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「みゃあう。(ユリアさん。)」
「あらぁ?」
シルキー殿下とユリアさんの関係はちょっと気になるけれど、今はユフェライラ様のことが先決だ。
ユリアさんなら猫様たちと一緒にいることが多いし、私が伝えたいことも正確に把握してくれるかもしれない。
そう思ってユリアさんの顔をジッと見つめる。
……あれ?ユリアさん、なんだか目元に隈があるような気がする。
お化粧で誤魔化しているようだけれども。
もしかして、ユリアさんはブチ様がいなくなったことで寝ていないんじゃあないだろうか。
ブチ様が王宮のどこかにいるってこともユリアさんに伝えないとっ。
「にゃあんにゃにゃあん。にゃぁあああん。にゃあ。(ユリアさん。ブチ様は王宮にいます。昨日会ったんです。)」
「ふふふっ。可愛い声で鳴くのね。うんうん、それで?」
伝わっているのかユリアさんは笑顔のまま私の言葉に首を縦に振る。
「にゃあん。にゃにゃにゃにゃ。にゃぁんにゃん。(ユフェライラ様は危険です。今すぐ探してユフェライラ様をなんとかしないと。手を貸してください。ユリアさん。)」
「うんうん。可愛いわねぇ。いっぱいおしゃべりするのね。この子は。」
「にゃっ……。(えっ……私の伝えたいことが伝わっているわけなじゃいの……?)」
ユリアさんが相づちを打つように頷いてくれたから、てっきり私の言いたいことが伝わっているのかと思ったけどどうやら違ったようだ。
私は言葉が伝わらないことに焦りを覚える。
こうしている間にもユフェライラ様がよからぬことをするかもしれないのに。
ユフェライラ様はあの女という人に危害をくわえようとしている。シルキー殿下や私にも。
早くユフェライラ様を探さないと。
誰かが犠牲になる前に。
「にゃあああん。(ユフェライラ様を……。)」
私は訴えるように鳴く。
すると、ユリアさんが私をシルキー殿下から取り上げてあやすように抱きしめる。
「大丈夫よ。不安にならなくても大丈夫よ。あなたが心配するようなことにはならないわ。私がそうはさせないから安心なさい。」
ユリアさんは私の耳元で私にだけ聞こえるように小さな声で囁いた。
「みゃぁう?(ユリアさん……?)」
あれ?やっぱりユリアさんには私の言いたいことは伝わっていたの?
「大丈夫よ。大丈夫だからね、マリアちゃん。」
「にゃっ!?(えぇっ!?ユリアさん、私だってわかったのっ!?」
ユリアさんが私のことをマリアと呼んだ。
私は今、黒猫の姿なのに。
ユリアさんにはなぜ私がアマリアだと気づいたのだろうか。とても不思議だ。
「あなたが元の姿に戻りたいと願えば元の姿に戻ることができるわ。シルキー殿下とは違ってね。うふふふふ。」
そう言ってユリアさんは訳あり気に微笑んだ。
シルキー殿下と私は違うとはどういうこと……?
え?もしかして、シルキー殿下も猫の姿になれるということ……?
「なんだ。今、オレの名前を呼んだか?」
「あら。聞こえていたの?」
「ああ。しかも悪口だろ。」
「ふふっ。そこまでわかるだなんて地獄耳ね。」
「……ユリアだからな。」
にこやかに笑うユリアさんと、ぶっきらぼうに視線を逸らせるシルキー殿下。
ほんとうこの二人ってば仲が良いなぁ。
「さあ、国王陛下と王妃殿下の元に急ぐわよ。ユフェライラ様の息がかかっていない衛兵はいるかしら?」
「……オレがわかると思うか?王宮に戻ったのは昨日だぞ。まだ王宮の衛兵たちの出身地すらすべて覚えていない。」
「まあ。シルキー殿下。時々抜け出していたのは情報収集をしていたからではないの?」
「……知ってたのか。」
ユリアさんに言われて、シルキー殿下はばつが悪そうに視線を逸らした。
さっきからシルキー殿下ってばユリアさんから視線を逸らしてばかりだ。力関係としてはシルキー殿下よりもユリアさんの方が上みたいだ。
「もちろんよ。私は王妃殿下からあなたを預かっていた身よ。あなたがどこに出かけているかは把握していたわ。昨夜は驚いたけれどね。」
「……仕方ないだろう。マリアが帰ってこなかったんだから。」
「そうね。マリアちゃんのことが心配だったのよね。」
「それで、マリアちゃんには会えたの……?」
私はシルキー殿下の言葉に息を飲んだ。
私が帰って来なかったからシルキー殿下は私を王宮に探しに来てくれたようだ。
でも、それって……。まさか……。
私の頭の中に一つの仮説が浮かび上がってくる。
ユリアさんに頭の上がらないシルキー殿下。
私とは違って自分の意思では人間の姿に戻れないシルキー殿下。
私の帰りを待っていたシルキー殿下。
そして、シルキー殿下が呪いで猫の姿になったという噂。
昨夜王宮に来たブチ様。
ブチ様の姿を見たと思ったらいつの間にかブチ様はいなくなっていて、目の前にシルキー殿下がいたこと。
もしかして……。
もしかして、シルキー殿下は。
「もしかして、ブチ様……?」
私は驚きと、シルキー殿下に確認したいと強く願ったことで黒猫の姿から人間の姿に戻っていた。
「……っ。マリアッ!」
シルキー殿下が猫の姿から人間の姿に戻った私を見て驚いたように目を丸くして私を凝視した。
