ええ。ですが、私は元婚約者に未練はありませんので。むしろ、家の都合で婚約されられておりましたが、あの方と私は最初から性格があいませんでした。」
「そうよねぇ。あの馬鹿王子じゃあマリアちゃんとは釣り合わないわよねぇ。」
ユリアさんはポツリと呟いた。
あれ?そう言えば私の婚約者が王子だってユリアさんに言ったっけ?侯爵家の令嬢だっていうこともユリアさんには伝えていないはずだ。貴族の令嬢だってことは伝えてあるけど。
伝えたというより、私の所作で貴族の令嬢だとユリアさんが気づいたということの方が正しいが。
「……ユリアさんは、ユースフェリア王子と面識がおありなのですか?」
「ん?ええ、まあねぇ。王妃様も大変よねぇ。妾妃様にユースフェリア王子が御生まれになってから、王妃様がお産みになった第一王子が命の危険にさらされてね。仕方なく第一王子を猫の姿にして……ってこんな話はマリアちゃんにすべきではなかったわね。ごめんなさい。忘れてちょうだい。」
「え?どこかの王子様が呪いで猫の姿に……っていうのは本当だったんですか?」
ユリアさんは途中まで言ってから慌てて口を閉ざした。
きっと、私には言ってはいけないことだったのだろう。
だけれども、ユリアさんの話の内容が私にはとても気になった。
確かにこの国には第一王子殿下がいる。それは国民だったら誰でも知っていることだ。
しかしながら、なぜだか第一王子殿下はお姿を見せたことがない。
その代わりに第二王子であるユースフェリア殿下が前に立っているので第一王子殿下よりも目立っているのも事実だ。
ゆえに国民の間では第一王子殿下ではなく第二王子のユースフェリア殿下が次期国王だと噂されている。
「そうねぇ……。マリアちゃんには言う予定はなかったんだけど……。本当よ。この国の第一王子殿下は、暗殺されないように今は猫の姿になっているわ。まあ……ちょっとの間だけだったんだけどねぇ。政務の時は元の姿に戻す予定だったのよ。でもちょっとした手違いでね……元の姿に戻れなくなっちゃったのよねぇ。うふふ。」
ユリアさんは困っているように呟いたが、どこか楽しそうでもあった。
でも、なんでユリアさんはそんな大事な秘密を詳細まで知っているのだろうか……。
今までも謎の多い人だったけど、さらにユリアさんの謎が深まった。
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