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二章

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「あなた、この化粧水をどこで手にいれられたのかしら?」

「え・・・。あの、私が作成しました・・・。」

ずずいっとこちらに顔を寄せてくる魔道具屋の女性店員。

「まあ!まあ!まあ!!なんてことなんでしょうっ!」

ぎゅっと両手が捕まれる。どうやらこの人、握力が強いみたいで、ちょっと握られた手が痛い。

「あ、あの・・・。」

「ふふふ。この化粧水を飲んだ効果が素晴らしいのですよ。私は飲んだことはないのですがね、常連のとある奥さまがオークションで落札されて、飲んで気に入ったとかで・・・。」

「は、はあ。」

なんだか、話が長くなりそうな予感。
熱が入ってきちゃってるよ。

「どうしてもまた化粧水がほしいと、こちらに訪れたのです。聞けば、化粧水を作成したのは異世界の迷い人だとか。だから、うちのマコトなら作成できるんじゃないかと来たらしいんですけどねぇ。まあ、うちのマコトは化粧水なんて作ったこともない人でして、飲める化粧水どころか普通の化粧水すら作成できないんですよ。それなのに、同じ異世界からの迷い人なんだったら作成できるでしょ?って言うのよ。そんなことあるわけないのにね。スキルは個々で違うのだから。って聞いてます?」

「え、あ・・・はい。」

思った通りマシンガントークだった。
それにしても、化粧水のことでまさかマコトさんに迷惑がかかってしまうだなんて思っても見なかった。
まさか、同じ異世界の迷い人だから作成できるでしょ?なんて押し掛けてくる人がいるとは。
でも、その人は化粧水がお気に召したってことだよね。

「あなたこの化粧水を作ったってことは、あなたが異世界からの迷い人?」

「そ、そうです。」

「そうなの。そうなの。わかったわ。マコトにすぐ連絡してあげる。でも、一度魔道具を作成しだすとキリのいいところまで作成しないと手を止めないのは事実なの。今日新しい魔道具の作成を開始したから2~3日はマコトは他のことに目を向けないと思うわ。マコトには伝えておくから、また後で連絡するわ。」

「あ、ありがとうございます。」

って、もしかして化粧水を渡していなかったら後で連絡するって言っても連絡がこないパターンだった?
危ない。危ない。
化粧水渡してよかったぁ。

「で?この化粧水私が使っても問題ないわよね?ね?ね?」

「は・・・はい。」

どうやらこの人も化粧水には興味があったようだ。
熱のこもった目で見てくるから嫌だとは言えない。それに、あげたものだし。
本音を言うならマコトさんに渡して欲しかったけど、それはマコトさんに会った時にしよう。

「うふふ。お客様から聞いてからずっと気になっていたのよ。でも、あれからオークションに出品されてないとかで、諦めていたのよねぇ。」

そう言って女性は素早く化粧水の蓋を取った。

「あ・・・一気飲みは・・・。」

「・・・ぐっ・・・げふっ。」

炭酸だから一気飲みをしないようにと告げる間もなく、女性は一気飲みをしてしまい、案の定蒸せてしまったようだ。
目に涙を浮かべながら必死に堪えている。

「・・・聞いてないわ・・・ぐっ。げほっ・・・こんなに苦しい飲み物だなんて・・・。」

「す、すみません。炭酸なので一気飲みをしないでくださいと伝えるが遅くなってしまって・・・。」

「げふっ・・・。いいの・・・気にしないで・・・げほっ。私の気が急いただけなんだかりゃ・・・ぐふっ。」

「だ、大丈夫ですかっ!?」

「大丈夫よ・・・げほっ。それより鏡よ、鏡!!」

女性は魔道具屋に掛けられていた鏡を覗き込んだ。
そこにはシワがなくツルツルとしたお肌の女性が映っていた。
見た目年齢で10歳は若く見えるだろう。

「きゃーーーーっ!素敵だわ!!素敵ね!素敵だわ!!なにこれ!すっごい効果よ。ねえ、あなたこの化粧水もっと持ってないの?ぜひ私に売って頂戴?」

肌が若返ったことに気をよくした女性は、こちらに詰め寄ってくる。
うう。怖い・・・。
迫力が・・・。
目が本気だ。

「す、すみません。手持ちがないので今日は売れませんーーーっ!!!」

「あ、ちょっと待って!!明日でもいいから売って頂戴!!」

思わず怖くて、魔道具屋を飛び出して、宿に走って逃げ帰ってしまった。
だって怖いんだもん。
あの血走った目。
化粧水の効果って怖い。
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