「あらぁ?」
シルキー殿下とユリアさんの関係はちょっと気になるけれど、今はユフェライラ様のことが先決だ。
ユリアさんなら猫様たちと一緒にいることが多いし、私が伝えたいことも正確に把握してくれるかもしれない。
そう思ってユリアさんの顔をジッと見つめる。
……あれ?ユリアさん、なんだか目元に隈があるような気がする。
お化粧で誤魔化しているようだけれども。
もしかして、ユリアさんはブチ様がいなくなったことで寝ていないんじゃあないだろうか。
ブチ様が王宮のどこかにいるってこともユリアさんに伝えないとっ。
「にゃあんにゃにゃあん。にゃぁあああん。にゃあ。(ユリアさん。ブチ様は王宮にいます。昨日会ったんです。)」
「ふふふっ。可愛い声で鳴くのね。うんうん、それで?」
伝わっているのかユリアさんは笑顔のまま私の言葉に首を縦に振る。
「にゃあん。にゃにゃにゃにゃ。にゃぁんにゃん。(ユフェライラ様は危険です。今すぐ探してユフェライラ様をなんとかしないと。手を貸してください。ユリアさん。)」
「うんうん。可愛いわねぇ。いっぱいおしゃべりするのね。この子は。」
「にゃっ……。(えっ……私の伝えたいことが伝わっているわけなじゃいの……?)」
ユリアさんが相づちを打つように頷いてくれたから、てっきり私の言いたいことが伝わっているのかと思ったけどどうやら違ったようだ。
私は言葉が伝わらないことに焦りを覚える。
こうしている間にもユフェライラ様がよからぬことをするかもしれないのに。
ユフェライラ様はあの女という人に危害をくわえようとしている。シルキー殿下や私にも。
早くユフェライラ様を探さないと。
誰かが犠牲になる前に。
「にゃあああん。(ユフェライラ様を……。)」
私は訴えるように鳴く。
すると、ユリアさんが私をシルキー殿下から取り上げてあやすように抱きしめる。
「大丈夫よ。不安にならなくても大丈夫よ。あなたが心配するようなことにはならないわ。私がそうはさせないから安心なさい。」
ユリアさんは私の耳元で私にだけ聞こえるように小さな声で囁いた。
「みゃぁう?(ユリアさん……?)」
あれ?やっぱりユリアさんには私の言いたいことは伝わっていたの?
「大丈夫よ。大丈夫だからね、マリアちゃん。」
「にゃっ!?(えぇっ!?ユリアさん、私だってわかったのっ!?」
ユリアさんが私のことをマリアと呼んだ。
私は今、黒猫の姿なのに。
ユリアさんにはなぜ私がアマリアだと気づいたのだろうか。とても不思議だ。
「あなたが元の姿に戻りたいと願えば元の姿に戻ることができるわ。シルキー殿下とは違ってね。うふふふふ。」
そう言ってユリアさんは訳あり気に微笑んだ。
シルキー殿下と私は違うとはどういうこと……?
え?もしかして、シルキー殿下も猫の姿になれるということ……?
「なんだ。今、オレの名前を呼んだか?」
「あら。聞こえていたの?」
「ああ。しかも悪口だろ。」
「ふふっ。そこまでわかるだなんて地獄耳ね。」
「……ユリアだからな。」
にこやかに笑うユリアさんと、ぶっきらぼうに視線を逸らせるシルキー殿下。
ほんとうこの二人ってば仲が良いなぁ。
「さあ、国王陛下と王妃殿下の元に急ぐわよ。ユフェライラ様の息がかかっていない衛兵はいるかしら?」
「……オレがわかると思うか?王宮に戻ったのは昨日だぞ。まだ王宮の衛兵たちの出身地すらすべて覚えていない。」
「まあ。シルキー殿下。時々抜け出していたのは情報収集をしていたからではないの?」
「……知ってたのか。」
ユリアさんに言われて、シルキー殿下はばつが悪そうに視線を逸らした。
さっきからシルキー殿下ってばユリアさんから視線を逸らしてばかりだ。力関係としてはシルキー殿下よりもユリアさんの方が上みたいだ。
「もちろんよ。私は王妃殿下からあなたを預かっていた身よ。あなたがどこに出かけているかは把握していたわ。昨夜は驚いたけれどね。」
「……仕方ないだろう。マリアが帰ってこなかったんだから。」
「そうね。マリアちゃんのことが心配だったのよね。」
「それで、マリアちゃんには会えたの……?」
私はシルキー殿下の言葉に息を飲んだ。
私が帰って来なかったからシルキー殿下は私を王宮に探しに来てくれたようだ。
でも、それって……。まさか……。
私の頭の中に一つの仮説が浮かび上がってくる。
ユリアさんに頭の上がらないシルキー殿下。
私とは違って自分の意思では人間の姿に戻れないシルキー殿下。
私の帰りを待っていたシルキー殿下。
そして、シルキー殿下が呪いで猫の姿になったという噂。
昨夜王宮に来たブチ様。
ブチ様の姿を見たと思ったらいつの間にかブチ様はいなくなっていて、目の前にシルキー殿下がいたこと。
もしかして……。
もしかして、シルキー殿下は。
「もしかして、ブチ様……?」
私は驚きと、シルキー殿下に確認したいと強く願ったことで黒猫の姿から人間の姿に戻っていた。
「……っ。マリアッ!」
シルキー殿下が猫の姿から人間の姿に戻った私を見て驚いたように目を丸くして私を凝視した。
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